ウサギ、耳、伸びた、私、

このブログはたしかにイタい・・だがどうだろうか。痛みを訴えるのは大事なことだと私は思う。戦争より餓死の方が酷虐なのだから

亡霊のダイブスピナー 【第四章 3/3】

2013-03-09 00:00:01 | NPC@13物語
一秒さえ要さず決着がついた

周囲は唖然、特等席のバドシにとっては疑念すら抱けないのほどの“瞬間”、ヤミヒロのペンだけがクルクルとコンティニュアストルネードを連続している

・・・・実に回し易いな、さすがは神madと言われるだけはある・・・・

愛ペンを無くした彼の手で踊る演出者は、ドクターKTといわれるスピナー用のペン。

バスダイブ事件の前に山猫から貰ったドクターグリップのチップ二個とバスダイブ事故の際デパートで買ったサインペンを組み合わせた改造ペンである。

回し易さはもはや悪魔染みていると言っていい。スプレッド系、ノーマル系、パーム系、シャドウ系に特に優れ、なにより重量が重いというのが特徴だ。

「・・・・・・」

ようやく状況が把握できたバドシはなお黙り込んでいる___どうした、なにか言ったらが楽しくなるかもしれないのに...。

インフィニティバトルは本来、すぐに勝敗が着くインスタント勝負。今のように開始と同時に終わるなんてザラだ。珍しくもなんとも無い。

だからレッドVSテル戦は常軌を逸していたのだ。あんな互いに譲らないドラマ的熱血バトル、百回に一度あるかないか。

____俺はそんなに甘くない。全力で、、、一瞬で、、、、終わらせる____

傍観者達を魅了できなくてもかまわない、俺が納得いけばそれでいい

無音、ドクターKTの重みを確かめながら審判に催促の合図を送る

__ああ、山猫のじいさんよ____この勝負に勝ったらな、分かるかもしれない__






_______ジジィが俺に忠告した___、その真意がな____________






「二本目・・・・・・・・・・・・・・・・始めてください」


一本目と同様、いや、それ以上の速さでバドシのペンを____!!

しかし大きく外した。当たり前すぎる。バドシが反応できないほどの速さだろうが、開始同時に手を引かれてしまっては当たりっこない。


______クッ、さすがに即キルは無理だったか、、、、しかしなんだ?今の、、、

さすがに看過できないと、ヤミヒロは口を開く

「おいおい 今のは酷いなバドシ」

「ダメっすかねえ、開始直後に手を引く防御は戦略としてありだと思うんすが」

「違う違う  そんな“予想”だけでペン回していいのかって話だよ___今、もし俺が攻めずにフェイントしただけならバドシはオーバーディフェンスの反則。それこそ即キル、さっきの二の舞じゃないか」

いちいちうるさいっすよ・・・!!!と今度はバドシの手が伸びた。

バチンと、接触音が教室に響くもヤミヒロは鼻で笑う。そう、ただそれだけの攻撃ということだ。

「今のも酷いな 果敢に攻めたのはいいとしてKTが相手だぞ?、そんな攻撃じゃ徒労だろう」

しかし攻撃の手を休めないバドシ。左、右、左、右とインフィティを叩き込むコンボも、ヤミヒロのもつKTペンの前では無力。ただ壁とラリーを続けているようなものだ。

「愚直だな、攻撃の意味を履き違えてる。いいか?そんなことやっても自分のペンが壊れるだけで」「信じてるからっすよ」

突然発した一言で眉が力むヤミヒロ

「・・・・意味が分からないな」

「今、回してる僕のペンのことっすよ___ヤミヒロさん、あんたが提案してくれた改造術で作ったペンだ」

そういって技の速度を落とせば、たしかにキャップの中にはプレカラキャップが入っている

「たしかにそんなこともあった だからなんだ?」

「僕のペンは壊れません どんなに負荷をかけようともリーダーが教えてくれたキャップが、このペンの中に入ってるっすから」

「俺はもうリーダーじゃない 関係ない話だと何べん言わせれば気が済むんだよ・・・」

「リーダー言ってたじゃないですか___俺の"ペンが折れることはあっても、"俺達の"輪は永久に正円を画くって・・・、一字一句覚えてるっすよ! 決して忘れないっすよ!!」

「だから...」

「なんでなんすかリーダー・・・悲しいっすよ僕・・・・なんで事故を全部自分だけで背負い込もうとするんすかリーダー・・・・みんなで決めた戦いだったんすよリーダー・・・・・連帯責任じゃないんですかリーダー・・・リーダーぁ・・・・リーダーァ・・・リーダーァア!!!」

「だからその名で呼ぶんじゃねえよ!!!!!!もう決めたことなんだよ.....もう終わったことなんだよなにもッ!!!!!!かもッ!!!!!」

「いいえ まだ終わっていません 私の予想ではこの勝負、二本目、三本目とバドシが勝ちます。そして私がブルドラを倒しテェックメイト 晴れてヤミヒロの引退はなかったことになります」

割り込むよう会話に入ってきたクルタン。鬼気迫るその表情に圧倒され、若干の心の揺らぎを得るも.....ヤミヒロは悟る。

「ク、今日は一言もしゃべらないと思ってたがなるほど。そういう戦略に出るのかクルタン、、、実力では勝てないから心理戦で自爆させようってハラなんだろ??、、、、甘いな___甘すぎてどうしようもない____現役スピナーのくせにペン回しナめてんのか」

「ナめているのはそちらの方です この勝負、ヤミヒロさんは負けたとて”リーダーの実力不足が露呈”、つまりヤミヒロさんは勝敗に関わらず辞任できる口車が主張できる。そんな稚拙な言い分、我々は一切通しませんよ。負けたら即効この後あるペン回し集会に参加して貰います____そしてなにより...」



もはや背景にまで熱を感じる強烈な睨みを利かせながら彼は言う









   「バドシの可能性はNPC@13リーダーヤミヒロ、貴方以上です」










___勝ちますよ・・・私達は....








「い














・・・・・


      い

      い

      じ

      ゃ

      ね

      え

      か・・・・・・








・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

                      ほ


                      な


                      や

                      ろ

                      う

                      か

                      ッ

                      !!


