04/12・16海保
年末集会あいさつ
「期待されよ、さればかなえられる」
●「一年の計は元旦にあり」ですね。
正月は願いごとや目標をたてます。そして、それを実現したいと願います。
そこで、今日は、「期待されよ、さればかなえられる」という話しをしてみます。
●まずは、ギリシャ神話から。
昔,ギリシャのキプロス島に、ピグマリオンという名前の彫刻が大好きな王様がいました。ある時、自分で彫刻した女性の像に、恋をしてしまいました。この彫刻像を妻にしたいと熱烈に願うようになりました。
あまりの熱烈さに動かされて愛と美の女神アフロディーテがこの願いを聞き入れて、その彫刻に生命を与え人間にしてくれたのです。
強く期待されれば、彫刻でも人間になれるという話しです。
●もう一つ、計算のできる賢い馬・クレバーハンスの話です。これは実話です。
馬が飼い主の出す計算課題の答えを、ひずめで床をたたいて誤りなく、答えたのです。馬での人間と同じような知能があるということで、一躍有名になりました。
「そんなバカな」とある心理学者が調査に訪れました。そして、そのからくりを解明しました。
解明のポイントは、出題者も含めて誰もが答えをわからないようにして出題したのです。馬はひたすら床を叩き続けたそうです。
つまり、答えを知っている人がいると、ひずめのたたく回数が答えのところにくると、知らず知らずのうちに、そこで床をたたくのを止めてほしいとの、暗黙のサインを出していたのです。クレバハンスは、そのサインを読み取ることに長けていたに過ぎなかったのです。
しかし、これもまた、強く期待されれば、馬もまた計算(もどき)の芸ができるという話しでもあります。
●さて、この2つの話しには、共通したところがあります。
ピグマリオンにしても、ハンスの飼い主にしても、強烈な願いをいだいていました。「妻にしたい」「ハンスが賢こくなってほしい」と強烈に願ったのです。
このように、強く願うと、その願いがかなってしまうことを、ピグマリオン効果と呼んでいます。
一方、彫刻も馬も、その期待に応えるべくがんばってもいます。ここのところにも注目してください。
●諸君の周りにも、諸君にこうなってほしいと強い期待を抱いている人々がたくさんいますね。保護者、先生、さらに、世間もそうです。
・保護者なら、自分の子どもならこうなってほしい
・先生なら、筑波大学付属高校の生徒なら、こうなってほしい
・世間なら、筑波大学付属高校の生徒ならなら、これぐらいのことはできるは ず
と期待してくれます。
そうした期待は、時には、わずらわしく感ずるかもしれません。自分は自分と言いたいところかもしれません。
しかし、そうした強い期待に応えるべく努力するうちに、実力以上の力が出てくることもあります。
・ただの彫刻が人間になります
・ただの馬が名馬になります
●お笑いタレントに上田普也(うえだしんや)という人がいます。クリームシチュウの一人ですね。今度、結婚するそうですね。
彼が「おやじのせなか」(朝日新聞、04・11・28)で、こんなことを述べています。
「ーー兄貴はおやじによく怒られてました。ーーぶん殴ぐられてました。しかし、ぼくが同じ悪さをしても全然怒らない。高校3年のときに、1週間家出をしました。おやじがぼくのことをどれくらい思っているのか、不安になったんですね。ーーさすがに今度は殴られるだろうと身構えたけど、おやじはやはり何も言わない。ーーー”おれへの愛情はねえんだろう”って問い詰めたら、”いや怒らないのは、おまえは兄と違って自分で歯止めをかけられるからだ”と。」
●「周囲から期待をしてもらえるような自分になる」ことも、自分作りには大切なのです。
●では、また正月明けに会いましょう。終わりです。
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●「豚もおだてられれば、木に登る。」
●「応援されると、つい頑張っちゃうんです。」(ギャラリー効果)