Takekida's log

千里の道も一歩から

定量論文を基にしたイノベーションのカタチ

2022-10-15 21:40:06 | Books
 イノベーターのためのサイエンスとテクノロジーの経営学 牧 兼充  (著) 
 起業家はいかにしてどこから生まれるのか、シリコンバレーなどを代表するようになぜ起業家は特定の地域に集積するのか、科学技術はベンチャー企業の育成にいかにして役立つのか、といった実務に役立つ疑問について、さまざまな研究成果を定量分析がされた32の論文の結果から読み解いた本。理論研究ではなく因果関係を見出す定量論文の結果が集約された本になっており(研究)開発にかかわる自分にとっては非常に興味深い内容でした。

・イノベーションは大企業が担うのか小企業が担うのか?:産業自体の規模が大きいと大企業が有利、産業の規模が小さいと小企業が有利。特にイノベーションは企業が生まれてからの若さにも相関があるので若い企業の方が生まれやすい傾向あり。つまりは産業を新たに切り開いたベンチャーというのが最も有利ということにはなります。。その分失敗するところも多いのでしょうが。 政府の補助金や特許というのは実は相関が低いことも示されてます。
・アントレプレナーはどこから生まれる?:仲間=ピアの影響が大きく過去に起業を経験したピアが多いほど起業が多いとの因果関係。なかなか大企業からベンチャーを生み出すのが難しいのはここら辺が効いているかも。起業経験者を雇ってきて意図的にピアエフェクトを利用するという手もありそうです。
・いわゆるスターサイエンティストはベンチャー企業の発生、成功に好影響を与えるのと同時にスターサイエンティスト自身の業績を伸ばす相乗効果がある。
・なぜ特定地域に知の集約、起業の集中が起こるのか?:上述のようにスターサイエンティストの周りでの企業が増えるから。アメリカではカリフォルニアとマサチューセッツに集中。日本ではアメリカと違ってスターサイエンティストの研究室に企業の研究者が赴くことが多いので知の集積は起こりにくいとのこと。
 また企業に関しても大学と企業のコラボレーションと人材の流動性確保によるネットワークの強さが効いているとの分析。ということで人材を流動的にしてスピンオフしやすくするのとベンチャーなどとのコラボレーションが重要となってそうです。
 
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BaliBuddha (Subak Bali)
2022-10-27 02:25:02
Sing apik po

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