                           ワ

                           レ

                           ッ

                          !!!!」












弓なりの上昇軌道で攻め立てるバドシは思う。__こんなに心地よくキれたのは初めてだと

自分を応援してくれる仲間がいる。自分を認めてくれるライバルがいる。

そのことが今はどうしようもなく嬉しく、ありがたいと。そしてもう一つ___

・・・・強敵じゃねーか・・・・・・おもろすぎてしゃーない・・!!!

感情には流されない。勝ち取る意思は冷静で、頭を使わないと損に思えたから。

___だからバドシは己の勝ち筋を見出し、行動する

「!?」

バドシの弧はイメージ上でしか成立しなかった。そうさせたのはヤミヒロではない、バドシ自身である。一瞬攻めると見せかけての劣弧フェイント、なぜなら___


・・・・やはりカウンターかいなヤミヒロ・・・相変わらず凄まじい速度やで・・・

ヤミヒロは迫り来る彼奴の躊躇わないスピード速度は外したら遠心力で自爆もありうるほど___あまりにくさすぎて”トラップ”があるかのような攻撃

案の定
・・・・・攻めと見せかけて瞬時にペンを引くんだろバドシ・・・さっきと同じ相手を見ずの予測防御ならこちらは予測を超えた攻撃を。そう、被弾距離を伸ばせばいいだけのこと・・・

ヤミヒロは腕ではなく肩を伸ばしながら、バドシの腹部を狙うようなイメージでペンを走らせる。予測防御でそこには敵がいると確信しているからだ


・・・せやろうなあ・・・でもなっとらんわヤミヒロ・・・ワイの方が一枚上手やで!

バドシはたしかに弧の軌道を止めた・・・が、しかし、引きはせずに逆に押す動き

・・・逆なんやで・・・引いてダメなら押してみろや!!!ワレ!!!!

「ッ!!」

完璧にタイミングをずらされたヤミヒロを襲う放物線。ここで決着か、否、なんと“バドシから”闘牛士のようにドクターKTを流麗にかわす。いや、かわしたというよりは、はなから衝突させまいと虚空を攻めていたので“すれ違った”が正しい表現なのかもしれない。

バドシはすれ違ったと同時に再び静止すると__

・・・さて、オーバーディフェンスで自爆やでヤミヒロォッ!!!

反則行為オーバーディフェンス/お互いのペン距離が30cm以上離れた場合失格とする

その判断基準は、”先に”30cmラインを外したものが失格というもの。当然といえば当然だが、基準として”攻守”は関係ないのがこの反則技の厄介な部分___そこをバドシは利用した


バドシは静止し、ヤミヒロはこのままではバドシの下腹部へ、30cmラインを越える状況

すべてはイメージで予測しあうほどの”風”の出来事だ。

じゃんけんの手を出している最中に選択は変えられないと同じ。もはや攻守のタイミングで決着が着いているといっていい。

バドシはそう思う_____だが、、、、、ヤミヒロはパームスピンをしながら30cmギリギリのラインで無の摩擦へ

同じ静止の事態 されどヤミヒロはチキンレースの車ごとく安堵に対しバドシは南極大陸の氷付け____精神状態は天と地、、、、なぜなら...

・・・パームスピン・・・・・・最強の防御やないか・・・・あん!?・・・


ヤミヒロはNPCのリーダー、ペン回しにおいてバドシが知らざる秘密を沢山心得ている

だから、もしかしたら反則勝利を得られないかもという予見もしていた。なら静止時の隙を攻めようと準備も吝かではなかった。なのに、

・・・・これやあドつけんやないか!!!!ワレ!!!!!

パームスピンは平らにした手のひらでペンを慣性回転させる特殊技である。ゆえに攻撃しようものなら相手の人体(手のひら)に触れるパワークラッシュで反則に。先の試合、コンパス針がテルの手を傷つけた時のような”偶然性”の主張は難しいだろう。なにせ攻撃が一方的すぎる

よく考えたものだと、さすが俺らのリーダーだと、よどみ無い感想を抱くもバドシにだって仲間に頼られたプライドってもんがある。そうだ。

・・・静止時の隙がおじゃんでも、起動時をドつけばいいとちゃいまっかワレ

パームスピンは慣性を原動力としている。だからいずれインフィニティへと技チェンジしなければならない


・・・・・いくで!!!


6回転か7回転かししたパームスピンは必然、親指と人差し指でペン先を摘まれインフィニティの構えに戻るヤミヒロ___そこを・・・うがつ!!!


・・・いくら重い攻撃力やさかい、スピードに乗る前に叩けば自分にも勝機はあるう・・!


