波佐見の狆

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What does 'Cantores Episcopi' mean?

2007-04-01 13:56:00 | Harry Sever

Cantores Episcopiというグループ名の意味について、Curraghさん、Simonさん、Deoさんから貴重なご示唆をいただいておりました。

以下まとめると次のようなご見解です。       

Curraghさん

「歌う主教たち」くらいの意味になるのでしょうか

Simonさん
 
私もいろいろ考えてみたのですが,「歌う聖教徒」や,「歌う監督生」なんかでも有りかなぁ、、、と思いました.

 Deoさん:

横から失礼なレスになりますが、私の乏しいラテン語力では、Cantores Episcopiをそのまま英語にすると、Episcopalian cantorsあるいは、Episcopalian Chorusだと思います。この場合、Cantoresが名詞で、episcopiは属格の形容詞です。ですから、直訳するとSingers of Episcopaliansということになります。

episcopiというのはギリシャ語由来の接頭辞epi(上、外)とscope(見るもの、観察能力)の合成語で、あえて日本語に意訳すれば、碁盤を上からみる岡目八目的観察能力ということになるでしょうか。転じて、上から見る者、監督、教会の監督、主教となります。しかし、実際にはこの語は、Episcopalian Church(聖公会)というように使われてイギリス国教会派(Anglican Church)に属するクリスチャンのことを指し、イギリス英語では、単に「クリスチャン」と同義なのだと思います。とすれば、Cantores Episcopiは日本語では、「イギリス国教会派に属するクリスチャンの合唱団」あるいは、単に「クリスチャンコーラス」ということになります。ラテン語にしているので大層な感じがしますが、原意は気取りのない、至ってシンプルなネーミングですね。

                                 

いやあ・・・情けないことに、管理人があまりにラテン語の素養がなさすぎて(っていうか、英語以外の外国語はさっぱり・・・の悲しい人なもので・・大学時代ラテン語選択しておけばよかったとか今頃になって思います)、こうして博学なる皆様から助けていただいて感謝感激です。特に、Deoさんの「epi- + scope」についてのご教示は興味深く読ませていただきました。

というわけで、Cantores Episcopiの意味についてはこれで十分だと思ったのですが、やはり当事者がどういう意味合いで用いているのか確認する必要はあるだろうと思い、Judyさんに尋ねてみたところ、お返事以下の通りでした。

Cantores Episcopi とは、「主教様の歌手たち(Singers of the Bishop)」という意味です。Bishiopとは、Winchesterの主教で700年前にこの学校を設立したWilliam of Wykehamのことですね。学校の歴史にちなんだネーミングなのね。

'Episcopi'とはずばりWilliam of Wykehamさんのことだったのですね(そのことがはっきりわかっていなかったのは、私だけだったのでは・・・)Harryファンであれば皆さんご存知のとおり、Winchester Collegeはイギリス最古のパブリックスクールであるため(1382年設立)、他のパブリックスクールとはまた違った独特の制度や用語がいろいろあります(e.g., トレブルの聖歌隊員をQuiristerという。← 他の学校の聖歌隊では、chorister)。Cantores Episcopiも、一般的なコンテクストではDeoさんおっしゃる通り「クリスチャンの合唱団」なのでしょうが、Winchesterに限っては「主教様の(ための?)合唱団」ということになるわけです。

私が最初からJudyさんに尋ねておかなかったために、皆さんにお手数をおかけしてしまったかもしれません。その点お詫びいたします。 しかし、決して皆さんの見解が「外れて」いたわけではありませんし、これからもこんな頼りない管理人のためにご教示・ご協力よろしくお願いいたします。

 

今日のところはここでいったん終わりです。さらに、JudyさんはこのユニットとHarry の関係について少し説明してくださいましたので(Harry はどういう経過でいつ参加したのか、など)、それについて、引き続き来週中に書きます。声楽家Harry Sever少年のさらなる「型破り」の一面が伺える内容ですので、お楽しみに・・・・・!

 

好きなところに写真を挿入するのを練習中なので、なんかダサくてすみません・・・ あと、現在使用中のテンプレートは、「ワードラップ」機能(欧米語の単語が行末に来るときに自動的その語を次の行へ送り、単語が2行に分割されないようにする機能)がついていないようで、変なところで単語が切れてしまいます。読みにくいのをお許しくださいね。  結局、ワードラップ対応のテンプレートに変更しました。

 

 


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12 コメント

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「司教ウィカムの歌い手」でしたか (Curragh)
2007-04-01 17:44:30
ラテン語をもっと勉強しないとなぁ…とこれは自分自身へのセリフです…。

ラテン語入門、みたいな新書本を取り出してみたら、episcopiは形容詞だったようです(Deoさま、ご教示ありがとうございますm(_ _)m)。

Cantresはたしかにsingersでいいのですが(主格cantorの複数形)、うしろのepiscopiの品詞を取りちがえておりました(言い訳)。

ただ、「主教」ということばは国教会(英国聖公会)におけるbishopを指す訳語で、ウィカムの時代はまだローマ・カトリックですので「司教」としたほうがいいと思います(ちなみにオックスフォード・ニューカレッジの創設者でもありますね)。

