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苦海浄土   石牟礼 道子  

2014年05月17日 07時07分06秒 | Books

苦海浄土   石牟礼 道子

4月の連休に水俣に行ってきた。観光というより、やはり水俣病の資料館に行ってみたかった。何故かというのは、日本各地を転勤で回っている友人から、いままで回った中で水俣が 一番美しかった,と聞いたからだ。ほー水俣? あの水俣病のあった水俣か! ネットで調べても 確かに素敵な土地のようだ。 訪れるにしても時間が限られているので、今回はあの水俣病について知る程度にして、良さそうな土地なら再度訪れる事に、ということで行ってきたわけである。

 私がまだ小学生、中学生の頃にはよくニュースで水俣の報道がなされていたが、断片的情報と私の無関心さとで持ってまったくといって理解はしてなかった。

 水俣病資料館にて、水俣病の一連の経過は理解できたが、何の罪もない被害者の方がたとそれに対する企業、国、の隠蔽しようとしてきた姿は、まさに今日の福島とまったく同じ構図に見えた。そしてもう一つ水俣市において、多くの住民がこの企業に寄りかかって生活をしている訳だが、彼らからもこの水俣病の被害者は疎外されている。このことは資料館の情報ではなく、この本、苦海浄土にて切なくも記述されている。

 この本は水俣病の発症時からある年代までの多くの水俣病を罹った方たちを見つめて書いてある。 誰をも恨んではいないように、けれど患った方々への実に寄り添った、優しい眼差しで彼らを見つめ、その声に出せない思いを代弁している。 石牟礼さんは この本を初めとして全三巻で纏め上げようとしているようです。

 水俣病を患った多くの漁師さん方、決して裕福ではないが、家族でしっかりと抱き合って生きている姿を、ありありと感じさせてくれ、生きることの原点といった見せてくれている。

 そして 石牟礼さんの言葉は、重い。