しかしバドシはこうとも思う。 思い切り叩きつける際に勢いがありすぎてヤミヒロのペンを落としたと同時に自分のペンも落としてしまう“道づれ”をくらうのではないかと。。まだまだ浅いペン回し歴、だから頭を使い策を練った

その工夫とは、ペンを“当てる”のではなく“捻る”という攻撃法

ペンが当たる直前、親指と人差し指を使い指を捻らせる。例えていうなら二本の指だけで音を鳴らす動作と同じだ。問題はバドシのペン先にはグリップがあっても、キャップ付近(攻撃ポイント)には相手のペンを捻らす摩擦源(グリップ)の類がついてないこと。でも...

・・・ヤミヒロのKTには両端に強力なグリップがついとる・・・!

ドクターKTにはペン先チップと本体をくっ付ける役割を持つグリップが両サイドに付けられている。グリップの長さは両方とも同じで約4㎝____だからの部位だけを狙い、そして...



・・・・・・・・捻り潰すんや・・・ワレッ!!!!





                 バチン!



まるでボクシングのような__強烈な左ストレートが決まる




                          ..............はずだった。



それは文鎮でも叩いたのかと、そう錯覚させるほどの違和感で無残に跳ね返されたバドシのペン

KTとの衝撃と共に伝わってきた悪魔的な重量感はもう、ヤミヒロがすごいスピナーだとかそんなレベルの話じゃない。なにせ一本目に瞬殺された重みをはるかに越える骨に響くほどの衝撃だ。それを助走速度がほぼない状態でやるなど物理学が黙ってない


宇宙に反した行為だと・・・しかし絶望感ではなく好奇心に駆られたのは、バドシのペンはまだ手と共にあるからである。不幸中の幸いとでもいうべきか、バドシが見出した”捻る”攻撃が自らが持つペン先グリップの摩擦力増加という防御面に働き、落下までには至らなかったのである


「不思議か? おっかない方のバドシ」

「ああ しょーじき 種明かしして貰いたいぐらいの興味はあるで」

「なら教えてやるよ」

「・・・あ?」

「教えてやるといっているんだ」

「・・・・知ってるやろ。  この学校のすぐ隣には渋巳川っつう川がある」

「だから?」

「冗談やったらてめぇごと 沈 巳 川 っつうわけや」

フッと冷めた感想ののちヤミヒロはネタをばらす

「重心だよ。このドクターKTは細工がしてあってな、双頭ペンなのに重心が中心じゃないんだ」

「なんやと」

「ああ、片方のキャップだけ鉛で出来てるからそのキャップに向かって重心は大きくそれてる」

「・・・てこの原理の応用かいな」

チッとあからさまな苦い表情で舌打ちをするバドシ

力がかかる力点である“重心”と力をかける力点である“指先”が遠ければ少ない力でも打撃力は高まり、近ければ機動性増すインフィニティバトルの物理法則

そんなこと本来はいちいち覚える必要もない。体系的理解できなくとも感覚で十分補えるからだ...しかし

・・・さっきのパームスピンは防御するためだけやない・・・ペンの持ち位置を逆にして重心を変えるためでもあったんか・・・・・・・・


・・・・・・・・一本目は指先に重心がよる機動型だったんか・・・信じられん・・・


・・・・まずい、ほんだら打撃力が高まった今のKTは絶対相手にしたらあかん・・・・

                         骨に響いた感覚は関節の隙間に小さな蛇がぐにゃぐにゃとよろめくような嘔吐感へ変わっていく


・・・とりあえず逃げるしかない、、、が、


「そうバドシは二つのペンと戦ってる。今は重火力のペン 二本目の序盤と一本目は機動フォルムのペン」

「・・・・」

「もうわかってんだろ? 一本目の攻撃を、今、この重火力フォルムでくらったらどうなるってことぐらい」

「・・・!?」

バドシは瞬間、体中のありとあらゆる全ての細胞が鈍色の海に浸ったのを知る

ヤミヒロは攻撃にこない、、、、、、、手のひらに風を作っている

・・・・またパームスピンかいな!!!????

クルクルと人差し指の付け根付近で綺麗な円軌道を画くKTと、その合間にできたバドシの思考時間

・・・・ダメや・・・そりゃあ今なら重心がどこかわかる・・・でもその後はまったくもってわからへんで・・・

ドクターKTは見事なまでのシンメトリー、外見ではその判断はしにくい

ヤミヒロはこの後、どちらのフォルムにチェンジするのか

指先に重心がある機動フォルムなのかその逆の火力フォルムなのか



・・・・・どっちや、、どっちや、、、、、、、どっちやッァ!!!!・・・

刹那、

・・・・ふぅ・・・・どちらにせよ負けやないか・・・・・



                             んだら!!!!・・・


ヤミヒロはみた。まだパームスピン慣性下にあるKTに立ち向かうフェニックス(バドシ)をみた。

・・・絶望的状況でもなお、、、

            なにかを見出すとは、、、

                      まさに不死鳥バードシー、、、なるほど




「これがお前の 【 可 能 性 】 か!!!」


「____________」


無音さえも無反応。

集中するということは脳の活動を活発化させることではない。むしろその逆、出来る限り使わない機能を剥ぎ取るとこ。精神を研ぎ澄ますバドシに音はない、あるのはただ勝利へのイメージとその動きだけ。


捻る攻撃を与えた際のことを思い出す。自分にとってあれは失敗ではなかった

ちゃんとKTのグリップに攻撃は当たっていた。よくやったぞ自分。

確実にうまくなってる。そりゃあ四六時中回してんだ、そうでないと困る。

そう、、、、そうっすよ____負けたくないじゃない_____


_____僕は勝ちますよ リーダー!!!


もはやキれることさえも排除したバドシの感覚は五指とそれに関連する筋繊維のみ

パームスピン中にも関わらず己のペンを向かわせるのはバドシの可能性。

どんな状況でも自分に正しく、”よくやった”と言える強さ。その強さに自惚れない清清しい精神。

だから一歩間違えればパワークラッシュの反則行為でも自分をしないと、そう思える。


・・・・・だって僕は、、、KTのグリップにだけ攻撃入れることが、できたんすから!


