10年後に食える仕事 食えない仕事: AI、ロボット化で変わる職のカタチ 渡邉 正裕 (著)
昨今のAIブームではAI vs 人間の対立軸で失業を招く・・・と語られることも多いですが本来考えなくてはいけないのは今までの機械と同じようにいかに人間ではできないことをやらせて人間は人間しかできないことに集中するかということなのだと思います。過去の産業革命ではもちろん失業者も出ましたがそれに増して新たな仕事とが発生してきたことで経済が大きくなってきた効果の方が大きかったのは事実です。 この本では人間の強みと機械の強みをフレームワークにして4つの象限にある仕事がどのように変わっていきそうかを分析したものです。 今回のAIの台頭もやや似ていますが職業の階層構造というのは大きく変わって来そうというのがこの本でわかります。
大きくは3層: AI/ロボティクスを活用してさらに価値を生み出すことのできる層と今までの仕事とは大きく変わらないものの機械化できない理由がある中間層(コスト、既得権益、非定期、緊急対応など)、そしてAIで対応するGAFAなどのプラットフォーマーの手先となる層 なのかと考えられます。 そしていままでのボリュームゾーンだった中間層がだんだんと減ってくることで嫌な言葉ですが労働市場は2極化することが予想されます。 人間がやって価値のある事=創造、感動、信用を生み出す仕事というところにシフトできるか否かというのがキーなのですが多くの人にとっては簡単ではないと思いますので覚悟が必要というのとますます今までのようにこうやっていればOKというような王道のキャリアパスというのは少なくなってきているようでいかにどんな状況でも対応できる臨機応変さそして芸術的なセンスというのがこれから問われてきそうです。 下記はあくまで予想、日本国内はどちらかというと保守的なので比較的変化の勢いは小さいのかもしれません。
4つの象限は・・・以下のような区分です・・・
ロボティクス失業――機械やITに置き換わり、失業リスクが高い
レジ打ち、行政事務、飛行機など除く運転手、配達員
*ただこれはコスト次第、人間の方が安ければ残るはず
手先ジョブ――人間の手先が必要不可欠で、永遠に残り続ける
*機械化が困難なため残り続ける仕事
イレギュラーな対応が必要な一部の店員、清掃、メンテナンス
ピッキング要員、一部の運転手、ウエイター
職人プレミアム――テクノロジーとは無縁で、雇用は安定
*人間の作業が付加価値を持つ領域
いわゆる匠の技を持つ職人や緊急対応が必要な
インフラ=警察、消防、軍隊など美容師、パイロット、
高級な宿泊、セールスなどのサービス業
AI・ブロックチェーン失業――中核業務は無人化・自動化が不可避
*既存の中核業務が自動化され人間のこなす役割は少数精鋭化
ただ規制緩和や既得権益がどれだけ守られるか次第。
トレーダー、マーケッター、税理業務、広告業、アナリスト
士業の一部(司法書士、行政書士)
デジタル・ケンタウロス――AIを乗りこなし、人間の強みを発揮
*ツールとしてAI/ITを活用、どちらかというと価値を創造する役割を重視
建築家、芸術家、SE、データサイエンティスト、コンサルタント、弁護士
建築家、芸術家、SE、データサイエンティスト、コンサルタント、弁護士
教育関連、 企画部門、投資家、研究者、CEO/CFO/CIO、医師など
私は、最近「AI崩壊」という、国家インフラまで成長したAIが暴走する2030年が舞台の小説を読みました。その中で、AIの台頭でAIを好ましく思う人、AIを嫌悪する人の気持ちの描写がありました。
人がやって価値のある「創造、感動、信用」がますます大切になってくるのは間違いないと思いますが、時代が変わっても人の気持ちに寄り添える仕事は残る気がしています。