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JA2012、楽しめましたか?

2012-10-16 14:53:19 | BLOG×記事
皆さんは先週、10月9日から14日まで(パブリックデーは12日から)、愛知県の
ポートメッセなごや(ポートメッセ会場)とセントレア中部国際空港(セントレア会場)で
開催されたJA2012―国際航空宇宙展にはお出かけになりましたか?
 
編集部神野は編集作業や諸般の事情により14日最終日のセントレア会場だけの
訪問となってしまいましたが、出かけてきました。
4年に一度の日本唯一の国際航空トレードショーで、29年ぶりに飛行場を会場とした
イベントとなるため、とても楽しみにして出かけたのですが…

結果は残念ながら不満の残るものでした。

せっかくの飛行場でのイベントにもかかわらず、飛行展示はブルーインパルスのほかは
ヘリコプターが4機種のみと、4年前にパシフィコ横浜で開催されたときよりも
規模は小さく、地上展示機にも新鋭のB.787やA380、XC-2やXP-1、US-2といった
機体はまったくなく、また民間空港での開催のためか、F-2などの自衛隊戦闘機も
米軍の参加もありませんでした。
こうした地上展示、飛行展示の情報は直前情報としては流れていたのですが、
加えてブルーとともに目玉だと思われていたボーイングB.747LCFドリームリフターは
セントレア会場初日の12日のみの参加。海外からの興味深い参加機もなければ、
国内の最先端航空技術が詰まった新鋭機もないという、「国際」航空宇宙展の名称には
疑問の残る内容だったと言わざるをえません。

「お金を払って見に行くイベントじゃなかった」という声も聞こえましたが、
まあこれに関しては異論もあります。日本の場合、自衛隊の航空祭はすべて無料、
ヒコーキファンの皆さんは、エアショーはただで見られるという考えができていますが、
実際には航空機の運用には場所代も燃料代を含めた運用費も膨大にかかります。
民間主催のイベントであれば、非常に希少な機体1機だけを見るために、有料の
イベントを開催することもあるのですから。

しかし今回のイベント、内容そのものも前回から4年の間にもっと詰めて
自衛隊も各官庁も民間も協力し合うことで、内容の濃いものにできたはずですが、
最大の問題は「航空イベント」以前に「有料の興行」としての稚拙さにあったと思います。
とくにオーガナイズ、スタッフの対応には多くの不手際を感じました。
まずは会場そのもの。エプロンに設けられた第1会場、航空機展示場は、
空港施設内のため限られたスペースしか用意できず、かなり狭い印象ですが、
そのエリアを区切るプラスチック製のフェンスは高さ約1mほどのものが二重に設置され、
エリア外に置かれた地上展示機を撮影するためには非常にじゃまなうえ、子供たちでは
そのフェンスをクリアすることさえできず、エリア外の航空機は見えません。
おまけに仮設のためもし大勢が押し寄せたら倒れてしまいそうな危うさです。



会場エリアまでには、セキュリティゲートを通らなければなりませんが、その内側では
ジュースなど飲料の販売以外はなく、航空機展示場はFOD(異物吸入事故)防止のため
飲食は厳禁。購入した飲み物さえ、セキュリティゲートと会場の間のエリアで
飲んでしまわなくてはなりません。保安とFOD対策は当然必要なのですが、
こうしたことについて事前の案内がほとんどなく、入場後にそれが判明するのです
(三脚、脚立、傘の使用禁止についても同様です)。

第1会場のほかに、屋内展示、ブース、ブルーのサイン会会場などとなった第2会場が
設置されていたのですが、この第2会場に行ってしまうと、第1会場に戻るためには
一度外に出て、セキュリティゲートを通って再入場しなければなりません。
そのシステムについても第2会場に入るまでなんの案内もなく、再入場の際に
また30分以上並ばされて立腹する観客も少なくありませんでした。
そのほか会場スタッフの不案内や報道対応のいい加減さなども気になりました。