両者の距離はもはやすぐそこ。

「_____ツ!!!!!!!!!!!!!」

バドシは行った。まずは半回転だけインフィニティで間合いを確認し、即座にインフィニティリバースでトドメを刺す。さながらプロゴルファーによるホールイン直前のパターショットのような洗練さで

貰った__!!! KTグリップを見事に捕らえる、反則は成立しない。後はそのまま手の外へ_____  


              「楽しかったよ バドシ」


忽然とKTは飛躍した。KTは“自ら”の意思で空へと羽ばたいた。つまりバドシのそれはグリップに触れるもののすぐさま離され、逃げられてしまったということだ。

放物線でも直線でもない、ただヌルりと鈍足に、嘲笑うかのように、敵から離れていく脱走者

集中力で感性が鈍ったバドシには、それは亡霊、妖怪、オバケ、心霊現象、この世のオカルト全般、なんにでも見えてしまった。・・・・もう、やになるっすね。。。

しかしながら今一度正気を取り戻してそのオバケを視認すれば状況理解

「・・・・ペンを・・・・・持ち替えただけったすか!!!」

そう、ヤミヒロはただパームスピン中に使ってないもう片方の手でペンを移し、回しただけ。
 反則ではないのかとう声が聞こえてきそうだが、ペンを持ち替えるというのはそれだけでペンを落としたりペン以外を使った反則防御になりやすい危険極まりない技であるため反則指定になっていないのだ。そしてなにより・・・・



利き手チェンジ・・・その最大のデメリットにつけこもうとした・・・


                        ・・・それが不死鳥の最期だった。



「・・・・・・え・・・・・」


「・・・・・・・・あ・・・」


「・・・・・・・・・あああ」


「____________」・・・・・気づいてはいけないものに気づいた・・・・・


「ああ・・・・・・あああああああああ・・・・・」


「_____________________」・・・・だめだよ・・・・そんなのってない



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」



「____________う・・・・・・・・・・・」


「____う・・・そ_____や・・・・・・・・・」


「_________うそやろ____________」


バドシのペンは





何も触れることなく五指から離れ





そのまま床へと落下



正真正銘


完全に

完璧に


究極的に



ペンが床を叩く、、、、跳ねる、、、、ぶつかる、、、、転がる、、、、、止まる、、、完全に止まる。





_______静止した。  






    「勝負ありですわ 二本目もヤミヒロさんの勝利 二回戦はヤミヒロチームの白星」





勝負は三回戦まで、、、よって

「インフィニティバトルはこれにて決着  ヤミヒロチームが優勝ですわ」







           ・・・・負けた・・・・・






「ごめんなさい・・・・・・ごめんなさい」

「なんで謝るんですかバドシ 私も最後まで気づかなかったのですよ」

「それは・・・そうっすけど」

「オラは今の試合すげえって思ったぞ だから気にすんな」

「リーダー・・・・やっぱり強いっすよ・・・」

下顎が震えて歯音を立てるも決して涙は流さない、寸前まで溜めるも一滴たりとも溢しやしない。

・・・・だってこれ、、、勝った時の涙だったっすから・・・・・・・

勝てなくて悔しいという気持ちはある。でもそれ以上に自分の実力不足が悔しい。

相手は自分よりもぺん回し歴も練習時間も長い______だけど


・・・・“同じ手”で負けたんすよ・・・・僕は・・・・・!!!

