『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY     第6章 クレタ  60

2013-03-25 13:12:03 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 オロンテスが二人を連れてイリオネスの許にやってきた。
 『おはようございます、軍団長。私たち出かけます。昼めしの事ですが、ギアスに渡しておきました』
 『おう、オロンテス、昨夕はご苦労であった。お前と俺とは事情の分かっている間柄だ、今後とも宜しく頼むぞ。セレストス、お前は帯剣していけ、トラブルことはないと思うが、従卒を二人ぐらい連れた行け。用心するにこしたことはない。いつどこでどんな事情で敵に遭遇するかもしれたものではない。オロンテス、クリテスの二人は、剣を使わないからな。三人とも気を付けて言ってきてくれ。俺たちの帰りは陽の沈むころだ。留守番役は、カイクス、リュウクス、アンテウスの三人に言いつけてある』
 『判りました。軍団長も気を付けて行って来てください』
 『おう、判った』
 主だった者たちは、それぞれの要務を遂行するために浜を出払った。
 クレタの気候は温暖である。エノスに比べて雨模様の日も少ないように思われる。彼らがクレタに着いてからの天候に関する実感であった。草っ原の草丈がエノスに比べて低いように思われた。樹木の繁茂する森は、ナラ科、カシ科の樹木が多いように見受けられた。この地について、まだ四日目である、季節にっよって吹く風の様子については不明であった。それが彼らの単純に感じたクレタの自然であった。
 彼ら自身、この新天地に馴染んでいけるかどうかについては思いのほか深刻に思案した。気候的条件については、なじんでいけそうである。あとは農耕生産物の収穫の結果を問いたいところであった。


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