セキュリティゲートの外にはフードブースも用意されていますし、飛行場は
特別区域なのでさまざまな制限があることは充分理解できるのですが、会場のデザイン、
案内板の設置などで、もっと円滑に運営することは可能で、とくにフェンスについては
安全面からも、サービスの面からも大きな問題だと感じました。
「地方の青年会議所主催のイベントでももっと上手に運営する」と今回の運営を厳しく
批判する人もいましたが、4年後の国際航空宇宙展では必ず改善をお願いしたいものです。



と、厳しいことばかり書きましたが、会場では同業者の方、読者の方や自衛隊を含む
出展者の多くの方々と楽しくお話もできましたし、イベントとしても
国際空港でのアクロフライトを実現したブルーの展示飛行に、観客の大きな歓声や拍手が
沸いたり、盛り上がりもありました。



また低調な飛行展示のなか、海上保安庁、名古屋市消防局、陸上自衛隊といった
官庁のヘリが救難展示やホバリングデモでがんばってくれたのも印象的でした
(ユーロコプター社も民間として唯一、EC135のデモを見せてくれました)。



そしてこの日一番人気の地上展示機、第1航空団第31教育飛行隊のT-4の前には
こんな人も。



ブルーインパルス前5番機の井川広行3佐が観客へのサービスに努めていました。
スペシャルヘルメットにも注目してください。


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11 コメント

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全くそのとおりです。 (アールクラス)
2012-10-16 17:43:02
本当にそのとおりで、どこかへ書きたい・どこへ不満をぶつければ…と思いながら。
国際航空宇宙展の問い合わせや団体へのメールはどこかにないのかなどと思いながらそのまま日が過ぎようとしてました。

少し落ち着いて書きます。
ほぼ全て書いていただいてるとおりですが、通路幅のこともついでに。
岩国のフレンドシップデイのときも愕然としたのですが、あの悪夢がふたたび…でした。
なぜ展示場へ向かう通路の幅を異様に絞るのでしょう。
単純に「通れるわけない」のですが。帰りもそう。絞り通路を出てからの出口の危険防止のためとかならわかりますが、出口ガラガラじゃないですか。
お年寄りや子供が気になって気になって。明石の歩道橋事故が頭をよぎりました。

第2を見学してから、また屋外の展示場へ戻ろうとすると「ここからは出られません」???…意味がわかりません。
そういえば「第2展示場へ行くと外になってしまいますので、こちらに戻ってくることはできません。」と叫んでいたのが、かすかに遠くに聞こえてましたが、あれは第2から会場外への出口へ出てしまうと戻れない、そういう当たり前のことを言ってるだけだと思ってました。
まあこれについては、関係者もおかしなところと思ってたのか「こっち(入口)へ戻りたいから!新たに入るんじゃない!戻るんだから!」と半ば捨てゼリフで出る客多数。これについては仕方なく、どうぞ…の対応でした。
実は私もその一人です。第2の入口を入るときには「戻れません」の案内も無く、もう異常でした。

ドリームリフターについてもそう。
開催まで何度も何度もホームページを見てても、何についてもなかなか更新されない。
まあ仕方ない、フリー1,800円も買ってるし行くか、何か見どころはあるだろ、と思って行きましたが…。
まさか展示が12日だけだなんて。
帰ってからホームページ見ると、ドリームリフターは12日だけ、積み込み作業、とどこかに書いてあった。
でも今探してもまた見つけられない…。

もう訳分かりません。ほんとイヤです。
リクルートや企業どうしでの会合であって、自分は方向性の違うところへ勝手に都合よく思って来てしまっただけなんだ、と思いながら見てても、本当に何も楽しめなかったです。
返信する
一般の方が不満を持つのはしょうがない (いーの)
2012-10-16 22:27:48
一般の方が不満を持つのはしょうがないと思いますが、仮にも50年以上も続いている航空雑誌で、10年以上も編集をしている方が「スケジュールが合わず見られなかった」のを、不満として書かれるのはどうかと思いますが。

海外のトレードショーなら特にそうですし、自衛隊での航空祭でも、スケジュールや飛行制限などで展示がキャンセルになる事は山ほど見て来られていると思うんですが、いかがでしょうか。
運営の悪さは確かにあったんですけど、ドリームリフターのような787生産のロジスティクスを担うために運用されている機体のスケジュールについての不満を先に持ってきては、その指摘についての焦点がぼけてしまうのではありませんか?