バドシは箸を持つのも、ペンを握るのも、もちろんペンを回すのだって左手 サウスポースピナー

それに対しヤミヒロは右利き__しかしバドシとの勝負最中、終始”左手”でペンを回していた

普通ならすぐ気づくそんな違和感、されどヤミヒロの激しい攻防を前にそこまで気が回らなかった。いや、全てはバドシに悟られないためのヤミヒロによる策略

最後の最後にペンを持ち替えて、今までの勝負は”序章”だったと動揺させる悪魔のような罠


「完敗っすよヤミヒロ 一筋縄じゃいかないと思ってたっすけどまさかここまでとは」


そういいながら健闘の左手をリーダーへと伸ばしたバドシ


「約束通り_____もう終わりだ」


握手の手は拒絶の背中を見せて成立せず、ヤミヒロは右手で遣り戸を開く

・・・・この一歩、、、、、廊下を跨ぐこの一歩で、、、、すべては終わる、、、、

・・・・・・・・・やっとだ・・・・やっと終わったんだ・・・・・・・・

・・・・・これでいいんだ・・・・なにもかもうまくいった・・・・・・・

・・・・・・・・俺のストレート勝ち・・・・・・ホント・・・あいつ等ももう少し・・・・

・・・・・いや、もはやNPCと俺は関係ないか・・・・・・・・・・・・・・・・・

NPC結成以来、教師にマークされたり、テストがやばかったり、、樹海をさ迷ったり、、
、濃すぎる日々だった、、、、有り得ない出来事の連続だった、、、、、、

・・・・・・そう、、、俺には似合わない、、、臆病な自分にはそんなの日々扱いきれない、、、きっと罰が当たる日常・・・だから傷つけちまった・・・・・・・・

・・・・それもおしまい・・・・・・・・本当の意味で全ておしまい・・・・・・

・・・もちろん友を傷つけた出来事が無かったことになるといいたいわけじゃない・・

・・・・ただ、もう二度とそんなことにはならないように・・・自分を縛り付けるだけ・・

・・・あの時の痛みは一生忘れないよう常に思い出す・・・・・・・・・・・・・・

・・・出来る限り、考えうる全てを使って自分を抑圧する・・・・・・・・・・・・

・・・・別にいいじゃないか・・・・死ぬわけじゃない・・・人生まだまだこれから・・

・・・・・・・・まだまだ・・・・・・・・これから・・・・・・・・・・・・・・

・・・・山猫のじいさんだっていってた・・・俺はペン回しが嫌いだって・・・・・

・・・・吉宗先生には、バスの件で散々叱られた・・・いつからお前はそんな性格になっちまったんだって説教の最中に何度もいわれたよ・・・・・・・何度も何度も何度も何度も・・・・・・

・・・てっさんの言ってることは難しくてあまりよく分からなかったけど、”ただなにも無いまま一生を終える”ことはないらしい・・・ならもうなにも考えず、ただ流されて生きていったっていいだろ・・・・・・・・・違うのかよ・・・・・・・

開ききったドア。後は去るのみとなった教室。背中からでもヒシヒシと無数の視線を感じる

が、誰として言葉を発しなかった。当然だ。俺は勝ったのだから・・・・勝ってしまったのだから・・・いや・・・・

「なに考えてんだ俺・・・」

そうボソッと自己嫌悪をつぶやくヤミヒロに対して後ろからは声はない




                            
         だがしかし、前からはあった。


「なによ独り言?? まったくウチのリーダーはこれだから風格ないのよ」



突如 鎖骨付近を押されるヤミヒロ。柔な片手だからと甘くみたが予想以上に教室へとバックしてしまった。

「ッ! なんだよ・・・いt・・・・・・」

その甘い香りを伝播させるショートカットよりも、

凛とした淀みの一切ない目元よりも、女の子らしい妖精のような肌よりも、

細くそれでいて儚さを感じる長いまつ毛よりも、

____ただ_____


           ・・・・右手を巻きつける包帯に釘付けになってしまった。

そう彼の目の前にいる少女は紛れもなくNPC副リーダードンマロ。

「なによ文句があるなら言ってみなさいよ」

「・・・・怪我・・・大丈夫なのかよ」

「ええ大丈夫  全然平気ねこんなの 余裕だわ」

「・・・おれ・・ほん・・・・・ぐってくれ・・・・」

「は? もっと張りのある声出せないのリーダー」

「俺を本気で殴ってくれ!」

「・・・ッ!!!」

刹那、ドンマロは自分の唇を強く噛んだ後で、それではまったくもって耐え切れないとヤミヒロの胸部に強烈な頭突き叩き込んだ___その予想を越えた行動にヤミヒロはバランスを崩して床に倒れこむ

ドシャン!と周囲にあった椅子を弾き飛ばしながら盛大に尻餅をつくヤミヒロ___腰に手をあてながら状況を確認しようとするもドンマロはそれをさせない

瞬く間にヤミヒロの目の前まで来れば俯瞰し、スカートが見えるなんてお構いなし今度は足でリーダーを蹴り飛ばす。

腹筋に一発、、、みぞおちに一発、、、喉仏に一発、、、どれも利き足を使った刃を刺すような蹴り。

朦朧とする意識の中、ヤミヒロは仰向け状態で息を荒げる。 それでもなんとか立ち上がろうと震える足を曲げてみるも

「----ッ!!」

まるで曲った鉄を、熱と打撃で正す鍛冶屋のような垂直蹴りが最後の一撃

合計四発の殺人蹴りをくらったヤミヒロは再び倒れこむ

もう当分立ち上がれない__そんな考察をしたところで突如なにか、巨大な“わたあめ”でも乗せられたかのようなふわふわとした、それでいて少し暖かい感触をヤミヒロの上半身は得ている
。___ドンマロだった。


どこからそんな力が沸いているんだというほどヤミヒロをしっかりマウントしたドンマロは、しかし磨り減ったカセットテープのような声でこう問うてくる

「今さっき、なんていったの・・・」

「・・・・なに・・・てなにが・・・」

「俺を本気で・・・なんですって?」

「ああ 俺を本気で殴ってくれ・・・そういったんだ  わかるだろ・・・俺のせいでお前はそんな手になっちまったんだから!」

「ふざけんじゃないわよ!!!!」

ヤミヒロの胸倉を掴みながらその憤怒の声は校舎全体に響き渡る

そして殴る。顔面を、鬼の形相で殴り続ける。一回一回、腕ではなく腰を使いながら渾身の拳を振り下ろす。

「ふざけんなふざけんなふざけんなああッ!!!!!」

ドンマロはそう、なにかにとり憑かれたかのような猛獣の息で何度も何度も殴り続けた

手が赤く染まろうとも関係ない。ヤミヒロの頬が千切れそうならそれでいい。

・・・・こんなのがうちらのリーダーっていうなら、死んでしまえばいいのよ・・・

「やめましょうドンマロ」

そう殴るドンマロを止めたクルタン。片方で腕を掴み、もう片方で手首を掴んで静止させようとしたクルタンだったが、片方の手だけで容易く止まった。相当疲労している証拠だ。

