茂原市ことぶき堂鍼灸院

茂原市で鍼灸治療院を営んでおります。
東洋医学や日常生活のあれこれを日々綴っています。

壽堂日記令和4年3月12日「脊椎すべり症の鍼灸治療。」

2022-03-12 08:07:03 | 日記

「ことぶき堂鍼灸院」は鍼灸治療の専門治療院です、治療は「積聚治療」を本治法として、補助治療を「沢田流鍼灸術」「深谷灸法」「枇杷の葉温灸」で行います。

治療の一例として「脊椎すべり症」の場合を上げて説明いたします。

患者さんが『腰とお尻の筋肉が痛く足がしびれて歩けません。』とお見えになりました。

「脊椎すべり症」があり整形外科で薬を処方されているとの事ですが、痛み止めだけだそうです。

「痛み止め」で痛みは軽減されますが殿筋や足の痺れは改善されない様です。

視診すると歩行時にトレンデレンブルグ徴候が見られます。腹診すると腸骨内側の下腹部に圧痛点があり、大腿前面・大腿外側・下腿外側に圧痛点があります。

腰神経叢のL2~L4の神経は大腿内側から前面の筋肉を支配しているので腰から何らかの影響が来ていると考えられます。

背部を診察すると脊椎のL2・L3・L4が少し飛び出しており脊椎がJの型に曲がっています。臀部の筋肉が固く小野寺臀部点や太陽膀胱経に沿って圧痛点があります。

視診・触診した限りでは脊椎が癒着した後にすべり症を起こしたように見受けられます。また中殿筋の麻痺もあるようです。

治療としては腎虚証として先ず「本治法」を行い「虚している腎の気を補い」体全体の気血の流れを調えます。

積聚鍼で健側に鍼を当て患側に気を流すイメージで治療すると「鍼が反対側に響きます。とても不思議です。」との事です。

鍼で全身の気血の流れを調えてから澤田流鍼灸術を用いて「補助治療」を行います。

癒着している腰椎に鍼を刺すのでは無く伏臥位で膀胱経の二行線に軽く鍼とお灸をしてからL2・L3付近をビワの葉温灸でじんわりと温めて、臀部と大腿・下腿の膀胱経のラインに鍼とお灸をして更に仰臥位で外側広筋・大腿直筋・前脛骨筋の経穴に鍼とお灸をして気血の流れを調えました。

腰陽関にお灸をすると「とても気持ちが良いです。両足の先まで温かさが染み透ります。」との事でした。

東洋医学では「不通即痛」と言われ気血の流れが滞ると痛みが生ずると考えられています。

全体の気血の流れを調える治療をしたところ腰の痛みが和らぎ、殿筋の痛みも取れ、足の痺れが良くなり、ゆっくりですが歩けるまでに回復しました。

 


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