『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1066

2017-07-03 07:02:45 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 浜に戻ったパリヌルスは、オキテスに明日の会議開催を告げ、議題と案件を伝えて、オロンテスのキドニアからの帰りを待った。
 オロンテスも多用であるらしい、キドニアからの帰りが遅い。彼が返ってきたのは日没の少し前であった。
 『おう、オロンテス、今日は遅かったな。伝えることがある。明日、朝から会議をやる。明日のキドニア行きは、お前に代わる者を派遣して会議に出席を頼む。議題と案件はこの通りだ』
 『解った。会議の場所は?』
 『統領の宿舎の前庭でやる。会議開始は朝めしを終えたらすぐにやるということになっている』
 『了解した』
 浜は終業の時を過ぎて静かに暮れていった。
 
 クレタ島の夏、7月は、抜けるような青空、晴れの日がこれでもか、これでもかと続く、この7月のの降水量が1ミリという少なさである。この好天で新艇納入航海が順調に終えることができたのである。
 朝の多忙の時間が過ぎて、会議開催の時間がくる、五人が会議の場に顔をそろえる。
 一同が席にに就く、起ちあがる、軍団長が一同と目を合わせる、口を開く。
 『おう。諸君!おはよう!今日もいい朝である』
 『おはようございます』
 朝の挨拶を唱和する、挨拶を終えて彼らは席に腰を下ろす。
 久しいといえば久しい会議開催である、一同にしびれるような緊張感が漂っている。その幕を破ってイリオネスの声が耳に達した。
 『十日余りもこのように会同していない、このようにして顔を合わせるのが久しいといった気分である』
 彼は一同を見回す。
 『諸君!日々の働きご苦労!オキテス隊長、一日おいてだが、新艇の納入航海、大変ご苦労であった。言葉でのねぎらいだ、受け取ってくれ。今日はこのように会同して会議を開催する、新艇の販売業務が完了した。担当および関係者一同に大変な心労をさせた。心からその労をねぎらう。この件について役務担当からの報告を受け、後事について話し合っておきたい。また、新艇納入航海の途上においての外敵との海上で展開した戦いのこともある。今日の会議の進行は、パリヌルスが担当する。パリヌルス、議題、案件はオキテス、オロンテス両隊長に伝えてあるな』
 『はい、伝えてあります』
 『では、始めてくれ』
 『解りました』
 パリヌルスは、オキテスと目を合わせる、彼の疲れがとれている、彼は声をかけた。