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文章表現力アップ

2021-05-31 | わかりやすい表現
文章表現力アップ
 なお、以下、コミュニケーション力アップのすべてにわたり、その基礎には、受け手の頭の働きのくせに配慮したコミュニケーションという観点――私は、これを認知表現学と称していますがーーがあります。
 
●メリハリ表現をーー文章表現力アップその1
 図の左側に示したのは、バスの非常口の開け方です。実例です。しっかりと読めば、内容的には正確で情報的にも充足しています。しかし、いざというときに、こんな表示を読んでもらえるでしょうか。

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「実例」
非常のときは、レバーをまわし、座席を前に倒し、
非常ドアをあけて、外に出る。

「メリハリをつけた表現に改訂」
非常のとき
(1)レバーをまわす

(2)座席を前に倒す

(3)非常ドアをあける

(4)外に出る

 かりに文字ばかりで書かれた文書であっても、図右に示したように、メリハリのある書き方をすれば、それなりの表示効果を期待できるはずです。
 メリハリ表現とは、意味のまとまり(区別化)と大事さの程度(階層)が、一目でわかるようにしたものです。

●意味のまとまりが見えるようにする
 メリハリをつけるためには、まずは、意味のまとまり(チャンキング)の可視化が必要です。
 さきほどの例なら、箇条書きの形で「1文1動作」になっているところです。
 文書は、読んでわからせるのが王道なのですが、見ただけで読み方がわかるようにすることもまた大事なのです。
 お遊び例を一つ。次のひらがな文はどうでしょうか。
 「うらにわにはにわにわとりがいる。なかにわにもにわにわとりがいる」
 「うりうりがうりうりにきてうりうりのこしうりうりかえるうりうりのこえ」
 見た目では、なかなか理解しにくいですね。
 日本の通常表記である漢字かな混じり文にして、読点を入れれば、正確かつ迅速にわかってもらえるはずです。
 文書作成でよく使う小見出しにも、大きな意味的まとまりを見せる効果があります。
 一定の長さの文書になると、内容的にもいくつかのユニットに分かれます。その分かれ目に小見出しを入れます。 
 なお、小見出しをつけるようにすると、書くときにも、より一層、内容の精選をするようになる副産物もあります。

●大事さを見せる
 意味的なまとまりの可視化の次は、内容の大事さの可視化です。
 話は簡単です。大事さの程度に応じて、目立ちやすさを変えるだけです。
 たとえば、本書では、部―>章―>節―>小見出しの順に活字の目立ちやすさを変えています。
 これを階層化と呼んでいます。
 目立つものには注意が向きます。注意されたものは、深く処理をされます。ですから、大事なものを目立つようにしておくのです。

●適切なタイトルをーー文章表現力アップその2
 一定の長さの文書には、タイトルを付けます。そのことは誰もが知っているのですが、どんなタイトルを付ければよいかについては、意外に無頓着なところがあります。
 まず、タイトルは、文書をわかりやすくする要(かなめ)であることを知っておく必要があります。
 ここでまたお遊び。下に示した文書を読み、これが何のことを述べたものか考えてみてください。

「その手順はまったく簡単です。まずものをいくつかの山に分けます。もちろんその全体量によっては、一山で十分でしょう。もし次の段階に必要な設備がないためどこか他の場所へ移動する場合を除いては、準備完了です。一度に沢山やりすぎないことが大切です。沢山にやりすぎるより、少なすぎる方がましです。すぐにはこの重要さがわからないかもしれませんが、めんどうなことになりやすいのです。」
(ブランスフォードによる)
 
 この文書にタイトル「洗濯をする」を付ければ、たちどころに内容が理解できるようになってくるはずです。試しにもう一度、読んでみてください。
 どうしてこういうことになるかと言うと、タイトルを見ると、それに関する頭の中の知識が活性化するので、文書に書かれたあいまいな内容が取り込みやすく(既有知識と関連づけしやすく)なったからです。
 そこで、タイトルをつける際のポイントを一つだけ紹介しておきます。
それは、具体的でイメージのわきやすい内容にすることです。
多くのタイトルは、マクロで抽象的なものになりがちです。「かぜの予防」「かぜをひかないように」といった類です。
これはこれで、文書全体で言いたいことをおおまかにわかってもらう効果はあるのですが、それが、かえって、「そんなこと自分は関係ない」「また風のはなしかー」となりがちです。
それよりも、「うがいでかぜを防ごう」「冷えすぎによるかぜに注意」のように、その文書で言いたいことの核心をずばりタイトルにもってきたほうが、読み手の注意を引く効果は大きし、場合によっては、タイトルだけしか読んでくれない人にもそれなりの効果を期待できます。
マクロで抽象的なものをサブタイトルとして使うと、なお効果的です。

