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二重派遣防止へ日雇い派遣の規制案 就業場所の巡回求める

2008-01-20 14:27:01 | Weblog
二重派遣防止へ規制案・厚労省 2008年1月16日 日経夕刊
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080116AT3S1600I16012008.html
 厚生労働省は16日の労働政策審議会(厚労相の諮問機関)労働力需給制度部会で、日雇い派遣の新たな規制案を提示した。派遣スタッフをさらに別の場所へ派遣する二重派遣の防止を徹底するため、労働者派遣法の施行規則を改正。派遣先の企業に対し、派遣スタッフが働いた場所などを書き込む「管理台帳」を作ることを義務付ける方針を明らかにした。厚労省は月内に改正案をまとめ、4月から施行する。
 二重派遣は、労働者の指揮監督権が不明確になるなどの観点から禁止されている。ただ、日雇い派遣大手のグッドウィルが二重派遣を繰り返していたとして事業停止の処分を受けたこともあり、厚労省は不正を防ぐための規制強化に乗り出した。派遣スタッフが働いた場所を派遣先企業に記録させることで二重派遣を防止する狙いがある。

就業場所の巡回求める 日雇い派遣の指針案 厚労省 2008年01月16日
http://www.asahi.com/life/update/0115/TKY200801150408.html
 日雇い派遣の規制を強化するため、厚生労働省が新設する指針の原案が15日、明らかになった。派遣大手グッドウィルへの事業停止命令の理由ともなった二重派遣を防ぐため、派遣元と派遣先双方に対し、実際の就業場所を巡回して契約通りか確認することを要求。業界に横行する給与からの不正な天引きの禁止なども求め、労働者保護を強く打ち出している。
 16日の労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の部会で示し、月内に最終案をまとめる方針。
 指針案は労働者派遣法に基づくもので、1日単位か30日以内の労働者派遣を行う派遣元企業と派遣先企業が対象。違反すれば行政指導の対象にもなる。
 派遣元に対しては、「データ装備費」などの名目で1日数百円を天引きする企業が多いことから、使途が明白で労使協定を結んだ場合以外は「不適正な控除が行われないようにする」と明記。現場への集合から作業開始までの拘束時間の賃金を支払わない例が多いため、「労働時間を適正に把握し、賃金を支払うこと」を求めている。
 また、労働条件や賃金といった基本的な労働条件を労働者に書面で明示するよう定め、なるべく長期間の派遣契約を結ぶ努力や職業能力の向上を図ることも求めた。



 二重派遣そのものは、これまでもコンピューター業界では別に珍しいものではなかったのですが、グッドウィルが日雇派遣労働者を二重派遣していたことが分かり、全事業所の事業停止命令が出るなど社会問題になったこともあり、厚生労働省としても、至急の規制強化を迫られたようです。
 とはいえ、『実際の就業場所を巡回して契約通りか確認する』こと一つとっても、余程の悪質な証拠でもなければ、企業の事前連絡なしにいきなり踏み込めるものでもないでしょうし、その間に、別の場所に派遣していた労働者を一時的に引き上げれば済むだけのこと。派遣元と派遣先がグルになれば、いくらでも誤魔化すことができるのではないでしょうか。
 『拘束時間の賃金を支払わない例が多いため、「労働時間を適正に把握し、賃金を支払うこと」』だって、現場まで余程移動時間がかかる場合は別にしても、移動まで30分程度ならば、余程の大企業でもなければ移動の間の賃金を払わない(というより払えない)のが実態だと思います。
 『「データ装備費」などの名目で1日数百円を天引きする企業が多いことから、使途が明白で労使協定を結んだ場合以外は「不適正な控除が行われないようにする」』件も、あくまでも労使協定さえ結んでしまえば控除できるわけですし、規制強化されたとはいえ、まだまだ甘いな…というのが正直な印象ですね。

 まあ、バブルがはじける前の日雇労働者は、自らの意思で日雇労働者になった方の比率が多かったため、あまりうるさいことを言わなくても良かったのかもしれませんが、今は新卒で正社員の口が見つからなかったり、あるいは一度体を壊してしまい、体が治ってからアルバイト生活をしていた方が、ちょっとしたきっかけで日雇派遣の世界に入ってくるなど、就業構造そのものが変わっているだけに、規制強化そのものには賛成なのですが、一旦日雇で働き始めると、たとえ本人に強い就業意欲があっても、事実上正社員の道が困難になってしまうというのも何か割り切れない思いがしますし、これからは労働力不足が深刻になることがわかっているだけに、長期的には企業の意識を変えていく方向に仕向けるのも、国全体の競争力を考えれば必要なのではないだろうか…といったことを、この記事を読みながら考えこんでしまいました。


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