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ゆうパック遅配「郵便局職員に危機感感じられず」

2010-07-07 06:37:56 | Weblog
ゆうパック遅配「郵便局職員に危機感感じられず」 2010年07月06日 読売夕刊
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100706-OYT1T00677.htm
 日本郵政グループの宅配便「ゆうパック」に配達の遅れが出ている問題で、各地の特産品を発送する農家や食品業者は、顧客から寄せられる苦情への対応に追われている。
 「1日でも遅れると傷みが出てしまう」と郵便事業会社への憤りを募らせている。
 「まだ届かない」「1日遅れて着いた商品が傷んでいた」。サクランボ生産量日本一の山形県東根市は贈答用シーズンのピークを迎えたが、市内の農家は6日朝も電話がなりっぱなしの状態。果樹園を営む相馬和子さん(62)は「旬の短いサクランボは鮮度が命。味や色づきが一番いい時期に収穫して発送しているので、わずかな遅れでも影響が出てしまう」と悲鳴を上げる。
 これまで商品の約8割を「ゆうパック」で発送していたが、別の業者に切り替えて対応しているという。「再発送と伝票の打ち直しで手いっぱい」(相馬さん)。
 茨城県鉾田市のJAかしまなだの野菜直売所にも「荷物が届かない」といった苦情や問い合わせが1日に10件ほど寄せられている。扱っているのは、地元特産のアンデスメロンやクインシーメロン、野菜など。「暑い日が続いているし、日がたつと、新鮮さやおいしさが失われてしまう」と担当者は困惑顔だ。
 南高梅の産地、和歌山県田辺市の梅干し製造・販売店には、関西や関東の注文客から苦情や問い合わせがあったという。「郵便局の職員が5日、遅配の説明に来たが、ひとごとのような口調で危機感が感じられなかった」と男性店長(37)は憤る。
 愛媛県特産のみかんを使った「ポンジュース」を製造販売する松山市の「えひめ飲料」には、かんきつ果汁を原料に使う食品加工メーカーなどから、到着遅れの問い合わせが寄せられた。ゆうパックに問い合わせても「所在の確認がとれない」との返答で、6日から他社の宅配便に切り替えることを決めたという。

ゆうパック遅配:準備おろそか、「見切り統合」 マニュアル到着遅れ、訓練1回 2010年07月07日 毎日
http://mainichi.jp/select/biz/news/20100706ddm002020012000c.html
 集配の遅れが続いている日本郵政グループの郵便事業会社の宅配便「ゆうパック」をめぐる問題で、ゆうパックとペリカン便の統合に伴う業務マニュアルが現場の一部に届いたのは直前の6月半ば以降だったことが5日、分かった。宅配便の遅れは同日現在で32万個に増え、郵便事業会社は社員の「不慣れ」を強調するが、「準備不足」を指摘する声が強まっている。
 郵便事業会社の東京都内の支店に勤める男性社員が、ペリカン便と統合後のゆうパックの作業手順を書いた140ページにわたるマニュアルを受け取ったのは統合直前の6月半ばだった。「訓練も1回だけ。わずか2週間で習得するのは無理。押し切った経営陣が現場に責任を転嫁するのはおかしい」。男性はぶちまけた。都内の別の集配拠点の社員によると、マニュアルが届いたのは6月下旬だ。
 郵便事業会社は集配拠点で混乱が続いていると強調する。だが、拠点から荷物が配送され、各戸に届ける支店でも混乱していると男性は指摘。「荷物の受領書などを発行する支店内の新システムは、7月1日の新サービス開始まで動かず、触れることもなかった」
 混乱は1日以降も続く。ゆうパックでは従来、着払いで客から受け取った料金は、配達員が午前中にいったん支店に戻って精算してきたが、7月から、1日の最後に支店に戻った際に精算するペリカン便方式に変更。戻った配達員で支店がごった返す事態となった。
 郵便事業会社が統合を急いだ背景には、財務上の理由がある。08年に日本通運と共同出資で「JPエクスプレス(JPEX)」を設立、日通はペリカン便を先行移管した。ゆうパックも09年10月に移管されるはずだったが、総務省がゆうパック移管後の郵便事業会社の収益を懸念し認可を見送った。結局、ペリカン便をゆうパックが吸収する形で事業統合は完了。統合を急いだのはJPEXが月50億~60億円の赤字をたれ流してきたためで、取扱個数を増やし黒字化させることが最重要課題だったためだ。
 7月統合が決まったのは昨年12月にさかのぼる。ある郵便事業会社幹部は「繁忙期の統合に異論を唱える声もあった」と明かす。当時は年賀状の繁忙期で「意見する余裕が現場になかったのだろう」とみるが、その後も判断変更の余地はなかったのか--。
 配達の遅れは、早期統合という経営課題を最優先させた結果、起こったとも映る。だが、鍋倉真一社長は4日の会見で「いろんな研修や予行演習は行ったが、やや不慣れの人間が多かった」と現場の責任を強調。拠点での混乱が明白となった2日の時点で「土日の対応で正常化できる」(鍋倉社長)と判断したが、結果的に「経営側の準備不足と甘い見通しによる見切り発車」(都内の支店に勤める社員)の感は否めない。
 集配拠点の作業手順の検討を始めたのも4月。都内の集配拠点に勤める男性社員は残業に疲れきった様子で、「マニュアルを完ぺきに理解している人間はいないのでは。混乱は当たり前だ」と語った。