ところで、神野さんは、JA2012はトレードショーではなく、有料の大規模イベントとして見ておられるんでしょうか。ポートメッセに行かずに済ませるんですから、きっとそうなんでしょう?
返信する
編集部神野です (編集部)
2012-10-17 00:03:17
>アールクラスさん
ドリームリフターの積み込み作業に関しては、ホームページ上のセントレア会場のイベント紹介PDFには掲載されていました。ただこの部分を見ると、確かに積み込み作業が12日に行なわれるとは書いてあるものの、同時にそれ以外の日付に地上展示されないとの案内もありません。一般の方にも分かりやすく案内していただければ、もっとよかったと思います。
通路の狭さ、導線については、イベントの開催にあたり、考慮をしてほしかったところですよね。セキュリティ待ちの列で、駐車場の輪留めにつまづいて危なかった、という声も聞こえました。

>いーのさん
大変失礼いたしました。このブログのスケジュールの部分は、私も一ヒコーキファンとして、入場者の立場に立って書かせていただきました。じつは私も、現地に行く前にはLCFがいないことは分かっていました。ただ腑に落ちないのは、その予定はオンスケジュールのものであるにもかかわらず、主催者側は「地上展示」としてLCFを謳っていた部分です。こうした気になる点については、後日誌面でも触れたいと思っています。
しかしいーのさんがおっしゃるように、この話を先に書いてしまったことで文章の主題がボケてしまったことは反省点です。いちばん言いたいことは、今回のJA2012が万全の体制で、入場者に満足してもらえるようにと準備されたものではなく、オーガナイズの面でいろいろな不満が感じられた、ということでした。
そして最後にこのイベントを私が「有料の大規模イベント」と考えているか、という点ですが、それについては答えはイエスです。しかし同時にトレードショーでもあります。たとえトレードショーでも、一般の方からお金を徴収して見てもらうのであれば、それは興行です。主催者はお客様に安心して満足していただけるよう、心がけるのが鉄則だと思います。主催者側も前回比の入場者増を目指していたそうですから、それはやはり努力すべき点だと思います。そもそもセントレア会場での展示内容は、各種学校や航空会社の広報ブースなどはあり、出展者の皆さんは努力していらっしゃったものの、地上・飛行展示を含めてトレードショーとしての魅力があったかと言われれば、それはあまり感じられませんでした。
なお、誌面では10月20日発売の12月号で、私のリポートではありませんがポートメッセ会場もしっかりとカバーしますし、締め切りの関係で間に合わなかったセントレア会場の模様や、その他の情報については11月21日発売の2013年1月号で紹介する予定にしていますので、こちらもあわせてご覧いただければ幸いです。
返信する
一般人です (JUNK)
2012-10-17 00:12:11
パブリックデーのフリー券を購入して見学に行った一般人です。
当初から「ほぼ」ブルーの展示飛行のみを目的に参加しました。なんせ、公式HPを見ても何が参加してどのようなイベントが行われるのかが直前までわからなかったですから。
ドリームリフターも「普通に」展示されているかのような記載があったように思いますが、直前に変更になった?「パブリック」と銘打って開催するからには、一般人から見てもわかるような「国際」航空宇宙関係の展示が、たとえ「第二」会場であってもほしかったと思います。

USMC岩国の有料観覧席以外では、「航空ショーはタダで見るもの」と思っている方が多い日本では、当日券1,200円の設定に不満な方も多かったようですが、そこは多大な経費のかかるイベントの運用。有料でも良いので、観覧者目線での会場レイアウトやイベント内容の設定をしてもらえると納得できるイベントになったと思います。
今回の国際航空宇宙展。イベントのメインはトレードショーかもしれませんが、参加者の大半は「パブリック」だと思うので、その目線でのブログでも良いのではないでしょうか?
返信する
一般人2 (JANET)
2012-10-17 01:02:56
その昔、オーストラリアの「エアショー・ダウンアンダー」に行きました。こちらは見本市を兼ねてるのでトレードデーとパプリックあってチケットも値段も違います。ところが前者と後者ではえらい差がありました。トレードデーにはあった展示物が消えた、あるいはブースそのものが消えてるといった具合で、これはトレードデーじゃないとこの見本市楽しめないと思いました。

