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国際投信が8年ぶりに「グロソブ」分配金引き下げ、世界的金利低下と急速な円高で

2009-01-21 19:08:37 | Weblog
国際投信が8年ぶりに「グロソブ」分配金引き下げ、世界的金利低下と急速な円高で 2009年01月20日
ロイター http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnTK023566820090119
日経 http://www.nikkei.co.jp/news/main/20090120AT2C1901N19012009.html
 国際投信投資顧問は19日、同社の旗艦ファンドで、国内最大の公募投信である「グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)<通称:グロソブ>」の月次分配金額(=1万口あたり)を、40円から30円に引き下げた。2001年1月に60円から40円に変更して以来8年ぶり。世界的な金利低下と急速に進む円高が背景。同ファンドのホルダー(保有者)は推定約160万人。
 国際投信は今回の分配金見直しの背景について「グロソブは分配金に充当することができる繰越分配可能原資が約1500円あり、40円の分配継続は投信計理上は不可能なことではない」としながらも、「基準価額の下落と利息収入の減少という現状に鑑み、中長期的な安定分配や基準価額の安定成長を目指す観点から、分配金の引き下げが必要と判断した」という。
 定期分配型ファンドの代名詞である「グロソブ」は1997年12月18日の設定以来、08年12月の決算までで累計5891円を分配済みで、安定分配を基本に第37期(2001年1月決算)から第132期(08年12月決算)まで40円分配を実施してきた。きょう19日の第133期決算(09年1月決算)で8年ぶりに10円引き下げ分配額を30円とした。分配落後の基準価額は6154円で、純資産総額は4兆5269億9400万円。
 なお国際投信によると、今回の分配金の減額分10円は、キャッシュアウト(ファンドから流出) せずに資産の一部としてファンドに残り、運用が行われる。このため運用資産部分が限界的 には増加することになり、今後、投資環境が好転すれば収益が拡大する可能性が高くなるとしている。
 ファンドの投資成果は、投資期間における基準価額の騰落額とその間に受け取った分配金の累計額の合計となり、基準価額が下げたとはいえ、設定来のグロソブホルダーは損失にはなっていない。ただ業界関係者の間では「グロソブ分配金の引き下げは、他の分配型ファンドの分配金動向にも大きな影響を与えかねない。今後の投信市場への資金流入を左右するのでは」との見方も一部に出ている。
 国際投信投資顧問の取締役社長、吉峯寛氏は、08年末のロイターとのインタビューで「『グロソブ』については、定期分配ニーズの大きい顧客が購入しているということは十分認識しているが、世界の経済成長率が5%台だったものが2─3%台になってくるのであれば、運用の世界でも当然リターンは落ちてくる」とした上で、「状況が短期的なものではなく、トレンドとして想定し得るとなれば、そういった状況を見定めた上で決めていくことになる。過去においては基準価額が高い水準にあり、もっと分配して欲しいという声がある中でも、安定分配を基本に分配してきたからこそ、現在の分配原資が積み上がっているという背景もある。リスク・リターンと結び付ける形で、あらためて分配金の持っている意味合いを理解してもらう良い時期なのかもしれない」と述べていた。

大和投信が「世界債券ファンド」の分配金を引き下げ、月80円を50円に 2009年01月21日 ロイター
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPJAPAN-35975020090120
 大和証券投資信託委託は、毎月分配型ファンド「ダイワ世界債券ファンド(毎月分配型)(愛称:ワールドプライム)」の1月分配金額を前月の80円から50円に引き下げた。分配水準の見直しは2008年4月に100円から80円に変更して以来。
 8年ぶりに「グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)<通称:グロソブ>」の分配金を引き下げた19日の国際投信投資顧問に続く決定となる。
 大和投信は今回の分配金引き下げは「現在の収益分配可能額の水準、配当等収益の低下、基準価額の低迷などを総合的に勘案した結果」としている。具体的には、円高が進み円換算で得られる配当等収益が低下していることに加え、各国で政策金利の大幅な引き下げが行なわれるなど、債券利回りの低下から現地通貨ベースにおいても債券の利金収入の減少が見込まれるためで、昨年7月末以降の基準価額の急速な低下も響いた。
 「ワールドプライム」は毎月分配型ファンドの08年末純資産残高で7位。分配落後の基準価額は6800円で、純資産総額は4623億円。
 「グロソブ」や「ワールドプライム」に限らず、分配原資を海外資産に求めている分配型ファンドは、昨年秋以降の運用環境の悪化で分配金の確保に苦慮している。業界関係者の間では「他のファンドも分配金の見直しをしやすくなった」との見方が出ている。

