認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

アルツハイマー型認知症の発病の予防と早期診断とを国民的な課題に(Bー44)

2015-09-01 | アルツハイマー型認知症の予防と脳の活性化

 早くして もう待てないの 瀬戸際よ

   最後の打つ手 誰が担うの By kinukototadao

 

     

○ 「アルツハイマー型認知症」を発病する対象者とその年齢

世間から(日本だけではなくて、世界中の学者や研究者や医師達など、いわゆる認知症の専門家達から)発病の原因が分からないし、発病を治す手立ても分からないし、発病を予防する方法も分らないとされている、「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症は、晩発型アルツハイマー病」とも別称されているように、発病する対象はお年寄りばかりなのです。私たちのデータでいうと、60歳を超える年齢の「高齢者」だけなのです。50歳代で発病する人は皆無とは言わないまでも、極めて稀なことを知っていただきたいのです。

 一部のマスコミが、一時期、働き盛りの年齢の50歳代で、「アルツハイマー型認知症」を発病する人達が増えてきていると報道して、世間を騒がせたことがありますが、あれは、大間違いなのです。最も肝心な要件であり、且つ不可欠の要件である「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)の機能レベル(その人の「前頭葉」が正常な機能レベルにあるのか、異常な機能レベルにあるのか)を確認することさえもしないで、重度の「記憶障害」の症状さえ確認されると、「アルツハイマー型認知症」の発病だと誤解(考え違い)しているだけのことなのです。

 ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続する中で廃用性の機能低下が起きてくるとき脳全体の機能の中で、最初に衰えていくのは、脳全体の司令塔の役割を担っていて、私たちの意識的な世界を支配し、コントロールしている「前頭葉」の機能なのです。従って、「前頭葉」の機能が正常な機能レベルにあることが確認される限り、その人たちは、どんなに重度の記憶障害の症状を示そうとも、「アルツハイマー型認知症」を発病してはいないのです。「新しい記憶」が全く入っていかないというタイプの重度の「記憶障害」の症状を示すのが特徴である「側頭葉性健忘症」は、その一例なのです(ここを「クリック」してください)。

      

& アルツハイマー型認知症の正体は、脳の使い方としての「生活習慣病」

これまでにこのブログで詳細に説明してきているように、「アルツハイマー型認知症」は廃用症候群に属する単なる「生活習慣病」であり(ただしそれは、脳の使い方という視点での生活習慣が発病を左右する要素ということに注意してください、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルそのものがそのまま認知症の症状となって発現する、言い換えると、私たちが「回復の可能性」という視点から「三段階」に区分する認知症の症状、脳のリハビリにより回復させることが容易な「軽度認知症」(小ボケ)、次いで、脳のリハビリにより回復させることが未だ可能な「中等度認知症」(中ボケ)、最後に末期の段階であり回復させることが困難な「重度認知症」(大ボケ)の症状として発現するものなのです(ここを「クリック」してください)。

 その際、「小ボケ」、「中ボケ」、「大ボケ」へと症状が進行していく(重症化していく)原因(条件)となるのは、「加齢」以外の要件としては、生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものもない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続されていること(それだけ)なのです。分かりやすく説明すると、「前頭葉」を含む脳全体の出番が極端に少ない「単調な生活」が日々繰り返され、継続されていること、それだけが、発病及び症状が重症化していく原因となるのです。

     

「アルツハイマー型認知症」の症状が進行していく際に、この重症化の順序が、逆転することはないし、「小ボケ」の段階から一気に「大ボケ」の段階に症状が進行することもないのです。特定の遺伝子に生まれつき異常が認められる人達だけが発病する狭義の「アルツハイマー病」(若年性「アルツハイマー病」とも別称されます)の場合の症状の進行過程(極めて急激に症状が進行していってしまうのが特徴であり、且つ回復させる方法は、現代の医学水準の下では皆無)とは全く異なっていて、日々の脳の使い方としての活性化が期待できるような「生活習慣」の有無並びにその程度及び態様の影響を直接受ける「アルツハイマー型認知症」の場合の症状の進行は、極めて緩やかなものであって、私たちの言う早期の段階(「小ボケ」及び「中ボケ」の段階)で見つけて、脳のリハビリ(脳の使い方としての「生活習慣」の改善)を実行させることにより、正常なレベルに「前頭葉」を含む脳全体の機能を回復させることができるのです。

