JO7TCX アマチュア無線局

せんだいSD550  山岳移動運用 

FM無電源ラジオ 3号機

2014年09月20日 | ゲルマラジオ

 AMZ同調コイルを使った2号機は、感度良く、分離もまずまずです。しかし、完璧というわけにはいきません。どうしてもNHKFMとDateFMがかすかに混じってしまいます。感度(音量)は多少低くてもなんとかなるにしても、混信は気になってしまいます。分離をさらに良くするにはどうしたらよいか?これまでの経験では、はやりコイルの良し悪しに尽きます。AMZ同調コイルは悪くはないのですが、あまりにも小さく、Qが低すぎですね。それに市販のコイルではなく、自作にもこだわりたい、ということで、今回、3号機を製作してみました。回路も多少見直し、トランスも変えてみました。

<材料>
コイル 2mm銅線30cm程
バリコン 4連エアバリコン 200pF、90 pF、28 pF×2
ダイオード 1SS106
コンデンサー 33pF、100μF(電解コンデンサ)
トランス  アウトプットトランス7kΩ:8Ω(ラジオ少年)
その他   ステレオイヤフォンジャックなど





 まずはコイル。1号機作製時の経験をもとに、いくつか作ってみました。線材は太さ2mmのエナメル線。太いので巻きごたえがあります。直径4cm、2.5cm、1.2cm、0.8cm各種。本命はアクリルパイプに巻いた1.2cm。8巻。ところが試験的に回路を組んで聞いてみたところ、周波数の低いDateFMがかすかにしか入感せず、コイルを伸ばしたり縮めたりしたものの変わりません。試行錯誤の末、12巻し、均等に伸ばして隙間をあけたものを使うことにしました。インダクタンス調整は「多めに巻いて伸ばす」というのがコツのようです。

 回路は通常のゲルマラジオとほぼ同じですが、いつもは使わない100μFを追加してみました。手書き回路図を載せておきます。



 あらかじめミノムシクリップで組んでみたところ、トランスの前に直列に入れている100μFはたいへん重要な働きをしているようで、これを入れると分離が大幅に改善されます。また並列の33pFを入れることで、感度が向上します。音量アップがはっきりと感じられました。ダイオードは今回もルネサスのショットキーダイオード1SS106を使いました。他を試してみたところ、1SS108(ルネサス)もほぼ同等ですが、型番が同じでも、他メーカーのものはまったく聞こえませんでした。1N60は聞こえるものの音量がかなり劣ります。それ以外のゲルマダイオード、ショットキーダイオードを試しましたが、検波できたのは上記の3種類のみです。

 ということで、いつものとおり、かまぼこ板に配置。トランスが大きいため、重さは2号機の4倍です。


FM無電源ラジオ3号機完成





2号機(左)と3号機


 さっそくロッドアンテナにつなぎ、聞いてみました。バリコン容量を調節するため4連の2か所をミノムシクリップで連結します。これをしないと何も聞こえません。そして結果は・・・事前実験で、ある程度感触はつかんでいたとはいえ、予想を上回る分離の良さで聞こえてきました。1局、1局の選局の山が明確で、1号機、2号機とは明らかに異なります。感度自体は2号機とさほど変わりません。音質について、2号機と聞き比べたところ、音に厚みが増し、FM特有のシャリシャリした感じがなくなりました。送信所から約1kmという強電界ならではの話ではありますが、無電源かつ簡単な室内ロッドアンテナでこれだけFM放送が聞こえれば満足で、とりあえず課題はクリアといったところです。


バリコン連結 連結線の長さによっても変化します

アンテナはRF-U700Aのロッドアンテナ(95cm)に接続


 1~3号機を作ってみて気付いたことを書いておきます。

1)コイルは適当に巻いても、けっこう同調してくれます。でも、目的の放送局に合わせた分離の良いコイルはカットアンドトライで骨が折れます。
2)20pF程度のポリバリコンやAM用2連ポリバリコン直列など試してみましが、良好に分離することは不可能でした。エアバリコンの方が分離は良好でした。
3)ネットの製作記事で紹介されているいろいろなFMの検波回路を試してみました。まったく聞こえなかったり、音量が小さかったりで、結局、ダイオード1個使用の今回の回路が今のところの到達点です。
4)ダイオードはルネサスの1SS106がベストでした。廃番となっているので、入手は今の内かもしれません。
5)オーディオ用イヤフォンを使う場合は、サンスイのST32が音量大きく良いようです。あとはお好み次第。
6)ちょっとした接続(回路)の違いで大きく音量が変化することがあります。またミノムシクリップなどで予備実験しても、実際組み上げると全然音がでなかったり、その逆だったり。無電源ラジオはそういうことが珍しくありません。見えないインダクタンスがあちらこちらに潜んでいるということでしょう。奥が深いです。





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