英語のepiscopalも、本来は新約聖書に出てくる「エピスコポス」というギリシャ語の役職名起源のラテン語です。原始キリスト教会は「使徒伝承」を盾に監督制をとるアタナシオス派が「正統教会」とみなされ、以後、東方正教会・西方教会・英国聖公会がこの「教会政治」体制をとっています。その点、アイルランドでかつて栄えたケルト教会の修道院制度はこれとはまるで別物で(一説には東方修道制との関連性も指摘されています)、司教の下に修道院を管轄したかったローマカトリック側と衝突することになります。教会政治における監督制は、ひらたく言うと司教→司祭→平信徒のピラミッド構造で、司教の上には大司教がいます。その代表者が首都(管区)大司教(metropolitan archbishop)で、教皇庁から枢機卿(cardinal)に選ばれたりします(日本からは白柳誠一氏)。コンクラーベは枢機卿たちが、自分たちのなかから新教皇を選出するための密室会議です。西方教会の頂点に立つ教皇ですが、基本的には「ローマ司教」です。というわけで、西方教会はこの「ローマ司教」を長とする「監督制」ということになります。

…でもウィンチェスターカレッジも大聖堂のほうもいまは国教会所属なので、主教でもかまわないかもしれませんが。
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Unknown (Deo)
2007-04-01 22:08:53
なるほど、やはり、元は大層な意味だったのですね。
ただ、イギリス国教会は日本ではそう呼ばれずに聖公会と呼びますし、アメリカではAnglican Churchではなく、Episcopalian Churchといいますから、この呼び方は、当事者の意図ではないにせよ、両方の意味をかけていることになるような気がします。すくなくともEpscopiが形容詞の属格となっていることで、少なくともラテン系の人からは「特定の司教の」とは読まれず、「聖公会派の」としか読まれなしでしょう。といいつつも、自信はないので知り合いのイタリア人に今度確認しておきます。今日はあいにくの天気でしたが、楽しい一日でした。
桜はまだだったので花見には今一つでしたが、多くの狆に囲まれ、我が愛狆も興奮しまくりで疲れて、今はぐっすりです。
狆達の与り知らぬこととはいえ、人間達が相争うのはみにくいですね。どっちもどっちという印象でした。
なぜNPO法人化しないのでしょう?
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司教ですね (Keiko)
2007-04-01 22:21:08
Curraghさん、なんどもありがとうございます。あっ、700年前、ウインチェスターはカトリックだったのですね・・・「司教」と「主教」の違い知りませんでした・・・ともかく、英語ではBishopですね。
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たのしかったんですね (Keiko)
2007-04-01 22:32:18
Deoさんも、フォローありがとうございます

>当事者の意図ではないにせよ、両方の意味をかけていることになるような気がします。
おっしゃる通りだと私も思います。
ともかく、直接的に英語で Singers of the Bishopとせずにわざわざラテン語にしているところからしても、「わが校の主教さまの」ということを強いて強調したいわけではなくて、まあ軽いシャレ??みたいなものかも??

今日は、そちらの方面で狆のあつまりだったのですね。Tくん、楽しくてよかったね!
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Unknown (Deo)
2007-04-02 06:25:05
一部、抜けていましたがKeiko様はお分かりだったと思いますが、狆クラブのことを書きました。我が同業の人まで絡んでいたと聞き、I cannot but sighとばかり、今、英訳中の唯円の言葉が浮かびました。宗教の世界も、世俗とおなじというか、世俗以上に醜い争いがありますが、命をかけたり奪ったりが有るので怖いだけでなく、歴史の書き換えが酷く、後世から読むと意味不明の言葉が残っていたりします。ラテン語屁の翻訳しか許されていなかった聖書(というか、イエスのアラム語さえギリシャ語に翻訳されたのが正本です)を初めてラテン語以外に翻訳し、庶民が読めるようにしたのがイギリス国教会ですから、ここでラテン語を残す意味は何だったのか今となっては分からないのでしょうか?スコットランドは今もカトリックが主流とききますし、イングランドでも北のほうはカトリックが多いといいますからその影響でしょうか?なんとなくsnobbismが残っているように感じるのは私のひが目かもしれません。といいつつ私もDeoというラテン語(神)とサルディニア語(私)をかけたハンドルを使っていますので、他を語る資格はないのですが、これはバッハの影響です。ちなみに、バッハのラテン語局はH moll Messaくらいでほとんどないのですが、ドイツ語宗教曲でもすべての自筆譜の最後にはSoli Deo Groliaと記されていたのは有名ですから…。
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snobbism... (Keiko)
2007-04-02 14:01:16
>Keiko様はお分かりだったと思いますが、狆クラブのことを書きました。

あ、狆クラブの集まりだったのですか。私はもうだいぶ前に退会したので、、(狆クラブといえば、その節は、伊藤先生の随筆の件でDeoさんには大変お世話になりました。結局お礼もせずに・・あのままになってしまって・・

>初めてラテン語以外に翻訳し、庶民が読めるようにしたのがイギリス国教会ですから

へーーそうなんですか!

