『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY          第4章  船出  14

2011-11-24 08:24:23 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『心得ました』
 ギアスは低い声で答え、二人は目配せでうなづきあった。
 程なく、彼らはトリタスの浜小屋の戸口に立った。浜小屋の戸は開け放たれたままである。
 『お~いっ!トリタス。トリタスはいるか。俺だ、イリオネスだ』
 イリオネスは大声で呼びかけた。返事があらぬ方向から来た。遠くからの声が背中でした。
 『イリオネスどの、こっち、こっち、こちらですよ』
 彼は、波打ち際で12~13人の浜衆と舟から魚のかかった網を下ろしていた。
 『おっ!トリタス。お前、忙しそうにしているな。今日はどうだ、大漁か?』
 『いえ、いえ、そんなではありませんが、今日の漁はまずまずです。今の舟は殿りです。直ぐまいります、少々お待ちを、、、』
 彼は波打ち際で手を洗い、浜小屋に向かって歩を運んでいた。アエネアスら三人は彼のほうを、じい~っと見つめていた。
 『あっ、統領もおいでですか。三人さんは馬で、、、』
 トリタスは、三人の姿を認めて、言葉を改めた。
 『統領、イリオネスどの、こちらはギアスさんかな。お久しぶりです。お変わりなくお過ごしでしたか。私はこの通り元気そのものです。そこでですが、今日はなにかご用でも、、。お急ぎでないようでしたら、少々、昼めしどきには早いですが、今朝の漁で獲れた魚でお昼でもと思いますが、、、』


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