Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

美湾

2017-12-05 13:53:15 | 日記

 一息つくと、私はデイパックの中に朝食とセットでクッキーが入っていた事を思い出しました。一服がてら(私は煙草は吸いませんから、休憩の意味の一服です。)エネルギー補給をしようとクッキーの包みを取り出して広げてみました。包みの中から出てきたのは、これが、日本でよく見る2、3本の指で摘まむ様な小さなクッキーでは無くて、その4、5倍は優にあろうかという可なり大振りのクッキーでした。しかもどっしりとした重みがありました。

 『クッキーじゃなくてビスケットなんじゃないのかしら、これ…。』私は内心そう思いました。この当時の、私のクッキーとビスケットの違いの基準は、専らその大きさによる物でした。直径5㎝以上、又は四角い物はビスケット、直径3㎝程度の物はクッキーでした。固さや味は関係ありませんでした。

 この大きなクッキーに度肝を抜かれて、私は目をぱちくりさせてその裏表、周囲の大きさや色、材料、表面の質感など、盛んに眺め回して洋の東西(この場合は南北かもしれません。)の違いに感動していました。そして、クッキーの紙包みを両手で持って徐にぱっくりと食いつきました。水分補給にペットボトルのお水を飲んで。漸く人心地が尽きました。

 程無くして、新婚さんご夫婦もご家族連れのお3人も、私に一言「じゃあ、お先に行きます。」と声をかけられると、下山口から麓へ向かわれました。私は時計を見て、往復2時間程の登山時間を考えて、もう少し頂上での時間を楽しむ事にしました。折角ここ迄来たのですから、出来るだけここで長居がしたかったのです。

 私の持ち時間が1時間程になりました。もう戻らなければなりません。名残惜しい思いで一杯でした。後ろ髪を引かれる思いというのはこのような思いなのでしょう。もっとこの頂上でウルル登山の登頂の喜びを満喫していたい、そう胸に叫びながら涙を呑んで、ウルルの天辺、台地の先にある下山口に向かいました。