しかし乍ら、「大ボケ」の段階にまで症状が進行してしまうと(末期の段階である「大ボケ」の段階で見つけていたのでは)、正常なレベルは愚か、「中ボケ」の段階に回復させることさえも困難になってしまうのです。「大ボケ」の段階にまで症状が進んでしまうと(「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルがそこまで衰えて行ってしまうと)、回復への道は閉ざされてしまうのです。「大ボケ」の段階に区分される中での症状の更なる進行、即ち、身体が持つ限り(命がある限り)症状が緩やかながらも重症化して行き続けるということになるのです。

   

& アルツハイマー型認知症のお年寄りの「家族介護」の問題

「小ボケ」や「中ボケ」の段階であれば、「家族介護」に重要な意味があるのです。要求される「脳のリハビリ」の実行自体を家族が支えることが不可欠ではあるのですが、脳の機能レベルに対応した脳のリハビリ(脳の使い方としての生活習慣の改善)が要求されるだけなので、それ自体はそれほど家族の負担にはならないだけでなくて、脳のリハビリの実践を家族が支えることによって、正常なレベルに回復させることができるからです。家族にとっても大きな達成感が得られることになるのです。

これに対して、「大ボケ」の段階にあるお年寄りを家族が支えるということは、症状がさらに進んでいくという困難な状況の拡大下で、家族が本人のセルフケアを支えることだけが要求されるという内容となってしまうのです。「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルがそこまで衰えてきてしまっているので(ここを「クリック」してください)、脳のリハビリは効果が期待できなくなり、そこには介護しかないのです。

  

同じ「大ボケ」の段階に区分される症状と言ってもその幅はとても広く、「前頭葉」を含む脳全体の機能が更に衰えていく中で、「前頭葉」自体が次第に機能しなくなっていきつつ同時に並行して、「左脳」が次第に機能しなくなっていき(左脳の認知機能障害が進行していくので、言葉による理解が次第に難しくなり、コミュニケーションの道が次第に閉ざされていき、「失語」の症状が出てくるようにもなる)、次いで、右脳が次第に機能しなくなっていき(併せて、右脳の認知機能障害も進行していくようになり、物の形や空間の理解も、音の理解も、知人の顔や家族の顔や自分の顔の理解さえも次第にできなくなっていき、自分が住んでいる家さえも自分の家と理解できなくなっていく等といった「失認」の症状が出てくるようにもなる)、最後は、運動の脳が次第に機能しなくなっていく(更に併せて、運動の脳の機能障害も進行していくようになり、着衣失行と呼ばれる症状「服を自分で着ることができなくなる症状」、或いは構成失行と呼ばれる症状「使い慣れた鋏や歯ブラシなどが使えなくなる」等といった「失行」の症状が出てくるようにもなる)ことになるのです。

「大ボケ」レベルのお年寄りを家族が介護する中核となると、介護する側の家族の自由な生活の道は閉ざされていき、介護する側の家族も共倒れとなってしまうのです。

       

 このような政策、「大ボケ」のレベルに衰えてきているお年寄りを家族が介護するという政策を制度化することは絶対にとってはならないのです。「大ボケ」の段階での介護こそ、介護保険で対応すべきなのです。現状は、蛇口を開きっぱなしにしたままでいるので(発病の「予防」にも無関心で、早期診断による「回復」にも無関心なままで、回復させることが困難になる末期の段階の症状を基準にして見つけているだけなので、医療費も介護保険の費用も増大する一方の状況なのです)、介護保険の財政的な破綻が心配になるのです。それなら、発病自体を予防する「地域予防活動」を制度化し及び「脳のリハビリ」により回復させることが可能な本当の意味での早期の段階(私たちの区分でいう、「小ボケ」及び「中ボケ」)で見つけて回復させる「早期診断」を制度化すべきなのです。これは医学的な可能性の問題なのではなくて、単に、政策的な課題に過ぎないのです。

 

     

& 「前頭葉」を含む脳全体の機能の衰え方に厳格な「規則性」が存在

なお、特筆すべき特徴として、「アルツハイマー型認知症」の場合には、脳の機能が衰えていく場合に明確な順番(規則性)があるのです。アミロイドベータの蓄積でもなく、タウタンパクの蓄積でもなく、脳の委縮でもなくて、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベル(脳の働き具合)が廃用性の異常で加速度的な機能低下を進行させていくその進行具合に対応しつつ、症状の重症化が進行していくので、MMSで測定する際の下位項目に、衰えていく明確な順番(厳格な規則性)が確認されるということなのです。私たちが開発した「二段階方式」を活用して得られた精緻な「アルツハイマー型認知症」の症例14689例を解析して得られた特徴なのです。

