『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  720

2016-02-20 05:08:38 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『おう、お前ら、よく聞いてくれ!議題の第一番は、新艇の件だ。この事業に関する統領の施業方針であり、価格決定意向および価格決定作業機序である。第二番目は、我々の現有資産の総括である。パン事業を行い、魚の事業を始めて、それなりの月日を得てきている、その間に、蓄積した集散所の木札が膨大な量になっている。これをドラクマ銀貨に交換する。ガリダ方への決済の対処についても考えねばならない。これらについて討議をしようと考えている。次に、これら以外のお前らが提起する議題について討議をしようと考えている。以上だ』
 パリヌルスが口を開く。
 『判りました。第三番目には、集散所の信頼度について考えたいことです。我々は、今、集散所に全幅の信頼を寄せて業務を進めています。それでいいのかということです。オロンテスの言うのでは、パン1個の販売価格を決めた時のことを思い起こしての懸念です。その状況を解析して、物の価値判断を我らなりに把握するための市場の調査をやりたいことです。その調査結果をもって多角的に集散所の信頼度を理解してことを処していかねばならない、そのように考えています』
 『そうか解った。パンの価格決定の成り行きを解析、推考して、集散所の信頼度を考えようということか。パンの価格が正当であるか、ないかの判断のための調査をやるということか。解った。それを三番目の議題とする。それでいいな』
 会議の議題が決定した。アヱネアスが姿を見せる。一同が立ちあがる。
 『おう、待たせたな。諸君、おはよう!』と声をかける、一同が挨拶を返す、アヱネアスは所定の席に座した。アヱネアスの右手の近い箇所にイリオネスが座をとり、向かい合う形で三人が腰を下ろした。
 イリオネスが口を開く。
 『おう、諸君!日々、ご苦労。これより会議を開く、議題は、先ほど話し合った通りだ』
 オロンテスが木板に書き留めていた。
 イリオネスがその木板を引き寄せ、一読してアヱネアスに渡す、アヱネアスが目を通す、言葉を発する。
 『おう、これが会議の議題、順序か』
 一同がアヱネアスに注目している、アヱネアスがイリオネスと目を合わせる。彼は、継ぐべき言葉を述べる。
 『軍団長、解った』
 パリヌルスら三人と目を合わせる、口を開く。
 『昨日のスダヌスとの話し合いは、得るところが多々あった。オキテス、あのような機会を作ってくれたことに礼を言うぞ。交わした会談の内容に無駄な話がない、雑談もない、充実した話し合いであった。得るところも多く、この俺が聞きたいと考えていたことも、あの場において聞くことができた。何としても必要な機会であり、有意義な会談であった』


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