お寺さんぽ Ver.03

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庚申信仰の三猿 (三猿) <後編>

2007年11月24日 | 仏像
のんびり気軽にさんぽがてら。
本日は前回記事に引き続いて猿のお話。
「庚申信仰(こうしんしんこう)」の三猿です。
単独でおられるの以外に、石碑とか、石仏と一緒にいるパターンがあるんですよ。
石碑みたいなのに彫られたのは「庚申塔(こうしんとう)」、石仏で存在するのは「庚申信仰」と関係しているようなのです。

さて、ここでショッキングな話(笑)

人の体内には「三尸(さんし)」という三匹の虫が住んでいるのです!

虫ですよ蟲!うっわー気持ち悪い!!
その「三尸」ってー虫が、宿主の悪事や罪を常に監視しており、庚申(こうしん)の晩に天へ上ってその罪過を報告。
結果、宿主は早死にし、逆に報告をした「三尸」は祀られるようになる、ということ。

そのため、庚申の晩には身を慎んで夜更かしをし、「三尸」を天に上らせないようにしたんだとか。
(※日本で本来の意味が薄れ、どんちゃん騒いで眠らないようにしたんだって)
そんなんが平安時代頃の日本にも伝来し、当初は天皇・貴族だけのものだったのが鎌倉時代の将軍家、室町時代と続く中、江戸時代あたりでは庶民にも広まった様子。
そんなんが仏教と結びつき、「青面金剛(しょうめんこんごう)」、観音、阿弥陀如来などがそれを抑える神様として崇拝対象となりました。
また、神道とも結びつき、庚申の「申」、十二支でこの漢字が与えられる「さる」にちなみ、「猿田彦神(さるたひこのかみ)」を本尊とすることとしました。
まぁ、だいたいそんな感じよ。細かい話を省略すると。

でね、”何回か徹夜して良かったねー”という記念に造られたのが、「庚申塔」という石碑。
そこに三猿が彫られているのは、神道の「猿」がそのまま「見ざる、言わざる、聞かざる」って、先の伝令係「三尸」を呪縛するような意味を重ねて彫られた様子なのでした。

また、仏教での庚申本尊とされた「青面金剛」は日本独自のもので、各地には石仏として多く見られます。
これは「せいめん」とも読み、正式には「青色大金剛薬叉神(しょうしきだい・こんごうやしゃ・じん)」という、”人の精気を吸い取り、血肉を食して奇病を流行させる”というトンデモな神様でした。
それが「大元帥明王」に降伏して善神となると、逆にそれらを消滅させる神様になりました。
だいたい一面三眼六臂(四臂)で、逆立つ髪に憤怒相。
髑髏の装飾があって、蛇を手足に巻くという、明王的なお姿をしておられます。

庚申本尊として石仏に多く、おそらく神道と混合した結果、写真のように三猿と共に祀られることとなったようなのでした。
めでたし・めでたし。


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 本格ミステリーだそうです。


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