 

       

○ 「アルツハイマー型認知症」を発病する年齢別の発症率

私たちのデータによると、「アルツハイマー型認知症」を発病する「年齢別」の発症率は、「第二の人生」が始まったばかりの60歳代で12%もの高い割合を示します。更にその割合は、年齢が上がるにつれて高くなっていき、70歳代で30%、80歳代で50%、90歳代で75%、100歳代で97%にもなるのです。ただし、ここで言う「発症率」を示す数値は、「小ボケ」、「中ボケ」及び「大ボケ」の段階にいる人達の全てを含んだ数値だということに注意してください。

 厚生労働省が発表している、「我が国には現在、450万人を超える認知症患者がいる」とする推計値は、「大ボケ」の段階の人達だけの人数なのです。私たちのデータによると、「小ボケ」と「中ボケ」とを併せた人数は、「大ボケ」の人数の4倍にもなるのです。しかも、一口に認知症といってもその種類は数多いのですが、その大半、90%以上を「アルツハイマー型認知症」の発病者達が占めるのです。

「脳血管性認知症」の診断が極めてずさんであることや「小ボケ」と「中ボケ」の段階の人達が見逃されていて、発病者総数や種類ごとの発症割合の人数に含まれていないことにも注意していただきたいのです。

 

    

&「アルツハイマー型認知症」の地域予防活動を国民的な課題に

○ 高齢化率25%が「二段階方式」導入の目安となる

私たちが市町村における「アルツハイマー型認知症」を対象とした「地域予防活動」を開始したのが1995年、今からちょうど20年前のことになります。それから「平成の大合併」が起きるまでの間は、「二段階方式」の導入先市町村(市の規模、大規模な市での導入は例外的)の数はうなぎのぼりに増えていきました。但し、それらの大半は、人口数が少ない市町村でした。そうした「二段階方式」の導入を急いだ市町村は、「高齢化率」が25%を超えているのが通常のケースでした。「高齢化率」が25%を超えてくると、徘徊する人達が増えてきて、対策に困った首長が注意を向けるテーマとなったものでした。ところが、現在では、我が国全体ベースで、「高齢化率」が25%を超えるところまで来ているのです。発病の予防というテーマを考えることもなく、早期診断による回復の道を考えることもなく、蛇口を開きっぱなしにしたままで居て、思いつく対策はといえば、介護保険料率を上げたり、果ては、「大ボケ」のお年寄り達の徘徊を地域で見守る程度のことしか考えないで良いというのでしょうか。

 

    

○ 予防にも早期発見による回復にも、医療機関は無関心

我が国は、今や、国全体での高齢化率が25%を超えるところまで来ているのです。どこに行っても、お年寄りが溢れているのです。この先、認知症を発病するお年寄りの数は(然も、その大半、90%以上を「アルツハイマー型認知症」の発病者が占めるのです)、増えていくばかりなのです。医療の現場で行われていることと言えば、発病自体の「予防」活動を考えもしないで、早期の段階で見つけて「治す」ことにも無関心で、回復させることが困難な末期の段階で見つけるだけの「医療行為」しか行われていないのです。

高額な診療報酬が得られるだけで、本当の意味での早期の段階を判定するには何の役にも立たないCTやMRIやPETを使用して、回復させることが困難な末期の段階で見つけて、その上、効きもしない薬を何種類も処方するだけで、医療機関(医師)としての社会的使命を放棄しているのです。1000兆円を超える累積債務を抱えていながら、こんなことがなぜ我が国では許されるのでしょうか。

      

○ 税金の無駄遣い、垂れ流しを許していてもいいのか

企業でのお勤めの経験がなく、世事に疎い私には、どうしても理解も納得もいかないことなのです。1万円札の新札を束にして、100万円の束で1㎝の厚さになります。この基準で計算すると、1000兆円という金額は、1万円札の新札を束にして、1万キロの高さになってしまうのです。基準自体の規定内容に重大な誤りがある「DSM-4」の規定をある意味で逆手にとって、錦の御旗に掲げて、「アルツハイマー型認知症」を、発病の予防もできないし、治すこともできないタイプの認知症であるとしたままで居て、年間20兆円を超える血税からの医療費(介護費用を含む)が投入されているはずなのです。然もこの金額は、この先増大する一方だと試算されてもいるのです。

