マルクスの初期の著作、「共産党宣言」、「ユダヤ人問題によせて」「ヘーゲル法哲学批判序説」「経済学・哲学草稿」「ドイツ・イデオロギー」を二人画往復書簡の形をとりつつ、若者向けに解説したもの。
いゃあ、懐かしかった。忘れていたキャッチフレーズの数々、思い出した。シンプルで力強く、畳みかけるような論の進め方、久しぶりにマルクスに再会した気分だった。
10代の終わりに読んだときには、マルクスってとても老成した写真しか知らないので、これら著作も60歳くらいで書いたのかなと何となく思っていたが、この本で取り上げられた著作は全て二十代に書かれたものと知って驚いた。
この本はマルクスの入門書として読むよりも、もっと実践的、、社会の矛盾を目の当たりにした時、それから目をそらさずに、どうしたら人々が幸になれるかを考える、そのヒントを探すためのものと思う。
「共産党宣言」の向坂逸郎訳も格調高くて、それまでこの種の本を読んだことのなかった私は、言葉の一つ一つが自分の血肉になって行くことを身体感覚として感じていた。それは幸福な読書体験だった。
それを誰とどのように語り合ったか、今はもうほとんど忘れてしまったけど、時代の熱気が私のようなものにも岩波文庫を手に取らせたのだと思う。そうしないと半人前にさえ、ものを言えないような。
若者には難しすぎると、アマゾンのレビューにあった。しかし読書と言うのはちょっとわかりにくいくらいのものを背伸びして読むところに醍醐味がある。分かりきったことなら、そもそも初めから読む必要がないのである。
内田樹の部分は短くかつ分かりやすかった。久しぶりに読んでみたいと思ったけど、岩波文庫は髪が茶色になり、捨ててしまった。また買おうかな。いつでも買える、そう思って処分したんだった。