算太郎日記

日々の日記を綴ります

「本心」(平野啓一郎著)を読む

2021年11月03日 | 日記
最近、平野啓一郎著「本心」という本を読み終えた。

平野啓一郎氏は、今、とても興味を持っている作家の一人だ。

この作品は、2040年の日本が舞台になっている。近未来の日本では、AIが発達し、亡くなった人間のヴァーチャル・フィギアが本物そっくりに作られる。今以上に格差社会が拡大し、自由死(尊厳死)が認めらる社会になっている。経済的貧困が広がる社会の中で、自由死が選択可能というのは、どういうことを意味するのかを突き付けられる。

格差社会の底辺で、将来への希望を見いだせないで生きている朔也と彩花。お互いへの思いが切なくすれ違う。

社会的な問題が様々に内包されながら作品は構成されている。そこに、大きな魅力を感じる。人は意識しようとしまいと、日々何らかの社会的な問題と向き合いながら生きている。そのことをより掘り下げて考えさせてくれるからだ。テーマ性だけでなく、一文一文の文章がとても味わい深い。

読了間際になると、「ずっと読んでいたい。終わらないで欲しい。」と思いながら読み進めた。

読了した今、「本心」の続編が執筆されることを期待したい気持ちでいっぱいだ。