○ 「アルツハイマー型認知症」の予防と早期診断による回復

「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症は、廃用症候群に属する単なる「生活習慣病」でしかないのです。発病自体の予防も(脳を活性化させる「生活習慣」の構築とその実践というテーマを、市町村の保健師さんが中核となり地域と協働して実践する形での「地域予防活動」のシステム化及び制度化)、本当の意味での早期の段階である「小ボケ」及び「中ボケ」の段階で見つけて(調剤薬局やコンビニが主体となって実践する早期診断)による脳のリハビリ(脳の使い方としての「生活習慣」の改善)により、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルを正常なレベルに改善させる(治す)ことも、できるのです。これを国民的な課題として、全ての市町村で、全ての地域で、60歳を超える年齢の全ての「高齢者」を対象にして、国民的な課題として取り組むのです。徘徊する老人を地域全体で見守るというシステムの制度化は、やっても構わないこととは思いますが、順番を間違えた本末転倒の政策なのです。発病の予防に全力を挙げて、早期診断により回復させることに注力して、その上で余力があるのであれば考えるべきことなのです。

    

○ 地域予防活動及び早期診断の担い手は、医療機関ではない

「地域予防活動」は、市町村の保健師さんが主導しつつ地域と共同して実践し、早期診断は調剤薬局やコンビニが主体となって指導することをシステム化する(実践企業には、何らかの税制上の優遇措置を講じる)のです。こうしたシステム化によって、発病自体を予防し、早期の段階で見つけて治すことができれば、現在投入されている20兆円を超える規模での血税の投入は、その大半が不要となって、子育て支援を含む他の有効な政策の実行に投入することができるのです。言わば、「蛇口を開きっぱなしにしたままでいる」のでは、発病者が増え続けるのは当たり前のことなのです。

「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症は、症状が緩やかにしか進行していかないことと身体が持つのが特徴なのです。何らかの他の病気が原因で、死を迎えることになるその時まで、症状が進行し続けていくだけなのです。すなわち、現状の制度のままでは、医療機関や製薬会社への血税の垂れ流しが続いてしまうということなのです。

    

○ 平成の大合併による「地域予防活動」継続への大打撃

ところが、人口数が大きい市や町(言い換えると、高齢化率が低い)が、人口数が小さい町や村(言い換えると、高齢化率が高い)を、吸収合併した平成の大合併により、吸収合併された側の町や村が行っていた「地域予防活動」の大半が中断されてしまったのです。

 企業の合併では、合併の効果をできるだけ早期に達成することが最大の目的であり急務となるのですが、市町村の合併の場合は、合併の効果として何を達成すべきなのかが明白でなく、効果の達成も急がれず、吸収した市や町が吸収された町や村で先駆的な活動として行っていた「地域予防活動」を、業務の突合せと見直しという作業により、自分たちが行っていないというだけの理由で、事業内容の検討も成果の確認も為されないままに、不要不急の事業であるかの如くに扱われ、大半が中断されてしまったのです。

 

    

○  市町村による「地域予防活動」と調剤薬局及びコンビニによる「早期診断」を国民的な政策課題に

国全体での高齢化率が25%を超えるに至った現在では、国は、どのように対応しようと考えているのでしょうか。発病の予防も、早期の段階(私たちの区分でいう、「小ボケ」及び「中ボケ」の段階)で見つけて治すにも、脳の使い方としての「生活習慣」の改善という方法しかないのです。

「アルツハイマー型認知症」の正体が廃用性の「生活習慣病」であるという、発病のメカニズム自体に鑑みるとき、「アルツハイマー型認知症」の発病を予防できたり、症状の進行を抑制できたり、或は治すことができる効能がある薬など存在するはずもないのです(ここを「クリック」してください)。結果を生じさせている要因を詳細に観察し、精査し、厳密に判定してみれば、症状の進行が遅くなる(進行が緩やかになる)という結果に対して影響を与えていると考えられる種々の要因と症状の進行が遅くなったという結果との間の因果関係を厳密にチェックし、評価してみれば、薬が効いた結果でないことが分かるのです。研究者たちはそこのところをまだ知らないだけで、薬(治す効果は期待できないが、症状の進行を緩やかにする効果が期待できると銘打った販売がなされている薬のこと)が効いているかのように誤解しているだけなのです(ここを「クリック」してください)。私のこのブログ「アルツハイマー型認知症の(症状)の進行と段階的症状の各期間(A-67)で取り上げている、「脳を活性化させる生活要因」と言う諸条件を排除して、因果関係を判定すべきなのに、そのことにさえ気づいていないのです。因果関係の検討と評価の過程が雑なだけなのです。