「私の勝手でしょ 離して」

「貴方はリーダーになにを求めているのです。 ただ殴って、それで解決することなのですか」

知らないわよそんなの!と、左肩に残された最後の筋力を使ってクルタンの手を振りほどく

「シュッシュッ・・・・これは私個人ではなく、メンバーの意見です 聞いてください」

「なによ」

「NPC副リーダードンマロは今も大事にそこにいますか?」

彼女は即答した

「当たり前よ・・・!!」

そして深呼吸したのち

「ヤミヒロはNPCのなに?」

「勝負には勝った 俺とNPCは関係ない」

「・・・・・これで終わったと思ったら大間違いよ」

そこまで言うなら最終手段ね、とドンマロは急に顔を下げた

不適な笑み、口を大きく開けて整った前歯をチラつかせたと思えば

なにか確かめるように口の中に舌を回し、喉元が微かに上下する

それと同時に、ボロボロになったドンマロの左手はヤミヒロの耳元で柱を建てた

近づくピンク色の唇はこの時期にしては妙に潤いを保っている。やはり女の子だからリップクリームとかつけているんだろうか___にてもやわらかそうななんとも淫猥な形状をしたそれに、ヤミヒロは動揺せざるを得ない

・・・・なんだ・・・・・なにをする気だよ・・お前・・・・・・

         

             ヤミヒロは顔の一部に感触を得た。

瞬く間に顔全体を包み込んだその感触はまるで目の前が真っ白・・・・・いや、本当に真っ白だった。そして微かに匂う麝香の香りに心地よくなりながらも慌てて首を上下に振れば視界は開けた

眼前には“なにかを咥えた”ドンマロがいる。

意味が分からない・・・なんでそんなことをしているのか、ヤミヒロは頭の中まで真っ白になった

ふわふわとした、柔らかく、、不思議な感触

                               このままでいいはずがない


閉じられた視界を取り戻すようにして頭を左右へと振るが、やはり夢ではない

触感もそこにいるドンマロも、、、力の抜け切った自分の体までもがきちんと実在している

このままでいいはずがない

ヤミヒロは最後の抵抗だと、自分の唇を動かした



「おまえ・・・・・・なんのつもりだよ・・・」

「なにって・・・・・“本気で殴るため”に決まってるでしょ」

口を使って器用に解きながらヤミヒロの顔へと垂らす白いそれは、間違いなくさっきまで己に巻き付けていた包帯

「殴るってつまり手を使えってことよね しかも本気でってことは、利き手である右手を使えって要求よねえ?」

そういいながらドンマロは骨折した指の一本一本に無理やり力を入れて殴る形に作る

まずは手を折って、その後で第一関節を曲げる。が、骨と骨が擦れる激痛にドンマロの全身は硬直を繰り返す・・・しかし

「し、知ってる リーダー・・・・・素手での殴りあいってね、殴られる方よりも殴る方がよっぽど危険なのよ

ハリウッド映画とかじゃ失神させたりするけど、実際はそんなこと稀らしいわ 人間の頭蓋骨って丈夫なのね・・・・ッ!つ~ きくきく」


「殴る方がはるかに危険  小指は負荷が掛かればすぐに折れちゃうし、相手の歯とかに当たって手が切れたら大惨事ね   そうなった多くは手の内部奥深くまで切り込みが入って、しかも黴菌の侵入を許すから適切な治療を施さないと手遅れなんてこともざらにあるらしいわ

当たり前よね、普段は菌が入りえない箇所に菌が入るのだから免疫細胞が暴走して自分の細胞まで破壊していく・・・下手したら手を切断ってこともあるかも」




        「っで、、、ヤミヒロはさっきなんて言ったのよ」





「・・・・・・・・」


「なんて言ったのよ!」


「・・・・・・・」


「答えなさいよお!!!」


「・・・・・・・」


「殴る側の方が危険なんて知らなかったかもしれない アンタ馬鹿だから」

「本気でって言葉の意味も考えず突発的に発しただけなのかもしれない アンタアホだから」

でもね
「ペンスピナーの私に対して“殴れ”って・・・リーダーはそんなこと言ってなにも感じなかったっていうのッ?!」


「_____」


「アンタもスピナーでしょ  私達のリーダーだよねヤミヒロ!!」


「____」 


「・・・じゃあ・・・・・・・・_________行くわよ」

ドンマロの口内は痛みに耐えるために施した処置で、もはや血味で満ちていた

それでも左手を使って無理やりその”本気の利き手(右手)”を丸め込ませれば型の完成。あと全体体重を使って振り下ろすだけ、、殴るというより落とすに近いけど、もうそれしかないのだからそれでいい。そうすればきっと、、、______私の手を使い物にならなくなる



