ザ・会社改造: 340人からグローバル1万人企業へ 実話をもとにした企業変革ドラマ 単行本 – 2016/9/1
三枝 匡 (著)
事業再生専門家として2年のスパンで事業を再生してきた三枝さんが腰を据えて取り組んだ案件=ミスミの実録が記された本です。現場に乗り込んで会社を変えるという専門家の能力が如何なく発揮された案件、会社の社長になるということでまさに集大成となる仕事が記された本です。
今までもほかの本で述べられているタイムベース理論(品質、コストに加えて時間優位性が重要)を中心に、製造サイド(トヨタ生産方式)と販売サイド(コールセンターの効率化、集約化)の改革をメインに描かれています。いずれも現場に乗り込んでいくハンズ・オンな改革をしてきただけあり、臨場感がある良い内容だと思います。
最後の章の章では組織も含めて自論が記されていますが印象的だったのは組織活性の循環動態論でした。 これは個人がやたら元気という末端パワーと戦略的組織束ねという相反するテーマをつなぐものです。まずは元気の無くなった組織は小規模=小集団にして個人の裁量を高めることによって活性化すべきなのですが小集団がゆえにチマチマ病に陥ってしまうためそれを戦略的束ねで上に押し上げるという流れです。ただあまりにも戦略的束ねが強すぎると逆に大企業病に陥るとのことで再び小集団の登場というサイクルを繰り返して成長させるというものです。 市況の状況だけでなく会社も時間軸で動的に変化していくものなので組織、戦略を臨機応変に変化させて行ける力こそ重要であることを再認識できました。
成功した事例なので当然なのかもしれませんが現状分析から対策に対しては非常に筋が通っているし改革を手掛ける人がい自ら考え、ブレずに意思を通しているというのが印象的でした。もちろん道を誤れば失敗してしまうリスクもあるのですがとにもかくにもプレッシャーに打ち勝つことのできる強さを感じます。