    

○ 予防活動と早期診断の担い手は、医療機関には期待できない

一方で、医療機関は、高額の医療費が稼げるだけで(回復させることが可能な本当の意味での)早期の段階の発見には何の役にも立たないCTやらMRIやらPET等の機器を使用することにばかり関心があって、(回復させることが可能なのに)必要な規模での売り上げを期待できない「二段階方式」のような精緻な神経心理機能テストの活用には,全くのところ無関心なのです。

私たちが活動を開始してから間がない或る時期、老人保健施設や特別養護老人ホームを傘下に持つ50を超える大型の医療機関が「二段階方式」の導入契約を締結し、中には、中核となる医師自身が「二段階方式」の実務研修を受講するなどの動きも見られたのですが、その大半が、「二段階方式」がいかに精緻なものであっても、神経心理機能テストに対する保険点数が極めて低いがために、必要な売り上げが得られないというだけの理由で、「二段階方式」の実践を中断してしまい、今なお実践している医療機関は、ほんの僅かでしかない状況というのが実情なのです。

   

○ 米国精神医学会が定める診断規定「DSM-4」への盲従

日本だけでなくて世界中の認知症の専門家とされる人達(学者や研究者や医師達)が、「アルツハイマー型認知症」は、治すことができないタイプの認知症だと主張しているわけなのです。それは、「DSM-4」という権威だけは世界的ながら、中身が無い、もっと正確に言えば規定内容自体に重大な誤りがあるにも拘らず、専門家とされる人達が規定内容(診断基準としての確認が要求されている「第一の要件」と「第二の要件」の確認)を全く疑うこともなく、心から信望し、全面的に依拠してしまっている(専門家とされるが故に反って権威に盲従しがちともいえるのですが)ことが原因での主張に過ぎないのです。

 「第二の要件」に規定された失語や失認や失行等といった末期の段階の症状が発現してきて初めて、「アルツハイマー型認知症」の発病だと勘違いしている医療機関の医師達では、本当の意味での早期の段階(私たちの区分で言う「小ボケ」及び「中ボケ」の段階)で見つけて治すことにも無関心なのです。権威にしがみつき、それに盲従して診断を行ってさえいれば、CTやらMRIやらPETやらといった極めて高額の診療報酬が得られる機器を無制限に使用できる上に、効きもしない何種類かの薬をできるだけたくさん処方して、更なる売り上げを上積みすることさえ自由に行える制度になっているところに重大な問題があるというべきなのです。

 回復させることが困難と分かっている末期の段階である「大ボケ」の段階で見つけることに、何の意味があるというのでしょうか。インターネットで検索してみると、早期診断を呼び掛けている医療機関のブログやホームページが驚くほどたくさんありますが、それらの医療機関が早期診断と銘打っているのは、私たちが言う本当の意味での早期の段階(脳の「リハビリ」によって、回復させることが容易である「小ボケ」の段階及び回復させることが未だ可能である「中ボケ」の段階)を見つけるという意味ではないのです。回復させることが困難な「大ボケ」の中での早い段階を意味しているだけなのです。この段階で見つけて、薬を処方することが、そこで言う早期診断の意味であり目的なのです。

 

    

○  家族介護の制度化は、家族を崩壊させることにつながる

こうした状況を黙認したままで、家族介護に舵を切るのは、あるべき政策ではないのです。「アルツハイマー型認知症」を発病して、末期の段階にまで症状が進行したお年寄りを「家族」が介護するということは、「美談」では済まないのです。家族も共倒れになり、家族の人生が、破たんしてしまうことにつながるからです。家族介護を国策とするのではなくて、発病自体の予防となる地域予防活動並びに本当の意味での早期の段階である「小ボケ」及び「中ボケ」の段階で見つけて治すことこそを国策とすべきなのです(ここを「クリック」してください)。

東日本大震災の被災地の高齢者たちの間で、我が国の他のどの地域とも異なる、異次元といえるレベルでの「アルツハイマー型認知症」の発病及びその重症化の進行という事態が確認され、回復させることが困難な末期の段階である「大ボケ」の段階の人達の他地域に例のないほどの大量の出現が確認され、マスコミが騒ぎ立てるようになるその日の到来を、指をくわえてただ待っているだけの状況なのです。あー、嘆かわしや!

注)本著作物(このブログ「B-44」に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。   

    エイジングライフ研究所のHP左の部分を「クリック」してください)

      脳機能から見た認知症(具体例をベースとしたもう一つのブログです)

 

 

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