____スピナーがそんなことしちゃいけない?


_____いいのよ別に、目の前にいるこの人間を信じてるから


______今でもペン回しが大好きなスピナーだと信じてるから


______だからこの打撃は成立しない 絶対に手のひらで掴まれて避けられる


______反面、もし違ったらアウトだけどね 

_______迷いなんか一切ないわよ___痛みなんてもう慣れたわ

_____まったくウチのリーダーはなんにもわかってない

______アンタの痛みより私の痛みの方が大きい?__当たり前じゃないそんなの_

____アンタは私の痛みしかしらないでしょ???______

_____私はね______その四倍よ_____

____バドシの、テルの、クルタンの、NPC皆がリーダーを失いかけてる痛みを知ってるのよ___

・・・・・アンタが辞めるとか言い出した以降、、、、、あんな終始無言の冷めたペン回しをするグループなんて・・・・二度とゴメンなのよ・・・・・

・・・・そしてなにより、あんな凡ミスで大怪我しちゃった私が一番憎いのよ・・・・





             ざけんな 





・・・・NPCが私の事故で壊滅するなんて絶対に許さない・・・地獄に落ちようとも許さない・・・・だから...、、、、私は私自信の意志で、、、私の中にしかない唯一無二の魂で、、、、、全身全霊で、、、、、