◇「なぜ中元の時期に」
 宅配便「ゆうパック」の遅配は5日も続き、郵便事業会社、業者、利用者のすべてに混乱が広がった。郵便事業会社の東京都内のある集配所。40歳代の男性は、冷凍室の広さが限られるため、要冷蔵のものが保管できない恐れが出てきていると明かす。「統合時期もなぜ中元シーズンなのか。日付の古い宅配物が現場に残っている」と憤りを隠さない。
 茨城県鉾田市飯名の「ファーマーズマーケットなだろう」では、購入翌日に配達されるはずのメロンが届かず、5日までに顧客から10件の問い合わせがあった。店員は「箱詰めで熟成が早く進むのが心配だ」と話す。
 また、岡山県の通販業者によると、山形県から九州に発送したサクランボが1日遅れの3日に到着。顧客から傷んでいると苦情を受け再発送したが、「早めに伝えてもらえれば対処できた」と批判する。千葉県山武市の農事組合法人「さんぶ野菜ネットワーク」に至っては、顧客からゆうパックで発送した野菜が届いていないとの苦情が相次いでいる。職員の一人は「腐ると困る。当面、ゆうパックの利用は控える」。
 生もの以外にも被害は広がる。埼玉県は発行窓口がある川口市などに、ゆうパックでパスポートを発送しているが、1~2日に発送した250冊が到着するまで最大2日間遅配となった。
 流通大手各社も引き続き対応に追われた。ダイエーは、一部で到着が半日~1日遅れ、生鮮品は傷まないよう配送センターに戻して保管し、再発送の手続きをするという。小田急百貨店(東京都新宿区)は、配達期日が指定された一部の荷物については、以前から契約している日本通運の航空便などに切り替えた。地方店舗の一部と通販でゆうパックを使う三越伊勢丹ホールディングスの石塚邦雄社長は、「通販で苦情が殺到するようなら別の業者への切り替えも検討せざるを得ない」と話している。

ゆうパック:遅配はピークの半分以下に 2010年07月07日 毎日
http://mainichi.jp/select/biz/news/20100707k0000m020075000c.html
 日本郵政グループの郵便事業会社(日本郵便)は6日、宅配便「ゆうパック」の遅配が今月1日から6日までの累計で約34万4000個に達したことを明らかにした。同社によると、5日の引き受け分では、千葉、埼玉両県と大阪府の集配拠点を通過する荷物の計約2万4000個に、半日から1日の遅れが生じているという。1日あたりの遅配の個数はピークの半分以下に減ったという。ただ、1日からの遅配などの苦情件数は約5000件に達した。
 鍋倉真一社長は「混乱は収まってきている」と強調。「7日朝にかけての状況を見て、早ければ7日中にも正常化を宣言したい」と述べた。
 この問題で原口一博総務相は6日、総務省に日本郵便の鍋倉社長を呼び、郵便事業会社法に基づいて原因などの詳しい報告を7月末までに提出するよう求めた。具体的には、(1)準備状況などを含めた遅配の経緯(2)日本郵便の対応(3)遅配を公表したタイミングの決定経緯(4)一般の郵便業務への影響--について、報告を求めている。
 原口総務相は鍋倉社長に「一刻も早く回復させてほしい」と要請。閣議後会見では「国民、利用者に多大な迷惑をかけた。誠に遺憾。事前準備が十分でないからこういうことが起きたのではないか」と指摘。報告内容を精査して行政処分などの対応を検討する意向を示した。





 ………。今回のゆうパック騒動。どうもお偉いさんだけでなく末端の職員までもが責任感に欠けるようで『荷物さえ届けばいい』とばかりの勘違いな発想で、個人向け荷物の配送が『郵便小包』だった時代の価値観から未だに抜け切れていないようですし、『品物を弁償することは検討していても、発想者の信用失墜問題にまで気を回す』という民間事業者ならば当たり前に持ち合わせている顧客第一主義というものが全く感じられず、こんないい加減な状況では、安いというだけでは顧客離れが進んでしまうのも無理もないと思います。
 まあ、ひょっとしたら現場も連日の残業で疲れきっていて、顧客の気持ちに配慮する余裕などとっくに失っているだけなのかもしれませんが、うん十年前のまさに小荷物預かりだった時代とは異なり、今は個人宅配便のかなりの比率を生鮮食料品が占めている時代。
 さくらんぼなどの果物や賞味期限が数日しかない品物は、予定期日に配達されないというだけで品質が著しく落ちたり、時には痛んだりして売り物にならない可能性まであり、その怒りは発送元の零細業者に向けられるというのに、物流が正常に動くことを前提に仕事をしている彼らからすれば、今回の騒動はまさに『冗談じゃない!!! こちらの信用の失墜は一体どうしてくれるんだ!!!(怒!』というのが紛れもない本音ではないでしょうか…。
 遅配が半分以下になったというのも、業務が正常に稼働しはじめたというよりは、今回の騒動を知った発注元が不要不急の注文を控えたり、他の業者に振り替えているのが現実でしょうし、統合を急いだ理由も、日本通運と共同出資で設立したJPエクスプレスが毎月50~60億の赤字を垂れ流していることから、あえて繁盛期にぶつかることを覚悟で7月頭に実施したようですが、肝心の取引先の信用を失い大口取引&個人取引の信用を失墜させることでシェアも失ってしまうようでは、50億から60億の赤字を減らしたところで全く意味がありませんし、せめて法人業務が夏休みモードに入る8月に1カ月だけでも遅らせるという発想くらい出来ないものかな…と本当に呆れ果ててしまいます。
 あえて厳しい言い方をしますが、組織だけは形式的に民営化しても、価値観は相変わらず国営時代の発想が抜けておらず、本気で民間会社として生まれ変わる覚悟があるのかとさえ疑いたくなりますね…(溜息


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