グロソブ分配減額で追随も、為替はマネー逆流の可能性注視 2009年01月21日 ロイター
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPJAPAN-35974920090120
 国際投信投資顧問が国内最大の公募投信「グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)<通称:グロソブ>」の分配金を8年ぶりに引き下げたことで、株安、円高、金利低下に直面する他の運用各社が追随するとの見方が広がっている。
 投信人気を支えてきた毎月分配型ファンドの分配減額の動きが広がれば、既に冷え込んでいる個人の投資マインドにさらなる打撃を与える可能性もある。
 グロソブに続き、他社がファンドの分配金を引き下げても、分配型投信の解約が一気に膨らむと見る向きは今のところ少ないが、07年までの外債投信ブームが当時の円安要因の1つだっただけに、外為市場では個人投資家の解約で投信マネーが逆流する可能性に関心が集まりそうだ。

<メガファンドの分配金引き下げ>
 国際投信は19日、160万人が保有するとされるグロソブの月次分配金を40円から30円に引き下げた。理由は世界的な金利低下と急激な円高の進行。グロソブに限らず、海外資産に投資している分配型投信は、昨秋以降の運用環境の悪化で足元の分配原資の確保に苦慮しており、業界関係者は「分配型ファンドの雄であるグロソブが分配金を減額したことで、他のファンドも分配金の引き下げやすくなった」と口をそろえる。
 国際投信の決定について「昨年末から観測が広がっており、あとはタイミングの問題とみていた」と語る運用会社関係者も「外債ファンドではグロソブが基準。(分配金減額などネガティブな話しでは)だれも目立ちたくないと考えており、これで追随しやくなる」と指摘する。
 また「分配原資の積み上がっているファンドで、年度内は現状維持を予定していたところも、早めに分配水準を切り下げる可能性も出てきた」(大手証券)との声もある。
 毎月分配型ファンドの残高上位10本の中で、分配実額が最も高いファンドの1つである「ダイワ世界債券ファンド(毎月分配型)<愛称:ワールドプライム>」は、08年4月から月額80円を維持している。
→管理人注 80円から50円への減額が先日発表 上記記事参照

 大和証券投資信託委託は「分配金はファンドの基準価額水準や、分配方針に基づく分配原資などを勘案して決定する。現状からすると見直しも検討している」(広報担当者)としている。ワールドプライムは、きょう20日が決算日で1月の分配金を決める。
 また、三菱UFJ投信関係者は、06年12月から月額47円の分配を維持している「三菱UFJ 外国債券オープン(毎月分配型)」について「47円のうち26─27円はインカム分で賄っているほか、蓄えた分配原資があるため、今のところ分配金を下げる予定はない」としているが、他の運用会社でグロソブに追随する動きは出てくると予想する。
 リーマンショック後の株安と円高の動きが激しかっただけに、一部には分配金を既に引き下げているファンドもある。ニッセイアセットマネジメントは「ニッセイ高金利国債券ファンド(愛称:スリーポイント)」の分配金を昨年10月に80円から60円に引き下げ、野村アセットマネジメントも「野村世界高金利通貨投信(毎月分配型) 」の分配金を9月の70円から徐々に減額し、1月の分配金は50円となっている。
 ニッセイの場合、「安定的な分配が重要であり、金利が低下して円高が進む中で、サステイナブル(=持続可能)でない分配金を続けるのは、おかしいということを丁寧に説明した」(広報担当者)ことなどが奏功し、引き下げ後も資金は流入超が続いている。さらなる引き下げについて同担当者は「当面は変更の予定はないが、さらに円高が進み金利が低下すれば、引き下げの可能性も否定はできない」としている。  