__________今からリーダーをぶん殴るんだから__________________







少女は高々と右手を伸ばしたのち、彼の頭部のすぐ横の床に自らの額を押し付ける。

完全に”入る”構え。誰にも見えないからと安心したかドンマロの頬には一縷の涙が流れた。

「それじゃあいくわね」

そんな柔らかい口調で歯を噛み締め、ドンマロはギロチンの如く骨折した右手を振り下ろす

「・・・・おいおいやっぱ止めた方がいいんじゃねーか」

「決めたっすよねテル君 俺らはもうドンマロに託すって」

「シュッシュッ・・・・・・・・・NPC副リーダーの意地、、、信じさせてください」

その拳は血管を圧迫しながら、自らを絶つように全力で、、、、殴り落とされた

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             「なんでだよ」




痛みで麻痺した右手が今、どうなっているのか分からないドンマロ___が、その言葉を聞いて状況が飲み込めた



・・・・・なんとか・・・・・・・やったかしら・・・・ね・・・・



「・・・なにがよ・・・・・その手はなに・・・・・・条件反射?」

「違う 俺の意思でお前の手を止めた」

「意味不明ね」


「それはこっちのセリフだよ____なんだよ__なんでそこまでするんだよ・・・」


                   ・・・せっかくうまくいくとおもったのに


「意味わかんねぇ・・・・・そんなキャラじゃねーだろお前」


              ・・・俺を本気で殴れといえば、軽蔑されると思ったのに


「お前らも同じだよ・・・なんで本気で止めないんだよお!! ドンマロの手 ダメになるところだったんだぞ!?」


              ・・・・無視されて、相手にされなくて、、、今度こそNPCとさよならができるって・・・そう思ってたのに・・・


「ああ!!!???  それでもお前らスピナーかよ!!!!答えてみろよ!!!!」



                   ・・・・なんで本当に殴りにくんだよ


「アンタが辞めるなんて絶対に許さないからよ」

               ・・・・・・なんでそんなに自信たっぷりなんだよ

「ヤミヒロさんはうち等のリーダーっすから」

                ・・・・・・・・・・・なんでそんな笑顔なんだよ

「そうだそうだ コンキョ? そんなのしるか~ なんだ~」

              ・・・・・・・・・・・なんでそんなに堂々としてんだよ

「シュッシュッ・・・」

               ・・・・・・なんでライター、スラッシュさせてんだよ

              「・・・・まったく・・・意味わかんねぇ・・・・・・」

「リーダー あんたNPCを辞めたい?」

「辞めたくない・・・と思う」

ダメだ どうしても踏ん切りがつかない

これでも真剣に悩んでたんだ そうコロコロと意見が変えられるほど器用な人間ではない

自分自身はペン回しが未だに好きだと、バドシとのインフィニティバトルでヒシヒシと感じたけど、、、やっぱり気持ちの整理がつかない___”もしかしたら”が収まらない

そんな優柔不断の俺に対し、ドンマロはきっと怒鳴りつけるだろうなあと予想したが、しかし

「そう、ならそれでいいわ」

「・・・え?」

「そう思ってるなら仕方がないって言ってるの」

「・・・・案外大人しいな 俺はてっきり...」

言う前に、怒るとでも思った?と呆れ顔で先に言われてしまうと、続けて

「私がなんで今まで怒ってたかわかる? NPCを辞めるって言い出したからじゃないわよ

ペンを無くして、、、それでNPCを辞めるってほざいたからキれたの

それってつまり、窃盗犯に自分の道を決めさせたってことじゃない」

たしかにソノ通りだとヤミヒロは思う。他人に流されて生きるための一歩だとも。

「ヤミヒロはNPCグループと合わないかもしれない それはわかった

寂しいけど、アンタが誰からの干渉もなく自ら決断したことならしょうがない

今度はスピナー仲間としてではなく友達としてやっていくだけのこと。私も小学生じゃない

アンタの意見は尊重する。」

でもね

「自分の道はただ一人、自分だけで決めなさいよ! 甘ったれるなバカヒロ!!!」

「なっ・・・」

コドクに続く新たなニックネームの爆誕に虚無感を抱きながらも、

・・・・たしかにその通りだよな・・・・

自分のことは自分で決める。

他人に流されることが自分が歩む道だとしてもそれは変わらないとヤミヒロは思う

・・・心のどっかで、、、失敗したら他人のせいにしようという甘えがあったのかもしれない・・・

「でも・・・俺はこれからどうしたらいいんだ。あ、これも自分で決めなきゃダメ?」

「いいえ 手助けなら私達に任せなさい 道を作るのは友達なんだから手伝ってあげる でもその道を進むかどうかは自分の意思だけで決めなさい さあ校庭に集合よ」

そういってNPCメンバーだけで集まればもう夕暮れ、しだいに冬を感じる風が吹けば、学ランとコートだけではちと寒い

「クルタン 例のこ ちゃんと着てるでしょうね」

「シュッシュッ・・・その前にヤミヒロさんへ説明が先でしょ」

それもそうね、手を叩くドンマロはリーダーに今後の予定を話した

「これからNPCメンバー全員で、無くしたヤミヒロのペンを探し出します!」

・・・・え?・・・・・ああなるほど・・・

「ペンを取り戻せば、純粋な自分の意見を主張できると、そういうことか」

「シュッシュッ そういうことです。 干渉してくる相手を除去すればいい そういうことです」

「除去って汚い言い方だなおい」

「実際に小汚いドロボー風情じゃないっすか! 容赦なしは当たり前ェッ!」

「んで、 どうやって見つけ出すんだよ」

ペンを無くしてからもうかなりの日数が経ってる。しかも一旦外に出たということは屋外を探し回るということだろうか・・・・見つかるとはまず考えずらい

「・・・もしかしてまた俺のペン GPS的なイタズラされてた?」

「シュッシュッ____そうであったなら楽勝だったのですが、、残念ながらそういうことでは・・」

「でも秘策はあるのよねクルタン! さあさっさっ呼びなさいよ」

「わかりました・・・では、、、、」

なにかを口にくわえたクルタンは次の瞬間、ピューーーーーーーーーーと高音すぎてあまり聞き取れない音を響かせた

そして、なにやらドタタタタタタと砂埃を上げながら猛スピードで近づいてくる影がある

ん?_____勘違いだろうか______俺はヤツを見たことがある気がする

ドタタタタタタタタタタタ

んん?____偶然だろうか___俺はヤツの特徴的すぎるシルエットに見覚えがある

ドドドッド度ドッド度々ドッド度ドッド

んんん?________お前かあああ____!!!!!!!!!!!


「ゴホッゴフッ・・・よくもまあ、盛大に砂埃撒き散らしやがって、ふざけんなよ!  てかなんでこいつがここにきてんだよ・・・・まさか・・・・」

「そのまさかです シュッシュッ・・・このこは私の可愛いペットです」

「・・・え?  この土佐犬捨てたのクルタンだったの?」

「土佐犬じゃありません 土佐犬のすかりたんです。ちゃんと名前で呼んでくださいね」

「う~ よしよしよし あ、ヤミヒロ! すかり~とか呼び捨てはダメよ きちんと
 す か り た ん ちゅっちゅっ~っていってあげないと許さないんだからね~きゃっきゃ~かあいいようかあいいよう あ~う~」

なんだこのドンマロキャラ変わりすぎだろ気持ち悪い吐き気がする、いやいやそんなことよりもこのライターマンに言わねばならないことが

「なんで危険種を捨てるような真似したんだ 犯罪だぞ」

「シュッシュッ すかりたんにはヤミヒロの家に侵入してヤミヒロ臭を覚えるという重大な任務があったのです  全てはそう...」



次の言葉で、亡霊のダイブスピナー編、最終ミッションが始まった




      「ヤミヒロ臭がこびりついたヤミヒロのペンを見つけ出すためにです」



        「く~~~~~ンッ!」



「可愛く鳴けるじゃねーか! こんちくしょ~!!!!!」

                              最終章1/1に続く

●筆者「くそっwwwやっぱり間に合わなかった 四月までには完結編うpしますのでよろしくです><」

                             

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6 コメント

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Unknown (不死鳥と化したバド氏)
2013-03-09 05:21:29
まさかのすかりたんで大草原不可避ですね・・・

相変わらずの予想を遥かに上回る怒涛の展開良いゾ~コレ

ていうかヤミヒロ兄貴強過ぎィ!
Unknown (主人公ヒロ)
2013-03-14 08:36:24
すかりたんを発案した時がバイト中だったのですがにやにやが小一時間止まりませんでしたね・・・

ありがとうございます次回で完結! 三月中には・・!!三月中には公開してみせるんよー

やっとヤミヒロさん主人公っぽくなってきたw
Unknown (くるたん)
2013-03-27 23:24:15
全然まだ読めてないお(>_<)寂しくなったら読みます!!
あっ俺のテーマソングはビートルズのcome together でお願いします!!
Unknown (くるたん)
2013-03-27 23:25:39
全然まだ読めてないお(>_<)寂しくなったら読みます!!
あっ俺のテーマソングはビートルズのcome together でお願いします!!
Unknown (くるたん)
2013-03-27 23:26:57
全然まだ読めてないお´・ω・`
寂しくなったら読みますw
あっ俺のテーマソングはビートルズのcome together でお願いします!!
Unknown (やみひろ)
2013-03-30 23:12:32
また君か、壊れるなあ。

ぜひよろしく 読んだらコメントくれると嬉しいな!


come together聴きました おしゃれな曲調ですな~と思いましたがところどころシュッシュッ言ってて笑いましたぞ  
テーマソング決定です。

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