『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第8章  クレタ離脱  14

2019-05-02 07:49:59 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 口をつぐむアエネアス、イリオネスに何を伝えようかと考えながら口をつぐんでいる。
 イリオネスが訝る、アエネアスがつぐんでいる口を開く。
 『お~、悪い悪い!俺が考えていたことだが、まだ、結論に到っていない、そういうことだ。いずれ二人での検討の俎上にのせる。とても重要な事案である、時間的にも結論を急ぐ問題なのだ。夕めしの後にでもここでやりたい』
 『解りました。やりましょう』
 『ところで、お前のやっている計算の見通しは、どうだ?』
 『あと、一歩のところまで来ています。あと一刻もあれば見通しについて話せます』
 『おう、いいぞ!待つ待つ!』
 二人は、話し終えて、昼食のパンをぶどう酒で胃ブクロにおさめた。
 アエネアスは瞑想を続ける。
 イリオネスが収支のドンブリ勘定をする、彼の思考は、ドンブリ計算である、現代の計算思考から考えるとあまりにも稚拙ではあるが、利益の蓄積はできると答えをはじき出している。
 考えてみれば、支出の大半が小麦の仕入れに支払う支出金である。
 テカリオンがいつも気を聞かせて、建造した船舶とバーター形態の取引をしてくれている。そのようなわけで財務を脅かすほどの支出のないことである。大いに助かっていたのである。
 彼は、あらゆる状況を考慮して結論を出す。
 イリオネスが瞑想を続けているアエネアスに声をかける。
 『統領、結論がでました』
 『おう、どのように出た?』
 『大丈夫です。よっぽど馬鹿な支出がない限り、財務状況を脅かすことがないという判断ができます。ただ気にかかるのは、そのように処理できる才幹のある者を残せるか否かにかかります』
 『おう、そうか。人事の問題になるか。それは難儀な問題だ。だがクリアできる。安心しろ!その一言だ!俺の想いが、事態をそのように組み立てる』
 『承継問題についての統領の考えを聞かせていただきたい。そのように考えています』
 『おう、それか、解った。今日、夕めしを終えたらここで話そう。今、それが俺の瞑想の世界を飛び回っている。お前との接近遭遇だな』
 『了解しました。会所のほうへ行くまでに少々時間があります』
 『そうだな、検討の狙いをあらゆる角度からやったな。抜けがないか、チエックしてみてくれ』
 『解りました。営業に関しての問題があります。これについての課題を考えます』
 イリオネスの思考が営業問題に移行する。
 『いま、オキテスがやっている営業形態を今後も続行できるか否かです』
 『そうだな、それについてはお前が彼に同行して課題を見つけ、解決方をはかってくれ』
 『承知しました』
 『事業体を運営していくにはどうするか。いま、やっている営業のサービスをどのようなカタチで続行するかを考えれば答えが出ると考えている。それを相手方と話し合う。それで事足りると考えている』
 『解りました』
 イリオネスは、アエネアスから難題を突き付けられた。