kaeruのつぶやき

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突然崩壊が起こるまでは、……

2017-11-09 20:25:59 | kaeruの『資本論』

  「資本論第3部第5篇第30章」と書いていてもタイトルと繋がらないのですが、この第30章にこういう記述があります。

  「事業は、つねに、まさに崩落の直前にこそ、ほとんど過度に健全に見えるのである。」として1857年8月に恐慌が勃発するちょうど一ヶ月前に、銀行役員や商人たちが互いの事業の繁栄と健全さを祝福し合った、ことを指摘しています。

   この年から62年後の1929年アメリカはニューヨーク・ウォール街の10月24日(暗黒の木曜日)が世界大恐慌のはじまりでした。その年の3月には時の大統領・フーバーは就任演説でアメリカの繁栄を謳歌し「貧困の克服は間近い」と言い、それが空言とは響かない浮かれた気分がアメリカを覆っていました。

   マルクスは「資本論」を通じて恐慌の解明に力を注いでいます。今回私の報告担当の第30章31章はその部分にあたり、勉強になりました。

   この章についてはマルクス自身が「信用制度に関連してわれわれがいま取り組もうとする比類なく困難な諸問題」と書き出しているようにkaeru の軟弱な頭では歯が立たないのです。さらに編集に当たったエンゲルスが「序言」に曰く、

「主要な困難をきたしたのは、この第3部全体のなかで実際にもっとも錯綜した対象を扱っている第5篇であった。〜第30章は、置き換えや削除によってでき上がった」と。

   こうなると私は案内なしに第30章の密林のなかに入って行く気力が出てきません、身体も本調子ではないのだからここは道案内優先で進もうと本文から離れ不破さんの案内に頼りきりでまとめました。不破さんの『資本論』研究の中心に恐慌論の研究があり、それをテーマに《マルクスと『資本論』 再生産論と恐慌》を著しています。今回の報告文つくりではその内容を読取ることが出来ず、専ら不破さんの《代々木『資本論』ゼミナール》の該当部分を写し取ったという水準でした。

   それでも報告してみると、自分でも新鮮は思いがし聞き手からも今までの恐慌理解と違うなどの意見が出されました。再生産過程への銀行資本の投入が取引に与える影響が検討され、それが「取引が非常に堅実で〔資金の〕還流は順調であるかのような外観が長く存在」し続けるという危険な進行の要因になって行くのでした。

  話が一転して、先の「暗黒の木曜日」に繋がります、

全文はhttp://www.mag2.com/p/money/331870  で。

   こんにちの株価が「不気味」といわれる水準であることは、株に縁の無い私には実感に繋がりませんが、注目しなければと感じています。今日の「しんぶん赤旗」の「データは語る」によれば、1月〜10月の通算で国内法人、個人が売り越しに対して海外投資家のみが買い越しだそうです。「総選挙で安倍政権がこうした株価つり上げ政策を継続する方針を示したことで海外マネーの流入がさらに拡大しています」と記しています。

  株式市場はもちろん、日本経済の行くへなどどう展開するのか全く予測する能力はありませんが、その動きの本質を見る目は養っておかなければならないのです。『資本論』の魅力に魅せられつつあります。