「
神様が消えた日」という創作絵本作品。
にんげん、ニーチェへ・・・
「神様がいない!」
アドルフは、さけびました。
アドルフをいつもてらしていた神様が、いなくなってしまったのです。
アドルフは、神様をさがしに夜を さまよいました。
アドルフのめのまえを、カラスがよこぎりました。
アドルフは、カラスにたずねました。
「カラスさん、神様はどこへいってしまったの?」
カラスは、カァーカァーというだけで、とびさっていきました。
くものすきまから、お月様がかおをだしました。
アドルフは、お月様にたずねました。
「お月様、神様はどこへいってしまったの?」
お月様は、なにもいいませんでした。
アドルフは、おおきな孤独におそわれました。
それは、夜よりふかい闇でした。
闇は、アドルフのからだをひっぱりました。
アドルフは、闇にたずねました。
「闇さん、神様はどこへいってしまったの?」
闇は、わらってこたえました。
「神なんて、もういない。神は、しんだ。」
神様が消えた日。
アドルフは、しにました。
アドルフのせなかから、いっぴきのケモノがでてきました。
ケモノは、アドルフのぬけがらを まるのみしました。
ケモノは、闇をかけあがりました。
そして、どこまでも、どこまでも、どこまでも、はしりつづけました。
息もきれ、へとへとになり、たちどまると、
ケモノは、じぶんのなかに光るものをみつけました。
ケモノは、わらっていいました。
「アドルフ、見えるか?」
(おわり)