北森鴻著『花の下にて春死なむ』
最初に不思議だなと思ったのは、最初に出てきた人物がメインの主人公ではないこと。
若い女性なり、仕事に疲れた男性なり、登場人物がなにかしら悩み事を抱えているとき、
料理もビールもおいしいビアバー・香菜里屋に行くと、そこのご主人である工藤が、
ワインレッドのエプロンに刺繍されたヨークシャーテリアの外見ながら、
鋭い観察眼と人の懐にするりと入ってくる穏やかさで、悩み事に思わぬ角度からヒントや解決策をくれる。
料理の描写もすばらしい。こんなにも味が想像できる描写は久しぶり。
まだ携帯もデジカメも登場しない時代の謎解きストーリー。でも、その謎のひとつひとつに
人間の生き様が凝縮されていて、深い。すっきりする謎もあれば、しこりのように残って考え込んでしまう
謎もある。
文の表現がときどき独特で、でもそれが奇をてらったものではなく、胸にすとんと落ちてくるので、
ああ、これにはこういう表現方法もあるのか、と思うことがしばしば。でも、それは私の言葉にはきっと
ならないのだ。そう思わされる。
すべての謎がスカッと明るくハッピーに解決!というわけではない(むしろじわじわ染みこんでくるような終わり方)。
夜寝る前に読んだら、二時間くらい寝つけなかったです。それくらい胸に響くというか
衝撃的な文章・表現・ストーリーでした。
最初に不思議だなと思ったのは、最初に出てきた人物がメインの主人公ではないこと。
若い女性なり、仕事に疲れた男性なり、登場人物がなにかしら悩み事を抱えているとき、
料理もビールもおいしいビアバー・香菜里屋に行くと、そこのご主人である工藤が、
ワインレッドのエプロンに刺繍されたヨークシャーテリアの外見ながら、
鋭い観察眼と人の懐にするりと入ってくる穏やかさで、悩み事に思わぬ角度からヒントや解決策をくれる。
料理の描写もすばらしい。こんなにも味が想像できる描写は久しぶり。
まだ携帯もデジカメも登場しない時代の謎解きストーリー。でも、その謎のひとつひとつに
人間の生き様が凝縮されていて、深い。すっきりする謎もあれば、しこりのように残って考え込んでしまう
謎もある。
文の表現がときどき独特で、でもそれが奇をてらったものではなく、胸にすとんと落ちてくるので、
ああ、これにはこういう表現方法もあるのか、と思うことがしばしば。でも、それは私の言葉にはきっと
ならないのだ。そう思わされる。
すべての謎がスカッと明るくハッピーに解決!というわけではない(むしろじわじわ染みこんでくるような終わり方)。
夜寝る前に読んだら、二時間くらい寝つけなかったです。それくらい胸に響くというか
衝撃的な文章・表現・ストーリーでした。