●読ませる工夫もーー文章表現力アップその3
 文書は作る側からすると、かなりしんどい仕事になります。そのためもあってか、自分の作った文書は受け手に読まれて当然との錯覚をしがちです。
 しかし、考えてもみてください。読み手も、読んで理解するのは、かなりの努力がいるのです。努力に値する文書かどうかをタイトルや小見出し、さらにはレイアウトなどから瞬時に判断することに長けています。その点の配慮も必要です。
時には、「ぜひ、この文書は読んでほしい」との気持ちを文書に込めることも必要なのです。それには、広告宣伝で使うアイドマ(AIDMA)の法則を知っておくとよいかと思いますので紹介しておきます。
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Attention  目立たせて注意を引く
  例;大事なところに色を付ける 
Interest  興味、関心、利益に訴える
  例;「かぜの予防はクラスを救う」

Desire  欲求に訴える
  例;「かぜのつらさよりうがいをする ほうが楽」
Memory  覚えてもらう
  例;手を変え品を変えて何度も繰り返して伝える
Action  行動してもらう
  例;先着順です
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粗悪な信念

2021-05-31 | 認知心理学
①世の中に流布している信念を丸ごと自分の信念としたもの
例 宗教的信念

②自らの認知システム全体の中で孤立しているもの
例 非科学的信念

③一時の感情に駆動されて即興的に形成されたもの
例 @@国で盗難にあった。(だから)@@国は嫌い。
この類は、かなり多い。信念というより偏見に近い。



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2021-05-31 | 認知心理学
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BS中継よりも、ネットニュースのほうが早い

2021-05-31 | 心の体験的日記
大谷選手出場のゲーム。
BS中継で9時から。
見る前に、ネットニュースをチェックしてたら、
「大谷、5回まで無安打」の見出し。
へー、と思ったが、BSのスイッチを入れ初回から見始めた。
でも、最終結果が知りたくなったので、途中でネットニュースをみたら、
エンジェルスが勝ち、大谷ノーヒットとわかる。
BSは、liveではないのだ。

楽しみを奪われた感じ。
時差のいたずらも時には、楽しかなー

知の現場で働いて40年*(再掲)

2021-05-30 | 自分史
知の現場で働いて40年

認知の心理学、認知の科学の研究者のはしくれとして40年働いてきた。
最初は、文字認識の研究から入り、漢字情報処理の研究を経て、実験室の外に出て、取扱説明書をわかりやすくする研究、インタフェースの研究、さらにヒューマンエラー研究を行ってきた。
基礎研究からはじめて実践研究へという研究者としての一つの典型的な歩みであった。
大げさな言い方になるが、これは、知の生成の現場である。
また、24歳で徳島大学の助手として働かせてもらって以来、大学での教育にも携わってきた。それは、まさに知の消費と流通の現場であった。




対人関係のポジティブ度評定尺度例

2021-05-30 | ポジティブ心理学
対人関係のポジティブ度評定尺度例

       非常に やや どちらでもない やや 非常に
思いやりのある 1 2   3   4 5 自己中心的な
社交的な    1 2   3   4 5 非社交的な
人気のある   1 2   3   4 5 人気のない
ざっくばらん  1 2   3   4 5 堅苦しい
穏やかな    1 2   3   4 5 怒りっぽい
ユーモアのある 1 2   3   4 5 ユーモアのない
人情味のある  1 2   3   4 5 人情味のない

安全とリスクの心理」心理学基本用語

2021-05-29 | 安全、安心、
安全とリスクの心理

  • リスク(risk )
リスクとは、「生命の安全や健康、資産や環境に、危険や傷害など望ましくない事象を発生させる確率、ないし期待損失」である(日本リスク研究学会)。数学的な表現をするなら、リスクは、危険の発生確率と損失の大きさの積の期待値として定義される。
リスクは、個人の生活はもとより、社会や国家の至るところで問題となる。
リスクゼロは理想としてはありうるが、科学技術の進歩は、ハイリスク・ハイリターン社会を作り出し、多彩なリスクを受容しながら万が一のリスクに対処することを余儀なくさせる。
  • リスク認知とリスク行動
(risk recognition behavior)
リスク認知とは、たとえば、原子力発電所をどれくらい危険なものとみなすかである。リスク認知は、事故の発生についての客観的な確率や災害の規模などよりも、「恐ろしさ」「未知性」「情報接触頻度」さらに、「リスク事象への能動的な関与の度合い」などの心理的な要因によっても強く規定されている。
リスク行動とは、リスクをどの程度まで見込んで行動するかである。これをリスク・テイキング(risk taking)行動という。航空機利用などのように、利便性が高いときは、リスクは低く見積もられ、行動として選択されやすい。

  • リスク補償( risk compensation)
高いリスクが存在するときには、それを避けるという消極的な方策と、そのリスクの発現を押さえるか除去する積極的方策とがある。後者の方策がとられたことがわかると、人は、安全裕度として事態をとらえ、危険を無視するようになる。これが長期間にわたると、また元のリスキーな事態に逆戻りしてしまう。これが「リスク補償」、あるいは「リスク恒常性」と呼ばれるものである。
  • ヒューマン・エラー
(human error)
人は必ずエラーを犯す。エラーは人であることの証であるかのようである。機械・システムの設計は、このことを前提にしないと事故が発生してしまう。
事故につながるような行為は意識化させたり、やりにくくさせたりするフール・プルーフ(fool-proof)、仮にエラー(故障)をしても、すぐには事故につながらないようにするフェイル・セーフ(fail-safe)、被害が発生してもそれが拡大しないようにする多層防といった、暗然工学上の工夫が必要である。
なお、ヒューマン・エラーには、大きく二つのタイプがある。ひとつはミステイク(mistake;思い込みエラー)である。勘違い、誤解などのように誤った状況認識による者エラーである。
もうひとつはスリップ(slip;うっかりミス)である。やるべきことをしなかったり、余計なことをしてしまったり、やる順序を間違えたりといったエラーである。もっぱら注意管理がうまくなされないことによって起こるエラーで、人のおかすエラーの大部分を占める。

◆リスク・コミュニケーション
(risk communication)
リスクをどのように伝えるかは、通常のコミュニケーションとくらべると、はるかに難しいところがある。たとえば、
・リスク発生確率の見積もりそのものが難しいので、どれくらいの確率になったら伝えるかの判断が難しい。
・リスクだけを強調すれば、誰もがその受け入れを拒否したり、逆に恐怖感をいたずらに高めてしまう。
・リスクをどのようなメディアを介してどのように表現すると効果的かがわからない。
・受け手のリスク認知、リスク行動に個人差が大きい。
・情報公開、説明責任についての最近の厳しい世論とどのように折り合いをつけるか。
こうした困難を克服しながら、最適のリスク・コミュニケーションを考えていくことになる。

■情報源の信憑性(credibility of information)
同じ組織が何度も誤った情報を提供したり、情報の小出しや隠蔽をすると、その組織から発せられるすべての情報の信憑性は格段に低下してしまう。
一般に、情報源の信憑性は、送り手が真実を語り、さらに専門的な知識を充分に持っていることが認識されることで保証される。そして、ときには、組織にとって不利な情報をも提供する(両面提示する)ことが要求される。

◆パニック神話(panic myth)
災害発生の警報や予知が一般住民にパニックを引き起こすとする、もっぱらマスコミの世界での通説のこと。
しかし、パニックの発生はむしろ稀で、危険からの脱出可能性に関するきちんとした情報が提供されれば、整然とした対応ができることが、いくつかの事例で確認されている。
組織事故・違反
  • 同調と逸脱
(conformity and deviant )
集団の雰囲気や集団規範に従うことを当然とする圧力に従って振るまったり考えたりすることを同調行動、それに反するのが逸脱行動である。
問題は、集団の雰囲気や規範には正当性がないため、他の集団や世間一般からみると不当ではあっても、当該集団のメンバーにはそのことの認識がしにくいことである。そこに、組織ぐるみのモラルハザード(moral hazard)、事故、違反が発生してしまう素地がある。

●不信(distrust)の形成
組織や人に対する信頼の形成には膨大な時間と努力がかかるが、不信のほうはごく短期間で形成されてしまう怖さがある。
不信の形成と増幅にかかわるのは、事故や違反行為などのネガティブ事象の報道が主であるが、マスコミ対応のまずさも不信を増幅する。たとえば、不充分な情報公開、情報の小出し、改ざん記録の開示、言い逃れ、嘘の発覚など。
  • 準拠集団(reference group) 
われわれはいろいろな集団にいやおうなしに所属している。その中で、集団内の文化を体得し、集団の規準(多くは暗黙であるが)に同調して行動し、その集団の一員であると認められることが心理的な満足や安定につながるとき、その集団はその人にとっての準拠集団という。
準拠集団は、その人の社会的なアイデンティティをつくることにもなる。学童期には学級、社会人になると会社や組織が準拠集団になる。
  • 集団思考
(groupthink)
「3人よれば文殊の知恵」ともいうが、一方では、集団で考えたために結論の質が悪くなってしまうこともある。こちらのほうをあえて集団思考とよぶが、むしろ集団的浅慮というほうが、内容にふさわしい。
集団的浅慮が発生してしまうのは、集団の凝集性が高くて異論を言えるような雰囲気がないときや、上下関係や好き嫌いなどの人間的な要素が議論に入り込む属人風土(岡本浩一)の集団の場合である。

◆リスキーシフト(危険偏向)(risky-shift)
集団討議で物事を決めると、そこには独特の決定傾向がある。リスキーシフトもそのひとつで、1人のときよりも危険を含んだ、しかし、利得の多い(ハイリスク・ハイリターン)決定をしてしまう傾向である。
「赤信号、みんなで渡れば恐くない」である。決定の責任がメンバーに拡散して無責任状態になってしまうことが要因のひとつらしい。
◆悪魔の代弁者(devil's advocate)
組織の中で、あえて異論を唱え、それに反駁させることで、組織としての決定や行為の質を高めさせる役割を担う人のこと。
通常の組織では、上司がこの役割を引き受けるが、組織に染まっていて有効に機能しないことが多い。、
組織安全や違反を確保するための一つの方策として有効である。
なお、不正を外部に向かって告発する人(whistle•blower)とは違って、組織内での改善を志向している。

◆社会的手抜き(social loafing)
人と一緒に仕事をするとき、1人のときより手抜きをすることがある。他のメンバーに頼ってしまい、みずからは全体の仕事に貢献する必要がないと判断するフリーライダー(free rider)効果も、社会的手抜きの一つである。
集団のサイズが大きかったり、仕事の目標がメンバーの最もよくできる人に合わせられているときに起こりやすい。
◆傍観者効果(by—stander effect)
車中で暴漢に襲われたとき、誰も助けてくれないというようなことが起きるのはなぜか。誰かほかの人が助けるだろう(責任の分散)、自分だけめだちたくない(評価懸念)といったことにより援助行動が起こらないことがある。これを傍観者効果とよぶ。

  • 沈黙の螺旋階段
(spiral of silence) 
意見の対立する社会的な問題があったとき、一般に、多数意見のほうがおおっぴらに意見を公言しやすい。すると、それに影響されて多数派はますます増えて勢いづき、逆に少数派はますます減って沈黙しがちとなる。
最近のように、各種の世論調査が簡単にできて、メールによる意見表明ができるようになると、この傾向はますます著しくなる。
少数者が弱者の場合は、差別と直結してしまう怖さがある。



多重課題

2021-05-28 | 安全、安心、
同時に2つのことをする

  • 声にだして、1から順に数えながら、次の問題としてください
34+53=
66-39=
31+49=
61-45=
  • 声に出して、100から1ずつ引きながら、次の問題をしてください。
43+35=
88-49=
13+94=
71-53=

「解説」
両方とも多重課題と呼ばれるものです。2)の計算のほうが、かなりかなり難しかったはずです。注意の容量一杯を使わざるをえないからです。多重課題は日常生活の中ではごく普通に行われていますが、注意の容量を超えるとミスが発生します。