今月も無事編集作業を終え、本誌(航空ファン)の7月号は
校了(編集部ですべてのデータが確認され、印刷工程に入ること)を迎えました。
以前の本ブログでも紹介しましたが、今月は震災の影響で1ヵ月遅れてしまったものの
航空自衛隊のF-2を大特集します。
2009年度末に第8飛行隊が運用能力点検をクリア、航空自衛隊の3個戦闘飛行隊への
配備が完全に完了したF-2ですが、本格運用開始から1年が過ぎた現在、
マルチロールファイター(多任務戦闘機)としての熟成が進み、
搭載可能な兵装も増えるなど、その実力を発揮できる態勢が整いつつあります。
表紙と巻頭ではF-2のマザーベースとして日本で唯一の2個飛行隊のF-2を運用する
青森県三沢基地の第3航空団を取材、空対空、空対地、空対艦の各種兵装を満載で飛ぶ
F-2の空撮や、同基地の特徴でもある掩体運用の様子をリポートします。
また空撮カメラマン赤塚 聡氏によるフライトインプレッション記事、
FS-Xプログラムに始まる同機の開発経緯や将来の計画、技術的解説、さらに
先般の東日本大震災により甚大な被害を受けた宮城県松島基地で行なわれていた
第21飛行隊によるF-2パイロットの養成訓練が今後どうなっていくのかについても、
現状を分析したうえで展望します。
そのほかの記事としては、TIGER MEET 2011特集の第一弾として、
徳永克彦カメラマンがベルギー空軍のタイガー塗装のF-16を空撮、
巻頭のF-2とともにF-16ファミリーの豪華な空撮セットが実現しました。
またオペレーション・トモダチの関連記事では佐世保に寄港した
USSロナルド・レーガンを取材したほか、空自F-XのRFP(提案要求書)発出、
ビンラディン急襲作戦時に機体の破片が発見され話題となった新型特殊作戦ヘリ、
三菱MRJの最新情報、生まれ変わるロシアの航空宇宙戦力(前篇)などの記事を掲載、
さらに対リビア作戦の続報や、南極で活動した「しらせ」とCH-101の貴重な
フォトリポートなどもお届けします。
『航空ファン』、『世界の傑作機』など、
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ほかに「鳳凰テレビの鉄人」など、中国の最新航空軍事ニュースをまとめました。
通常の2頁ですが、他の記事と同様に興味深い話題がありますので、どうぞご期待(「機体」と変換ミスをしそうになる)ください。
P59 C1 「さらにF-16は後縁が機体中心線に対して直角になっているため前縁後退角と25%翼弦後退角が等しいが」→幾何学的に誤りと思われます。
同 「F-16の4.0から4.3と」→0.040、0.043もしくは4.0%、4.3%の間違いと思われます。
P59 C2 「耐ディープストール特性」→ディープストールは、T尾翼など水平尾翼位置が主翼よりも高い機体が大迎え角で剥離失速したときに生じる現象なので、F-2には当てはまらないと思われます。
P64 C3 「軍規格1760」→誤りではないと思いますが、通常はMIL-STD1760もしくはMIL-1760と記述すると思います。(正確に和訳するのであれば米軍規格1760でしょうか。)
最後に、今回連載が始まった「航空機設計のツボ」は、私が航空ファンを読み始めたころによく掲載されていた、実際に航空機設計に携わっておられた方々の手になる記事と同じテイストを感じ、大変懐かしく思いました。今後に期待します。
ご指摘ありがとうございました。
「F-2、その持てる力を検証する」を執筆いただいた青木謙知氏に問い合わせたところ、以下のような回答をいただきました。
P59 C1 「さらにF-16は後縁が機体中心線に対して直角になっているため前縁後退角と25%翼弦後退角が等しいが」→幾何学的に誤りと思われます。
↑ご指摘の通りで、後縁が機体中心線に対して直角である場合、幾何学的に、前縁後退角と25%翼弦の後退角が等しくはなりません。
私の書き間違いでした、申し訳ございません。お詫び致しますとともに、その部分を削除させて頂きます。
同 「F-16の4.0から4.3と」→0.040、0.043もしくは4.0%、4.3%の間違いと思われます。
↑失礼しました、『%』を抜かしてしまいました。
P59 C2 「耐ディープストール特性」→ディープストールは、T尾翼など水平尾翼位置が主翼よりも高い機体が大迎え角で剥離失速したときに生じる現象なので、F-2には当てはまらないと思われます。
↑『ディープストール』という用語は、一般的にはご指摘のような定義に使われますが、より厳密に言うと、それ以外の機種の場合でも、急激に迎え角が大きくなったときに水平安定板の効きが得られなくなる状態、にも用いられます。
これを、『ロックドイン・ストール』といい、このように記しても良かったのですが、『ディープストール』と同義語であること、またF-2の技術資料でも『ディープストール』の用語を用いているため、本稿でも『ディープストール』を使用し
ました。
なお、最後に編集部からですが、このほかにF-2Bのコックピットの図解のうち、図と解説の88番と89番が入れ替わってしまっていましたので訂正させていただきます。失礼いたしました。
お父様の時代から記事を拝見しております。
迅速なご回答ありがとうございました。
いろいろ調べましたところ、確かにF-16系の機体には、高迎え角領域でLEXからのVortex liftによる揚力中心の前進と、フライトコントロール系のピッチ安定ロジックのカップリングによる回復困難な失速状態が生じる場合があり、これをディープストールと呼んでいることがわかりました。
リカバリーにはピッチコントロールをマニュアルオーバーライドモードに入れてピッチ安定則を一時的に遮断するそうで、このときの制御モーメントを増強するためにエレベーターの面積を増加させるという対応と理解しました。(フライバイワイヤの利点の一つに、操縦翼面積の削減による抗力の低下という項目があったように思いましたが、なかなか思ったようにはいかないのですね。)
大変勉強になりました。