本当は当日行われた小牧航空祭兼航空宇宙展じゃないといけないと思うのですが日本でそれを求めるのは無理ですね、それに第2会場と第1が行き来できないのはおかしいですが、幸い再び見るものもないので素直に出てブルーは丘の上で見ました。
返信する
編集部より (編集部)
2012-10-17 02:40:22
まずは先ほどのいーのさんへの返信コメントの訂正箇所です。
「オーガナイズの面でいろいろな不満が感じられた」と書きましたが「不満」ではなく「不備」が適切ですね。失礼いたしました。

>JUNKさん、JANETさん
コメント&ご意見ありがとうございます。
たしかにJA2012はトレードショーがメインではありますが、ポートメッセ会場はまだしも今回のセントレア会場の内容を見る限りでは、そのトレードショーとしての魅力がかなり薄い内容だった気がしています。海外でもトレード目的のショーと完全に割り切ったドバイのようなイベントもありますし、次回開催されるJAでは、方向性の見極めも必要かもしれませんね。
セントレアの第1会場と第2会場の問題については、飲食の問題も含めてセキュリティゲートの設置位置を見直すだけでも、導線の整理ができて改善されたのではないかと思いますが、それも私のような素人の浅知恵。主催者や会場には、やはりいろいろな問題、制約があったのかもしれませんね。
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一般人3 (Lynn)
2012-10-17 11:26:19
第二会場に入ると、強制的に退場となってしまうのはアナウンスが不十分である以前に、会場のレイアウトとして欠陥だと思います。
一日目はまだ混雑していなかったので、素直に一旦退場しましたが、二日目は関係者みたいな顔をして、第二会場の入口を逆行して戻りました。

またそのセキュリティゲートも、荷物を開けてチェックするでもなく実効性があるとは思えませんでした。
踏み台、脚立を第一会場内に持ち込んでいる人も多数いました。日傘や飲食も・・・

この程度のセキュリティチェックならやらない方がマシでしょう。

スタッフもただ傘はやめて下さい、飲食禁止ですと叫ぶだけで、FODの危険を説明しません。これでは一般人は聞きませんよ。
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残念ながら同感です (bluegoat)
2012-10-17 18:08:09
2日間、「メッセ」と「セントレア」両方行ってきましたが、「セントレア」については残念ながら全く同感です。
航空宇宙業界への次世代の発掘や理解を求めるのがパブリックデーの趣旨です。展示内容については、厳しい状況で如何ともしがたい面があったのかもしれませんが、「導線」や「展示方法」等には工夫の余地があったのでは。またはセントレアを会場にしたことに起因する点もあったのでは。
1970年代の国際航空宇宙ショーを見てワクワクを感じた者としては、こういった意見をぜひ貴誌から主催者へ届けていただき、次回の開催の参考としていただきたいと願うものです。
返信する
編集部より (編集部)
2012-10-18 19:05:23
>Lynnさん、bluegoatさん
コメント&ご意見ありがとうございます。
皆さんおっしゃるとおり、航空機の展示そのものが国際航空宇宙展のすべてではありませんし、さまざまな事情があることも理解しているのですが、やはりパブリックデーに一般のお客様として来場した方々には、思うところもあったのではないかと考えます。そして繰り返しになりますが、それよりもなによりも、会場、イベントそのものの運営について、主催者にはもう一度考えていただきたいと感じてこのブログを書きました。
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Unknown (マーヴェリックのび!!)
2012-10-18 22:22:32
私はなんと、JA2012に行っていないのです。なので航空ファンで様子をみてみようと思います。しかし、井川さんがいたとは。私は中学1年なので一人で行けないんです。今回参加したブルーは11月3日に見られるので、お楽しみにしておきます!
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