<解約限られれば円相場への影響軽微>
 為替市場では分配金引き下げの動きが広がっても、即座に解約が相次いで外貨売り/円買い圧力が強まることはないとの声が大勢だ。「仮に解約しても(個人にとって)他にいい運用先があるわけではない」(外銀の外為ディーラー)上に、分配金の引き下げをきっかけに投信を解約するような「アクティブな投資意欲を持つ個人は、すでに新興国やREIT(不動産投資信託)投資などへシフトしている」(邦銀の外為関係者)ため、解約が大きく広がる可能性は小さいとの見方だ。
 ただ、07年にかけて進んだ円全面安を支えた一因になったのは、当時の外債投信ブーム。投信の資産残高が減少し一時期ほどの存在感は失ったとはいえ、海外の投資家や投機筋にとって、貯蓄性向の高い日本人の海外投資意欲については「わざわざ東京に直接問い合わせが来る」(メガバンクの為替担当)ほど。世界的に株価の下落が続く中、分配金の引き下げや基準価格の大幅な下落がきっかけとなって投信マネーが逆流の兆しを見せ始めれば、円相場に与える影響は決して小さくない。

<分配金競争にブレーキ>
 グロソブの分配金引き下げを前向きに捉える向きもある。「分配金の実額だけに着目した分配金競争にブレーキがかかる」(大手証券)ためだ。国内投信関係者によれば、06年以降、分配原資獲得のために運用各社間で起きていたのはチキンレース。投資家や販売会社が分配金の実額にこだわる中で、運用会社はそれに応えるために少しでも高金利のものを探して各社が様々なファンドを組成・設定してきた結果、アイスランドなどの小国までもが投資対象となった。
 業界関係者からは「肩の荷が下りた感じだ」、「(グロソブの分配金引き下げは)分配競争に一石を投じたのではないか」と安どの声も聞こえる。「160万人ものホルダーを抱えるファンドの分配金が見直されることで、投資家は改めて分配金について理解することになる。正直なところ商品性に疑問を持たざるを得ないものもあった。分配競争は一段落し、投資家にとっても良かったのではないか」(外資系投信)と評価する向きもある。




 11月16日のブログにアップしたロイター記事(http://blog.goo.ne.jp/ibarakiisuzu/e/34de2394df4420a89e261aa5b7b76159)でも書きましたが、毎月分配型投信の分配金の減額が相次いでいて、とうとう毎月分配型投信の代表的存在だった、グローバル・ソブリン・オープンでも分配金を40円から30円に引き下げ、大和投信が設定している世界債券ファンドも分配金を80円から50円に引き下げたようです。
 まあ、毎月分配型投信という商品自体、外貨建ての国債や社債等の配当を主に配当原資にしていますが、世界的な景気悪化による金利の大幅引下げで、新規購入債券については配当率そのものが下がっている(政策金利が下げられるのですから、新規発行される国債や社債の表面利率が下がるのも当然ですよね…)ことに加えて、急激な円高が進んだことで、愛想を尽かした個人投資家が大規模な換金売りに走ったことから、キャッシュ比率を増やさざるを得なくなり、満足な運用ができなくなっている現実がありますし、無理に分配金を出したところで、税金で一部を持っていかれる蛸足配当にもなりかねません。円ベースでの成績が冴えない以上、分配金の減額も致し方ない判断ではないでしょうか…。
 とはいえ、この毎月分配型投信は、基準価額のある程度の下落(多少の元本割れ)は覚悟の上、公的年金では足りない分の生活費を補う目的で購入している高齢者の方も少なくありません(特に銀行が投資信託に参入してからはこの傾向が更に強くなりました)し、もし分配金の水準が購入当時の3分の1、4分の1の水準まで下げてしまうようなことになれば、商品性そのものや営業姿勢を巡って顧客とトラブルになる可能性も否定できませんし、とりわけ今回は銀行が本格参入してから初の大幅な下落局面だけに、元本割れに対する覚悟のない顧客も多く購入していると思われるだけに顧客の動揺が心配ですね…。


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