『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1494

2019-03-14 08:32:33 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 アエネアスは、宿舎へ向かう坂道を登って行く、両の足に力を込めて登って行く、遠望へと歩を進める足取りは、木板をわきに抱えて大地を踏みしめて進んでいる。
 宿舎の前庭に着く、雑ではあるが頑丈に細工したテーブルの上に木板をおいて腰をおちつける、目を半眼に閉じて静かに思念する。
 カオスの中に行く手を阻む壁を見る、壁が壁なりに自信を持って立ちはだかっている、アエネアスはその壁と対峙する。
 その壁と思念の対話を交わす。
 『おい!アエネアス!俺を倒せるか?俺はお前を徹底して阻む!』
 『俺は、お前を踏み破る!進まねばならない!俺を阻むか、身を引くかだ』
 対話が終わる、彼は、立ち位置を決める、脚下を確かめる。
 アエネアスは、自分の持てる力、その力量を考えの及ぶ限り、リストアップして分析に着手する。
 現代で言う、SWOT分析である。
 建国の地に到達する途上のおいて起こるであろうことを想像する、遭遇するあらゆる事態を想定して対応を思考する。
 倒すべき敵に対しての戦術、戦略、作戦構築力、そして、交戦戦闘力ついても脳漿を絞って分析をして己の持てる力を計る。
 また、航海において計り知れない自然の持てる力に抗する対応力についても分析して、己を知ろうと努める。
 事態に直面しての認知、判断、的確対処力、決断力に加えて、先見力についても分析して、己を知り、民族を統括して得る『一』の力を持ってクリアできるか否かを検討したのである。
 己のみの『一』ではクリアできない事態も総力の『一』でクリアする、その統率力もできるだけ分析する、持てるリカバリー力のあるなしを評価する。
 リカバリー力が欠如していたらと考えたとき背筋が凍るのを感じる、それは決してあってはならない事態である。
 そこに存在するのは、死であり、滅であることを認識する。
 我らである、我らが望みを達成するには、この死滅の事態を避けなければならない、それが諸事遂行のかなめである、そのことについて考えを巡らせる。
 アエネアスは、『あきらめない』を志向することが絶対であると断を下す。
 それはいかなる事態に直面してでも『あきらめない』ことでクリアできる。言うは易いが実行の難易度の高い志である。
 彼は、考える、天命は残酷な質問をする、答えを考える、アエネアスは『死滅』と『あきらめない』を天秤にかけて考える、思考の中に『あきらめない』が残る。
 思考、分析、認知、判断、的確決断、実行を想定している、アエネアスに見えてくる、次にすることが見えてくる、先が見えてくる、恐怖が消えさっていく。
 分析を終える、己を知る、総力の『一』も知る、仮想する事態も想像できる、『あきらめない』でスタンスする、我らが、個の力を結集した一群がそこに立っている、いかなる事態にも屈しない一群がそこにいる。
 アエネアスは、いかなる事態にも対処できると謙虚に自覚した。