原爆は、いろいろな形で語り継がれとります。
絵本『おこりじぞう』も、そのうちのひとつじゃ。
【問題】
呉市に住む樽本叡さんが、被爆体験を織り込んだ紙芝居を自作し、絵本『おこりじぞう』を子どもたちに読み聞かせる活動を続けています。
この『おこりじぞう』の作者は、次のうち誰でしょうか?
1.こうの史代(ふみよ)
2.四国五郎(しこく ごろう)
3.沼田曜一(ぬまた よういち)
4.山口勇子(やまぐち ゆうこ)
【正解】
4.山口勇子
【解説】
呉市仁方本町の樽本叡さん(78)が、被爆体験を織り込んだ紙芝居を自作し、童話『おこりじぞう』を子どもたちに読み聞かせる活動を続けている。
25日は町内の自治会館で、自身の被爆体験とともに披露する。
紙芝居は避難する女性の顔など被爆当時の記憶を交え、四つ切りの画用紙16枚に墨を中心に描いて約5年前に完成させた。
樽本さんは旧制広陵中2年の時、学徒動員先の比治山橋近くで被爆。
広島県被団協(坪井直理事長)の理事として語り部活動をしてきた。
子どもに原爆の問題を伝えるには絵の方が分かりやすいと紙芝居を作り、市内の小学校や公民館などで年2~3回披露してきた。
(「被爆体験交え紙芝居披露」中国新聞 2010年4月23日)
絵本『おこりじぞう』とは、こんな話じゃ…。
むかし、日本が戦争をしていたころ、広島の町に 「わらい地蔵」 と呼ばれるお地蔵さまがおられた。
8月6日、広島に原爆が落とされた。
お地蔵さまは爆風に吹き飛ばされて地面に落ち、その前を、体じゅう焼けただれた人たちが逃げていった。
翌日、お地蔵さまのところへ、やけどを負った女の子がゆらゆらと近づいてきて、ばったり倒れた。
女の子の目には、お地蔵さまの笑った顔が、おかあさんに見えたようだ。
女の子は小さな声で 「みず…、みず…」 と、水をほしがる。
これを見た地蔵さまの顔は怒りの顔となり、見開いたその目からは涙があふれだし、その涙は女の子の口もとへ流れていった。
女の子は、お地蔵さまの涙を飲み終えると動かなくなった。
同時にお地蔵さまの頭はくずれ、あたり一面に散らばった。
↓童話『おこりじぞう』については、こちら↓
『絵本 おこりじぞう』金の星社
山口勇子は1916(大正5)年、広島市生まれ。広島高等女学校卒。
両親と主人の両親を原爆で失い、自らも被爆。
主な作品に、歌集『小さき旗』、『少女期』『貝の鈴』『おーい、まっしろぶね』『かあさんと呼べた日』などがある。
2000(平成12)年没。
10年ぐらい前、子どもをつれて近所の公民館に、『おこりじぞう』の映画を観にいったことがある。
その映画の中では、おこりじぞうは、平和公園から元安川(もとやすがわ)を挟んで西側の大手町にあるような描写があったはずじゃが、Webで調べてみると、見当たらん。
わかったのは、瀬戸内海を越えた四国は松山の龍仙院にあるということじゃ。
広島で原爆の被害にあい、焼け跡で粗末になっていたお地蔵さんを、住職の義母(西原ミサオ)が全部で7体、自宅(広島市千田町)へ持ち帰り、玄関先にまつっていました。
「おこり地蔵」はその中の一体です。
義母は「首なしではかわいそうじゃ」と言って、新しく頭をつけてもらいましたが、それが怒っているように見えたところから「おこり地蔵」と呼ぶようになりました。
昭和45年、当院へ身を寄せた際、他のお地蔵さんと一緒におこり地蔵を運び安置しました。
(説明板より)
(「おこりじぞう(松山市・龍仙院)」広島写真集)
選択肢1のこうの史代は1968(昭和43)年、広島市出身のマンガ家。
主な作品に『夕凪の街 桜の国』、『この世界の片隅に』などがある。
↓こうの史代についての過去の記事は、こちら↓
『夕凪の街・桜の国』の原作者・こうの史代さんのトークショーが開かれるのはどこ?
選択肢2の四国五郎は1924(大正13)年、広島市出身の画家・挿絵画家・絵本作家・詩人。
絵本『おこりじぞう』では、挿絵を担当。
太平洋戦争時は出征しており、3年間のシベリア抑留(よくりゅう)を経て1948(昭和23)年に帰国。
主な作品に『母子像』『広島百橋』『ひろしまの子-愛のうた-』などがある。
また、戦前・戦後を通じて、広島の風景を描き続けている。
選択肢3の沼田曜一は1924(大正13)年、岡山県出身の俳優・民話の語り部。
絵本『おこりじぞう』では、語り文を担当。
主な著書に『あずきまんまの歌』『愛と哀しみの民話劇場』がある。
2006(平成18)年没。
↓原爆についての過去の記事は、こちら↓
原爆ドームは、元は何という名前だった?
「広島に新型爆弾(原爆)が投下された」との第一報を発信したのはどこ?
被爆直後の広島に医薬品を届けたスイス人医師は誰?
漫画化されることが決まった、原民喜の代表作は?
今日は、おこりじぞうについて勉強をさせてもらいました。
今日もひとつ勉強になったでがんす。
ほいじゃあ、またの。