こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『名探偵ぶたぶた』矢崎存美

2021-01-16 19:51:01 | 読書感想
 
デビューして3年目の新人作家・高坂夕海の幼い頃、彼女の母から聞いたTVで知ったという話。
電話ボックスからかけた電話の受話器から聞こえた悪魔の様な叫び声とは?

「なるほど!携帯電話やスマホ中心の若い人には、なじみが少ないんだな」と思う冒頭作からして、とても面白く、5話全てのぶたぶたさんから美味しい食べ物を片手に心をなだめていただきました。

矢崎さんは、ミステリを書くのは苦手だと思っていらっしゃるようですが、ぶたぶたシリーズは広義のミステリですよね?ぶたぶたさん自身が謎ですし。

ちなみに今回、私の一番のお気に入りは「置き去りの子供」です。
置き去りにされるのはともかく、大きなホテルを冒険するって楽しそうです。
そういや昔、長野のSF大会「やねこん」での深夜、吹き抜けの廊下でつい笑った声が響き渡ったのには驚き、同時に征服感も感じたのでした。
その時の気持ちに近いものがありそうです。
たまたまその時は、そのホテルには大会参加者しか泊まっていなかったのですが、普通なら叱られそうな所業でした。ごめんなさい。
Twitterでも書きましたが、次は「怪盗ぶたぶた」でお願いします。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『歓喜の歌 博物館惑星III』菅浩江

2021-01-13 20:20:15 | 読書感想
 
アクセサリーのために違法に養殖されていたニジイロタマムシが、広大な動・植物苑を擁する<デメテル>に放たれてしまった。

四倍体のため、通常のカメムシとは繁殖できないと思われるが、生態系への悪影響や万が一の事を考えると、全てを捕獲する必要があった。

<権限を持った自警団>の一人、兵頭健もその捕獲のために現場に向かっていたが、彼は虫が苦手なのだった。

緊張感の中に少し笑いの要素も含みつつ始まった冒頭作から、ニセモノを<アフロディーテ>がつかまされていたという二話。アナログフィルムで最大の笑顔を撮る写真家のスランプを描いた三話から四話。プラントハンターと製薬会社社長との、父親を巡る確執から、サブタイトルに繋がる壮大なエンディングまで、全てが作品の美と、それにまつわる美醜入り混じった人間たちの関係として描かれています。

この物語の結末についてですが、リアル世界ではベートヴェン生誕250年になるため、それににからめて描かれたのだろうと想像します。
そうでなくとも、この美を追求する博物館のシリーズにふさわしい選曲ですよね?
このシリーズがここで終わるのか、まだまだ続くのかは置いておいても、とても美しい結末でした。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『壁と孔雀』小路幸也

2021-01-07 20:11:46 | 読書感想
 
土壁英朗は警視庁で要人警護をしている、いわゆるSPだ。
この度、テロリストが大臣に向けて放った二発の弾丸を、代わりにその身に受け、一発が左足の骨まで砕き入院する事になった。
退院の日、同僚の皆がメールで旅行にでも行ってこいと言うので、お言葉に甘えて、両親の離婚後会えていず三年前に亡くなった母の墓参りに、母の実家に初めて行く事にした。
実は両親は駆け落ちで結婚していたのだ。

実家のある北海道米津平町に行ってみると、かなり裕福な家であり父違いの弟がいた上に、彼自身が座敷牢に閉じこもっていた。自分が母親を殺したと思っているらしい。

薄々、ある事が初めから企まれた事だとは思っていましたが、そこまで大ごととは考えていませんでした。
ただ、その結論として、土壁が選んだのが真相解明ではなく、小さな幸せというのがミステリらしくないと同時に、理解できるものでもありました。

最後に気になるのが、内容ではありませんが本文で未来の事を「義弟」と表現していた事です。
母方の血が繋がっているのですから「義理」ではないはず。
重箱の隅を楊枝でほじくるようでごめんなさい。
裏表紙のあらすじでは異父弟になっていたので、余計に気になりました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『黒猫と歩む白日のラビリンス』森晶麿

2021-01-05 19:37:34 | 読書感想
 
大学四年の頃に脚光を浴びたものの、三年で消えていった天才詩人。
黒猫の姉が関わった隣家の少年の義母への行為。
表現の自由に限度はあるのか?
知名度の有無で、路上に描かれた落書きも芸術に定義される事。
芸術の真贋と、その価値の違い。

これらが、様々な謎をまといながら語られていきます。

私としては、第三話で現実に起きた芸術に関する論争について改めて考えましたし、第四話と第五話でも、芸術の評価って何だろうと思いました。

結局、理由はともかく騒ぎたい人が多いのも事実ですし、自分自身も含めて、公平な評価と正義について深く考察した方がいいと感じました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

コミックエッセイ『北欧女子オーサが見つけた日本の不思議5』オーサ・イェークストロム

2021-01-04 20:03:32 | アニメ・コミック・ゲーム
 
今回はまず、オーサさんの桜好きの理由から始まり、ハウスメイトの陽子さんの結婚、コロナ下のステイホーム、スウェーデンの文化と日本との違いなどが紹介されています。

オーサさんが桜好きなのは可愛いからで、食べるのは美味しいからではなさそう。
また、オーサさんの感覚では、日本人は桜に限らず花を愛でる文化が強そうな感じですね。

陽子さんについては、結婚してイギリスに行っても、オーサさんのお母さん的存在なのは変わらずなようで、何とも微笑ましく感じます。

コロナ下のステイホームについては、オーサさんが発熱しつつもPCR検査を受けられず、自主隔離なさった話もありました。
それでもスウェーデンに帰国しなかったのは、帰るとまた1からビザの取り直しをしなくてはならないからだそうです。
そうそう、アマビエについての日本人の想像力の豊かさは、笑えました。

スウェーデンに関しての話題では、すでに彼の国では100%キャッシュレス社会のようで、行きたい方は準備が必要らしいですね。
日本文化についても、また、色んなチャレンジをなさっていて面白かったです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする