認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

それとは知れず密かに忍び寄るボケがアルツハイマー型認知症(A-99)

2013-12-01 | 認知症初期の症状と老化現象との区別の方法

抜き足、差し足、忍び足  

     居眠る間に忍び寄る  脳の老化と認知症

                                      By kinukototadao

○   医療機関は、「前頭葉」の機能レベルの計測及び判定を手抜かっている

認知症の専門家とされる医師達が「アルツハイマー型認知症」と診断するのは、このブログで何度も指摘してきたように、私たちの区分で言う「重度認知症」(大ボケ)の段階、回復が困難な末期の段階の症状を確認してのことなのです。

食事をしたばかりなのにもうそのことさえ忘れてしまっているような重度の「記憶障害」の症状(=「DSM-4」の第一の要件)及び失語や失行や失認といった「重度認知症」の段階でもその後半(MMSの得点が一桁のレベル)にならないと発現してこないような極めて重い症状(=「DSM-4」の第二の要件)に着目しているがために、見つけることに何の意味もないのです。この段階になって見つけたところで治す{症状を発現させている源である「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)を含む脳の機能を正常なレベルに回復させる}ことはもはや期待できない(困難)からです。

回復させることが可能な本当の意味での「早期の段階」は、私たちの区分で言う「軽度認知症」(回復させることが容易な「小ボケ」)及び「中等度認知症」(回復させることが未だ可能な「中ボケ」)の段階までなのです。但し、この早期の段階を見つけるには、「DSM-4」の診断規定にあるような重度の「症状」だけで見つける方法では、無理なのです。「アルツハイマー型認知症」の回復可能な早期の段階の症状と単なる「老化現象」とを的確に鑑別し見分けるには、私たちが実践し提案している方法、私たちが開発した「二段階方式」のような神経心理機能テストの活用により「前頭葉」を含む脳の機能のレベルを計測し判定することが不可欠なのです。

その場合、独力による能力レベルとしての「生活の自立度」を判定するには、「前頭葉」の機能レベル自体を的確に計測し判定することが不可欠となります。ところが、現実の医療の現場では、「前頭葉」を含む脳の働き具合の判定が不可欠の「テーマ」となることにも気づかないで(判定を可能とするレベルでの「神経心理機能テスト」という「手技」を持たないので)、脳の機能レベルではなくて「脳の形」を見ることが主体となる「CTやMRI」などの「画像診断」で、末期の段階を見つけているだけなのです。より早期の段階を見つけようとする動きの中で(その意気込みだけは評価したいのですが)、二次元又は三次元のどんなに精緻な「脳の形」を得られようとも、或いは「アミロイド・ベータ」の沈着度や沈着範囲を敏感に計測出来るようになろうとも、的確な判定は期待できないということを指摘しておきたいのです。

 

○アルツハイマー型認知症」の発病及び症状の進行に対する重大な誤解

□ 服を自分で着られなくなり、ズボンを頭から被る;とか

□ 自分の家が分からなくて、徘徊して迷子になる;とか

□ 同居している、家族の顔も分からない;とか

□ お漏らしした服を、平気で着ている;とか

みなさんは、こんな症状が見られるようになると、その人は「アルツハイマー型認知症」だと考えるのではないでしょうか。 正確に言うと、こんな症状が出ている人は、「アルツハイマー型認知症」の「末期段階」の人(私たちの区分で言う「重度認知症」の人)なのです。こんな「重度の症状」(末期の段階の症状)が出てくるもっと前の本当の意味での早期の段階、言い換えると回復可能な「軽い段階」(初期の症状及び中期の症状)があることを、認知症の専門家たるべき精神科医自身が見落としているのです。

回復可能な「軽い段階の症状」(私たちの区分で言う「軽度認知症」及び「中等度認知症」の段階の症状)が見落とされていて、回復困難な重度の「末期の段階の症状」(私たちの区分で言う「重度認知症」の段階の症状)だけに焦点が当てられている結果として、「アルツハイマー型認知症は、原因不明で治らない」という精神科医の「誤った見解」が世間一般の常識になってしまっているのです。

「アルツハイマー型認知症」を発病した「お年寄り」と発病の前から同居し生活を共にしていた家族なら納得し理解できるように、昨日まで正常で、趣味や遊びや人付き合いを楽しんでいた「お年寄り」が、一夜明けたら、「服を自分で着られなかったり」、「自分の家が分からなかったり」、「家族の顔が分からなかったり」は、しないのです。

色々なタイプがある認知症の大多数90%以上を占めていて、原因も分からないし治らないとされている 「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症は、「何年もかけて、症状が徐々に、段階的に進行していく」(段階的症状を示す)のが一つの特徴なのです。精神科医が早期診断を呼びかけ、「初期の症状」と言っているのは、実は私たちの区分で言う末期の段階の「重度認知症」(大ボケ)の症状の中の初期の症状(MMSの換算値で言えば、14~10点のレベル)のことなのです。この段階になって見つけていたのでは、せっかく見つけても手遅れ、もはや治すことはできないのです。

○   「前頭葉」の正常老化による老化のカーブ

私たちの意識的な世界を支配している脳の司令塔の「前頭葉」の働きには、加齢とともに老化していくという内在的な性質があります。私たちが集積してきた脳機能データによると、脳機能の「正常な老化」(それなりに「前頭葉」を含む脳全体を使ってやる機会がある「生活習慣」の下で進行していく脳機能の老化のこと)の場合でも、「高齢者」と呼ばれる年齢の65歳頃になると誰でも、その働き具合が20歳代の半ば頃に比べて半分程度にまで衰えてきているのです(加齢による「前頭葉」の「正常老化」の性質)。そして、加齢による「前頭葉」の正常老化のカーブは、後述する図に示す通り、70歳代、80歳代、90歳代と年をとるにつれて、緩やかではあるが直線的に「低空飛行」の状態に入っていくのが特徴なのです。

 

○ 「アルツハイマー型認知症発病」のメカニズム

正常な老化の過程とはいえ、加齢による老化により「前頭葉」の機能が低空飛行状態に入ってきている60歳を超えた「高齢者」と呼ばれる年齢の「お年寄り」(発病の「第一の要件」)、脳を積極的には使わない生活、生き甲斐や目標もなく、趣味や遊びや人付きあいもなく、運動もしない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」を日々続けていると(発病の「第二の要件」)、出番が少ないために使われる機会が極端に減った「前頭葉」が廃用性の機能低下を起こしてきて、第一の要件と第二の要件とが重なり合うことの相乗効果により、「前頭葉」の老化が加速されていくのです。「前頭葉」の働きが加速度的に衰えていくその先に、「アルツハイマー型認知症」(老年性アルツハイマー病)の発病が待っているのです。

「アルツハイマー型認知症」の場合は他の如何なる種類の認知症とも異なり、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」だけが異常なレベルに最初に衰えていき、次いで、「左脳や右脳や運動の脳」が順次異常なレベルに衰えていくという衰え方の順番があるのが特徴なのです。更には、「アルツハイマー型認知症」の場合には、「左脳及び右脳」の衰え方にも明確な規則性がある(衰えていく順番がある)ことが重要な特徴です。すなわち、MMSで計測される「MMSの下位項目」の衰え方についても衰える規則的な順番があるのです。こうした「前頭葉」を含む脳の規則的な衰え方が、他の種類の認知症或いは認知症と紛らわしい病気(「アルツハイマー型認知症」と誤診されていることが多い、側頭葉性健忘症、感覚性失語症、一過性全健忘、老年期うつ病、緩徐進行性失行など)との鑑別の上で、極めて重要且つ客観的な指標としての役割を果たしてくれるのです。

私たちは、「二段階方式」を活用して集積した15000例を超える「アルツハイマー型認知症」発病者(「小ボケ」、「中ボケ」及び「大ボケ」の総数)の脳機能データの解析により、(日本だけでなく、世界でも初めてのことなのですが)このことを突き止めたのです。この「規則性」が顕著に認められることから考えても、「老人班」の生成に関わるアミロイドベータや「神経原線維変化」に関わるタウ蛋白や或いは「脳の萎縮」は、「アルツハイマー型認知症」を発病させる原因なのではなくて、発病による症状の進行(重症化)とその期間の継続(特に私たちの区分で言う末期の段階の「重度認知症」の期間の継続)による結果(副産物)に過ぎないと考えているのです(ここを「クリック」してください)。

脳全体の司令塔で、置かれている状況を判断したり、何かを思いついたり、計画を立てたり、工夫したり、洞察や推理をしたり、機転を利かせたり、各種の高度な働きを担当しているのが「前頭葉」なのです。中でも、意識的に何かの「テーマ」を実行をする場面で、「前頭葉」の各種の機能を発揮する上で不可欠で基礎的な働きをする「認知機能」を正常に発揮するには、一定レベル以上の「認知度」が確保されていることが必要となります。その「認知度」を左右する機能の三本柱が、「意欲」、「注意の集中」及び「注意の分配」の働きなのです。然もこの三本柱には、「加齢と共に老化し衰えていく」という重要な性質があるのです(ここを「クリック」してください)。

生き甲斐となることや目標となるものもなく、趣味や遊びや人付きあいを楽しむこともなく、運動もしない、或いは何らかの社会活動に参加する機会もない、文字通りナイナイ尽くしの「単調な生活」を送っていると言うことは、脳の機能面から言い換えると、「前頭葉」を構成する各種機能の中で最も基礎的且つ不可欠な機能であり、「認知度」や「意識度」或いは機能の「発揮度」を左右する働きをしている意欲、注意集中力及び注意分配力という「三本柱」の働きの出番が極端に少ない生活を送っているということになるのです。脳を活性化する「生活習慣」の実践の程度の如何に関わらず、もともと「加齢」により機能が衰えていくという性質を持っている「三本柱」の働きが、ナイナイ尽くしの「単調な生活」を日々繰り返していく中で、膝の筋肉と同じように、「廃用性の機能低下」を併発して起こしてくることになるのです。

 

○   「アルツハイマー型認知症」の発病とその特徴である「段階的症状」

私達の意識的な思考や言動或いは行動は、脳の司令塔の「前頭葉」が左脳や右脳や運動の脳と協働しつつ、且つそれらを主導するというメカニズムの下で実行されているのです。

ところで、脳の機能が何らかの原因で全般的に機能低下したことにより、私達が意識的に何かを実行しようとするとき、生活面に支障が出てくる病気のことを一般的に「認知症」と言います。どんな生活面での自立に支障が出ているのかは、高度なレベルから順に「社会生活」、「家庭生活」及び「セルフケア」の3つに区分されています。但し、認知症を定義するについては支障が出てくる生活の段階を3つに区分していながら、認知症の症状については何の区分もしていないのが学会の現状なのです。

どんな内容、レベルのものであれ、「社会生活」を行うのに要求される脳の機能レベルは「家庭生活」に要求される脳の機能レベルよりも高いものが要求されるし、「家庭生活」を行うのに要求される脳の機能レベルは「セルフケア」に要求される脳の機能レベルよりも高いものが要求されることについては、誰も異論はないことと思います。また、「脳の機能」が異常なレベルに低下していることが直接の原因で各生活面での自立に「支障」があると言うことは、その支障の程度及び態様が病的なレベルの「症状」として認められると言うことです。

私たちは、こうした視点から、この3つの生活区分に対応した「脳の機能レベルに直接リンクした症状」について、データを蓄積してきたのです。蓄積されたデータを分析し、「アルツハイマー型認知症」の「前頭葉」を含む脳の機能の衰え方とそれにリンクし且つ対応した「認知症の症状」について、「3段階に区分」され、且つ、それぞれに「グループ分け」された「段階的症状」をパターン化しているのです。

脳全体の司令塔の 「前頭葉」の働きが異常なレベルに衰えてきている人達、言い換えると認知症の症状を示している人達は、脳の働き具合とそれに対応した症状のレベルという視点及び回復の可能性とその程度という視点からの区分で、軽いほうから軽度認知症「小ボケ」(社会生活に支障)、中等度認知症「中ボケ」(家庭生活に支障)及び重度認知症「大ボケ」(セルフケアに支障)の「三つの段階」に区分しているのです。 

 

 「上の図」は、協働しながら働く「前頭葉」と「左脳及び右脳」の働きが、同時進行且つ加速度的に衰えていくその衰え方を私たちが開発した「二段階方式」という「神経心理機能テスト」を使って調べた結果を示しています。

「 社会生活」が支障なくできていた脳の働きが、何かを「キッカケ」としてナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続されることにより、老化が加速され、廃用性の機能の異常な低下が進行していくとき、「衰え方の順序がある」ことが分かってきたのです。脳全体の司令塔の役割をしている「前頭葉」だけが最初に衰えていきます。次いで、「前頭葉」と相互に情報のやり取りをしている「左脳」、「右脳」及び「運動の脳」がその順番で衰えていくのです。この場合、全ての脳の衰え方は、何年もかけて徐々に衰えていくとは言え、直線的ではなくて加速度的に衰えていくのが特徴なのです。更に、専門的になるのですが、「左脳と右脳」の衰え方にも「規則性がある」のが特徴なのです。こうした「衰え方の規則性」は、「アルツハイマー型認知症」に特有のものなので、認知症の症状を発現している人が、「アルツハイマー型認知症」であるかどうかの判定・鑑別の強力な武器ともなるのです。

認知症にも、たくさんの種類があります。とはいえ、「アルツハイマー型認知症」と脳血管性認知症とで95%ほどを占めてしまうのです。回復させることも、予防することも可能な「アルツハイマー型認知症」だけで90%以上を占めているのです(ここを「クリック」してください)。

この「ブログ」の中で何度も言及してきたように、「アルツハイマー型認知症」について専門家と言われる医師達は、「原因も分からないし、治すこともできない病気」と言っています。それは、「重度の記憶障害」を認知症診断の「第一の要件」と考え、更には、「失語や失行や失認」等という末期の段階の「重度認知症」でもその後半にならないと発現してくることがない極めて重度の症状を「第二の要件」とする米国精神医学会の診断規定(「DSM-4」)を信奉する過ちを犯していることに気づかないで、見つけている段階が遅すぎる結果なのであって、本来の性質からすれば、「アルツハイマー型認知症」は廃用症候群に属する単なる「生活習慣病」にすぎないのです(現在の時点で言えば、この主張は世界中で私たちだけなのですが)。

但し、あと2~3年もすると、東日本大震災の被災地の「高齢者」たちが、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が来る日も来る日も継続される下で「アルツハイマー型認知症」を発病し及びその症状が重症化していき、私たちの区分で言う「中等度認知症」の後半から「重度認知症」の前半の段階にまで症状が進行していく事態が起きてくることになるのです。更に言えば、日本中の他の地域の「高齢者」との比較におけるその年齢別の発病の割合の際立った高さと発病者数の余りの多さにより私たちの主張が疫学的に証明される結果、認知症の専門家とされる人達が驚き、或いはマスコミにも取り上げられ大問題となることによって、私たちの主張の正しさが学問的にも或いは社会的にも認知されることになると考えているのです。

○   「アルツハイマー型認知症」の入口(発病後の最初の段階)

「アルツハイマー型認知症」は、日常生活を送る中で出番が極端に少ないために(使われる機会が少なすぎるために)「廃用性の機能の低下」が起きてくることが発病の直接の原因となる病気であって、上述したように、老人斑の生成とか神経原線維変化等の器質の変化が起きてくることが原因の病気ではないのです。「アルツハイマー型認知症」の症状は、「前頭葉」を含む脳の異常な機能レベルの反映が直接認知症の段階的な症状となって発現してくるのです。

認知症の初期の段階(最初の入口)である「軽度認知症」(小ボケ)の段階は、左脳も右脳も運動の脳も全て正常レベルにあるのですが、脳全体の司令塔である「前頭葉」の働きだけが異常なレベルに衰えてきているのです。

 そのため、「前頭葉」の機能の中で最も基礎的で且つ重要な働きであり、意識の構成要素に対する「認知度」或いは「前頭葉」の各構成機能の「発揮度」左右している「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」の機能が的確、且つ十分には働かなくなっているのです。その結果、行為の目的であるテーマ自体とテーマの中身を構築している構成要素に対する認知機能が正常なレベルで働いていないのです。更には、認知している各構成要素の内容について、「記銘」、「保持」及び「想起」の機能の発揮も不十分なものとなっているのです。簡単に言うと、「軽度認知症」(小ボケ)の段階では、日常の「社会生活」面で発生してくる種々の「テーマ」を実行する上で必要となるレベルでの認知機能が十分には或いは的確には機能していない状態に在るのです。その結果、状況の判断、実行テーマの計画と内容の工夫、様々に展開が予測されるケース・シミュレーション、機転や見通し或いはその変更及び決断等が的確にできなくなるのです。 こうした事態は、「空気ポンプ」に例をとって説明すれば、空気をチューブに送る役割のゴム管部分に支障があるからではなくて、そもそもチューブに空気を送り込む働きをするポンプの部分の機能がちゃんと働いていないせいなのです(ここを「クリック」してください)。

 

「アルツハイマー型認知症」の初期(入口)の段階であり、私達の区分で言う「軽度認知症」(小ボケ)の段階は、左脳と右脳と運動の脳は正常な機能レベルに在るのですが、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」の働きだけが異常なレベルに衰えてきているのです。そのことをもう少し詳しく説明すると、「前頭葉」の機能のうち最も重要で基礎的な働きを担う「三本柱」の機能である「意欲」、「注意集中力」及び「注意分配力」の機能が的確に発揮されなくなっているのです。「三本柱」の機能がいろいろな認知面で的確に発揮されなくなる(「三本柱」の機能が異常なレベルに衰えた)その反映が、状況の判断や発想や企画や計画や洞察やケース・シミュレーションや機転や感動や抑制或いは決断といった、「前頭葉」の各種構成機能の「認知度」及び「発揮度」に影響するために、対象となる情報や思考の認知及び記銘やその保持や想起並びに処理の面でも、機能の発揮が不的確で不十分なものとなり、思考、言動或いは行動の面に現れてくるのです。

そのため、的確な状況の判断、発想、計画、創意、工夫、機転といった機能、或いは的確な見通しや意思決定などが要求される、「社会生活」の面で、程度や態様を含む種々の支障が出てくるようになるのです。勿論、この段階では、「家庭生活」の面にも「セルフケア」の面にも何の支障も起きてはきません。それぞれの段階で必要とされる「脳の機能のレベル」が異なるからなのです。

○「軽度認知症」(小ボケ)の段階で見られる認知症の中核的症状

「軽度認知症」(小ボケ)の「中核的な症状」の特徴を挙げると、次の5つです。

)自分の置かれている状況を的確に判断できなくなります。

)発想が湧いてこなくて、見通しも立たないので、この一日或いは一週間、何をどうするのかという「テーマの発想と計画」が出来なくなります。

)何かをしようとする「意欲」が出てこなくなり、毎日をボンヤリと過ごして、居眠りばかりするようになります。

)何事をするにつけても人を頼るようになり、指示してもらわないと動けない「指示待ち人」になります。

)その人らしい「生活態度」が消えていき、「こんな人ではなかったのに」と周りから言われるようになります。

 

○ 「小ボケ」(指示待ち人)の段階で現れてくる認知症の症状の類型 

「前頭葉」の機能だけが異常なレベルであって、「左脳も右脳も運動の脳も」未だ正常な機能レベルにある「小ボケ」の段階で発現してくる「認知症の症状」は、「前頭葉」の根幹(基礎)をなす働きである「三本柱」の機能が異常なレベルに機能低下したことのアウト・プットそのものなのです。以下に列記するのは、単なる「老化現象」とは脳の機能レベルが本質的に異なる「軽度認知症」(小ボケ)の段階で見られる「特有の症状」です(4つ以上に該当していると、「小ボケ」のレベルであることが疑われます)。単なる「老化現象」の場合は、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」の機能レベルが正常な下で発現するものであるのに対し、「軽度認知症」の症状の場合は「前頭葉」の機能レベル自体が異常なレベルにある下で発現していることが確認されるのです。

□ 複数のことに注意が分配できなくて、3つの用事が同時にさばけない

□ 機転がきかなくて、創意工夫ができない

□ 発想が乏しくて、画一的な行動が目立つ

□ 何事をするにも億劫で面倒がり、何かをやってみようという意欲が見られない

□ 同じ食材を買ってくることが多く、料理の献立の単調さが目立つ

□ 一日や一週間の計画が自分で立てられず、なにも思いつかない様子

□ 朝は遅くまで起きてこないのに、気がつくと居眠りしている

□ これまでなら感動していたことに対して感動しない

□ 問いかけに対する反応が遅く、生き生きした笑顔がほとんど見られない

□ ぼんやりしていることが多く、自分から何もしないが指示されるとできる

□ 根気が続かず中途半端なことを繰り返し、やりかけの家事が目立つ

□ 目の光がどんよりしていて、顔つきが無表情

□ 反応が遅く動作がもたもたしていて、階段をトントンと降りられない

□ 歩くとき前屈みの姿勢で、小股でトボトボと歩く

□ 料理の手際が悪くなり、家族数に関係なく多すぎる量の料理を作る

□ 自分に自信がなくなり、何かにつけ人を頼ろうとする

□ 髪の手入れや、おしゃれに無関心

□ 同じ内容を繰り返して話し、そのことに本人が気づかない

□ 会話の最中唐突に、一方的に言いたいことを言い相手の話しを聞かない

□ 思い込みや思い違いが多く、指摘しても訂正や変更ができない

□ これまでなら楽しんでいた趣味や外出や旅行を嫌がる

 ○   脳の機能面からの確認とそのデータ

世の中では、「アルツハイマー型認知症」の診断に際して「MMS」という神経心理機能テストと「CTやMRI」といった「画像診断」とを組み合わせる方法を採用している医療機関が多いのですが、実は、「MMS」の得点が満点の人たちの内に「前頭葉」の機能レベルが異常なレベルに衰えてしまっている人たちが多数いることが重大問題なのです。言い換えると、MMSのテストと結果だけからでは、「前頭葉」の機能レベルが異常なレベルにある人たち(その直接の結果として、「軽度認知症」の症状が発現している人たち)を見落としてしまうということになるのです。

つまり、単なる「老化現象」ではなくて、れっきとした「アルツハイマー型認知症」の症状が発現している人たちを見落としてしまっているということなのです。たとえ保険点数が極めて低いものであろうとも、「前頭葉」の機能レベルを的確に計測し判定する以外に方法はないのです(繰り返しになりますが、CTやMRIによる「画像診断」ではなくて、「二段階方式」のような「神経心理機能テスト」を採用しない限り、本当の意味での「早期の段階」を見つけることはできないのです)。

○   単なる「老化現象」と「軽度認知症」(小ボケ)の症状との見分け方

「アルツハイマー型認知症」を発病するメカニズムは、その概要について上述したように、私たちが規定する「第一の要件」(加齢による老化により「前頭葉」の機能が低空飛行状態に入ってきている60歳を超えた「高齢者」と呼ばれる年齢の「お年寄り」であること)と「第二の要件」(脳を積極的には使わない生活、生き甲斐や目標もなく、趣味や遊びや人付きあいもなく、運動もしない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」を日々続けていること)とが重なり合うことによるその「相乗効果」として、「前頭葉」を含む脳の機能が異常な老化を加速させ進行させていくことなのです。

つまり、「第一の要件」の充足だけ及び「第二の要件」の充足だけでは、「アルツハイマー型認知症」を発病することにはならないし、「アルツハイマー型認知症」の症状が重症化していく(更に重い段階の症状へと進行していく)ことにもならないのです。すなわち、「二つの要件」が同時に充足されることの相乗効果として、「前頭葉」を含む脳機能の加速度的な衰えの進行を起こしてくることが発病及び症状の重症化の原因なのです。

気になる「物忘れ」の症状が見られたり、或いはその頻度が気になる程度であろうとも、更には「認知症」ではないかと疑われるような何らかの異常な言動や行動が見られようとも、年齢要件を満たしていない場合は又は年齢要件を満たしていてもナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続されている「生活状況」にない場合は、それらは「アルツハイマー型認知症」の症状ではないのです。単なる「老化現象」そのものであったり、「アルツハイマー型認知症」とは異なるタイプの認知症であったり、或いは認知症と紛らわしい病気であったりするのです。

「アルツハイマー型認知症」は、廃用性の異常な老化を原因とする、「前頭葉」を含む脳全体の異常な機能低下のアウトプットが三段階に区分される症状となって発現してくるものなのです。従って、もっと的確にその区別を知りたい人は、「前頭葉」を含む脳の機能レベル、特に脳全体の司令塔である「前頭葉」の機能レベルが異常であるか否かを的確に計測でき、判定できる「二段階方式」のようなキチンとしたレベルの「神経心理機能テスト」で正確に判定してもらうことをお勧めしておきます。

注)本著作物(このブログA-99に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

エイジングライフ研究所のHPここを「クリック」してください)

脳機能からみた認知症の初期の見わけ方(IEでないとうまく表示されません

    http://blog.goo.ne.jp/quantum_pianist

 http://blog.goo.ne.jp/kuru0214/e/d4801838dd9872301e0d491cd8900f1a

 
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