>なんとなくsnobbismが残っているように感じるのは

うーん・・・そういわられてみれば、そうかもしれません。子供たちも、パブリックスクールだと、ラテン語(古典ラテン語とともに教会ラテン語もですね、Curraghさん)をしっかりやってて、読み書き歌うのは当然ということなんでしょうが、、、普通の学校の場合はどうなのかなとふと思いました・・・・少なくともラテン語が必須とかってわけじゃないのでは???

>バッハのラテン語局はH moll Messaくらいでほとん>どないのですが、ドイツ語宗教曲でもすべての自筆>譜の最後にはSoli Deo Groliaと記されていたのは有名ですから…。

'Glory to God alone'ですね
Wikipediaで確認・・・
あと「マニフィカト」だそうですね、ラテン語なのは。マニフィカト好きです。

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「カンタベリー大司教」とかって (Keiko)
2007-04-02 14:13:27
Bishopに対する日本語の件で追伸ですが。。

よく「カンタベリー大司教」とか書いてあるのがあって、私なんて、その言い方が間違いだとは今まで知りませんでした。。。。いやあ、、Harry のアンサンブルのことから、こんなことまで知識が得られて、Curraghさんのおかげですっかり得した気分です。仕事がら、専門用語には神経質な方ではありますから(・・・Deoさんに向けてウインク)、クラシック音楽にかかわることでも、素人なりに、できるだけ用語もちゃんと使わなければと思いますので、今後とも皆さんご指導のほどよろしく。。。
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John Wycliffe (Curragh)
2007-04-02 23:38:05
↑の補足です。

聖書をはじめて英訳したのはジョン・ウィクリフという人で、『リーダーズ』巻末の年表では1380年ごろに着手と書いてありました。

「カンタベリー大司教」についてはヘンリー8世による国教会成立以後でしたら「大主教」といったほうがいいと思います(東方正教もbishopの訳語として主教を使います)。なので、トマス・ベケットの場合は大司教になりますね。ちなみに国教会第二位は「ヨーク大主教」です。

ラテン語ですが、『チップス先生さようなら』に生き生きと描かれているとおり、教科としては古典ラテン語のみだと思います。教会で歌うことのない子どもたちには教会ラテンの発音は必要ありませんから(むしろ誤った発音法です。英国における聖歌隊員の教育の変遷については、'The English Chorister'の14章あたりにかなりくわしく書かれてあります)…。

バッハの自筆譜にもよくS.D.G.と書かれてあります。とはいえバッハの場合は自筆譜ず残っているのは一握りの作品のみで、大半が筆写譜です。

ハリーくんの所属するラテン語のアンサンブル名は、ちょっと箔をつけてみたかっただけではないでしょうか。
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ベケットさんは大司教なんですね (Keiko)
2007-04-03 00:06:00
Curraghさん、何度もありがとうございます。

あーーそっか。。国教会成立については、ヘンリー8世という人が大きな鍵だったことは、世界史で習いましたっけね。。完全に忘れていました


ベケットさんのころは、「大司教」でいいんですね。だから、専門書でもよく「カンタベリー大司教」って言葉が出てきてたわけか・・・理由がわかりました。。

カンタベリー大聖堂への旅が懐かしいです。。。もう20年以上前になりますが、、全くミーハーな理由で行ったんですけどね・・・CurraghさんもDeoさんもロックなんてお聞きにならないと思いますが、私は元々「ロック少女」で(少女時代だってありですよん)「カンタベリー系」というミュージシャンが大好きだったもので、カンタベリーという言葉には特別の憧れがありました。

トマス・ベケットの殉教したそのspotってのがあるんですよね・・・・王様(の兵士)に殺されたってかわいそうだなーとか思いましたね。。

>むしろ誤った発音法です。英国における聖歌隊員の教育の変遷については、'The English Chorister'の14章あたりにかなりくわしく書かれてあります)…。

そうなんですか。。なるほど。。。

あーーなんだか、コメント欄に書くにはもったいない興味深い話が続きましたね。あとで時間みつけて、要点だけでも、別の記事にまとめようかと思います。

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そうそう (Keiko)
2007-04-03 00:15:10
Curraghさん、「ミサ曲 ラテン語・教会音楽ハンドブック」(三ヶ尻正)という本を注文しておいたのが今日届いたんですけどね・・・発音、すごく詳しいです。。「古典式」「イタリア式」「ドイツ式」という分類になっていて、細かく比較してあります。。。びっくりです。。
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