*『原発ゼロ』著者 小出裕章 を複数回に分け紹介します。1回目の紹介
『原発ゼロ』著者小出裕章
原発を廃絶させるまで、私は闘いたい。
原発は、都会では引き受けることができない寛大な危険を抱えています。「原子力マフィア」はまさか大事故は起きないだろうと高を括り、人々に対して「原発は決して大事故を起こさない」と嘘をつきました。それでも不安を払拭できない彼らは、原発を過疎地に押し付けたのです。私は破局的な事故が起きる前に原発を廃絶させたいと活動してきましたが、福島第一原発事故が起きてしまいました。私の人生すべてが否定されてしまい、自分の非力を無念に思わずにはいられませんでした。しかし、この事故を忘れまいとする人々もまだ大勢いてくれることを、本当にうれしく思います。被害者の苦しみを少しでも減らし、嘘をついてきた巨大な権力を処罰するために、私自身も決して挫けずに闘いたいと改めて思います。
----------------
**『原発ゼロ』著書の紹介
溶け落ちた核燃料は取り出せない
原発を廃炉にするためには、まず、使用済み核燃料をきれいに取り出さなければいけません。そうしないことには先へは進めません。その第一歩となる作業が4号機の使用済み核燃料プールですでに始まっており、この作業を含めて、続く1号機、2号機、3号機についても、プールの中の使用済み核燃料を取り出すだけでも困難な作業が予想され、それを終えるのに、この先何年かかるかわからないということを私は今、書きました。そして、もしもプールの中の使用済み核燃料を、将来的にすべて取り出すことができたとしても、決して完全に取り出すことはできないだろうと私が思うのは、1号機から3号機の炉心の中で溶け落ちてしまった使用済みの核燃料です。
国や東京電力は、これを取り出すと行って、早ければ2020年からその作業を開始するとしています。外につまみ出すということを計画書に書いていますけれども、私は多分、それはできないだろうと思います。なぜなら、第1章の金属を使って炉心を冷やす提案のところで書いたように、溶け落ちた核燃料はあるいは国や東京電力がイメージしているように、どこかにまとまって落ちている塊もあるかもしれませんが、そういう状態のものだけではなくて、そこら中あちこちにへばりついてしまっているものもあるだろう、もしろそういう状態のもののほうが多いだろうと私は考えているからです。
そして、溶け落ちたウランの総量は100トンです。量や重さもそうですが、その100トンもの核燃料が、溶けて落ちて、どこにいってしまっているのか今もわからない、という状態なのです。そんな状態で取り出すと言っても、100のものを100取り出すということはもともとできません。例えば、50だけを何とか取り出したとしても、50は取り出せないまま残ってしまう。全部を回収できないだけではなく、そんなことをしようと思うと、大変な被曝になってしまいます。私は多分、取り出すという作業自体が実質的にできないと思います。
※続き『原発ゼロ』著書の紹介は、11/26(木)22:00に投稿予定です。