Love our lives

人生の一コマ一こまを 愛し慈しんで 残したい。
ステキな庭のバラを! 旅行のスナップも そして大切な家族の素顔も!

からだのままに     南木 佳士

2010年08月13日 20時08分38秒 | Books



  からだのままに      南木 佳士

南木 佳士 さんは、佐久綜合病院の呼吸器科の医師で私と同じ年齢です。医師であり且つ芥川賞を得た作家で、そして40歳ぐらいでパニック症候を患い、更にうつ病を抱えてという人生を送られてきました。 
この方の文章から感じたことは、この方の気負いがなく地道な生活観を感じます。 それが却って、読んでいてその一文一文を味わうといった気持ちで読み進めていくようになります。
この方が、何故作文を書くようになったかというのは、医師として『死が身近にありすぎる日常は、自分のよって立つもの全ての根が、じつはとてつもなく脆いのだという冷徹な事実にのみを教えてくれた。』   『医者になって半年経ったころ、中略、人の死期に手を加える決断を迫られるこの仕事の剣呑さに気づき始めた。二年目あたりで、医業のみを一生続けるのは無理だと判断し、小説を書き出した。業の深さの自覚を書き記し、日々の行為を再確認しないと自分の居場所がわからなくなりそうで怖かった。』 といったところだそうだ。  これからこの南木さんという方が、実になみなみならない程の誠実な精神を持っておられたことが伺えられる。  
 この本の題が からだのままに であり、一般的にはこころのままに といったテーマが多い中で、 この作家がふわふわ世相によって浮遊し勝ちなこころ ではなく、衰え衰弱したか身体からの声というか欲求に素直なところも 精神の誠実さから出るところなのであろう。
 実は、いま読み返している最中である、 味わいながら。

花の生涯     船橋 聖一

2010年08月13日 18時51分57秒 | Books



   花の生涯     船橋 聖一

 先週 彦根に行く予定だったので、彦根といえばヒコニャン そして ヒコニャンが踊ってくれる彦根城、 彦根城といえば彦根藩、彦根藩といえば大老井伊直弼、といった具合で 井伊直弼について少し勉強しておきたく手にとってました。  これまでの井伊直弼についての知識といえば、安直ながら昨年のNHK大河ドラマで出てきた 直弼の姿ぐらいしか知らなかった。 そこでは 御台所篤姫の慶喜推薦に対して紀伊の慶福を推薦した。 そして安政の大獄を執行した。 厳しく詰問する篤姫に対して直弼はお家徳川家を守る為です、と答えていた。 開国を実現したのも同じ理由であろうが、果たして最初攘夷を唱えていた薩長に江戸城を明け渡すようになるとは夢にも思わなかったでしょうね。
 面白かったことは アメリカの領事ハリスの下田での日本生活がハハーン といった感じでね。 例えばハリスの世話人ラシャメンお吉が ハリスからもらったシャボンを銭湯で使うと泡がぶくぶく、周りの日本人は 不思議で怖がりみんな出て行ってしまったそうな。 お吉は一人でゆっくりと湯船に浸かっていたそうな。  ラシャメンお吉 の人柄、人生も面白そうですね。

ジュディーオングさんの 版画展

2010年08月01日 21時06分20秒 | Art


紅楼依緑  2005年制作  日展特選受賞



涼庭忘夏  2008年  日展入選

以前から ジュディーオングさんの 版画の素晴らしさは耳にしてました。
25歳の時 棟方シコウさんのお弟子さんの指導を受けるようになりました。
当初は 墨による黒白の世界に惹かれていたようです。
やがて 臙脂、グレイ、など少しずつ色が増えてゆきましたが、いずれも黒に似合った色合いの赤、灰色、緑です。
この色の選択も、また構図の大胆さ、また細部の気配り、すべて彼女の卓越した感性の表出ですね。
彼女の 表現したいという題材は、花と伝統的な古い屋敷です。
出来上がった作品を見ると、女性らしい対象への 愛というか好みが窺われてきます。
これまで処女作から最近お作品を通じて、彼女の作品の中に最初の黒白の世界がしっかりとその根底に存在しているのが判る。