日比谷同友会 こぶし会

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解散会報告

2022年01月21日 | 例会報告

こぶし会解散のご報告     こぶし会 会長 桑原守二 幹事 加藤隆 稲村隆弘

 こぶし会は宮川岸雄氏が創設して以来、会長は松橋達良氏、小口文一氏、山根信義氏(いずれも故人)に交代、その後昨年12月まで桑原がお引き受けしてきた。しかしながら日比谷同友会会員の高齢化と併せこぶし会会員も高齢化し、亡くなられたり、あるいは退会者が多く、これに対して入会希望者が少ないため、会員数が減少、会長および幹事の高齢化に直面し、運営が困難となってきた。そこで会長、幹事が会員有志と相談、12月13日の会合を最後として解散するも止むなしとの結論となった。

コロナ蔓延により会場の確保が困難な状況にあって、やむなくオンラインの会合を1年有余続けてきており、今回は約2年ぶりの会合で、しかも最終だということから、会員にとって故郷ともいえる日比谷電電ビルを望むことのできる日比谷公園内松本楼において、昼食をとりながらの開催を企画した。しかし、コロナの第5波が収束したとはいえ依然としてマスク装着が必要な状況にあり、また引きこもり生活が長く続いたため体調を崩した会員も多く居られ、会員総数15名のうち出席者は7名に留まった。

解散会では、話題提供を兼ねて、まず桑原からICTに関連する2項目について説明を行った。以下にその概要を記述する。

(1)テスラとスペースXについて

 天才起業家イーロン・マスクが創設し米国シリコンバレーに拠点を置く自動車メーカー、テスラの時価総額が本年10月25日に初めて1兆ドルを突破した。時価総額1兆ドルは、米企業ではアップル、マイクロソフト、アルファベット(グーグルの親会社)、アマゾンに次ぐ5番手である。テスラの21年通年の販売目標は75万台超で、自動車大手の年間販売の10分の1以下だが、高い成長力への期待から、今ではトヨタ(2000憶ドル)の時価総額の5倍にまでなったのである。

 テスラが21年10月26日に発表した21年7~9月期決算は売上高が前年同期比57%増の138億ドル、純利益が5倍の16億ドルとなり、そろって過去最高となった。米中の2つの完成車工場に加え、21年中にはドイツと米テキサス州で建設中のEV工場が稼働を予定している。

 同じくマスクが創設したスペースXも順調に事業を推進している。20年5月にはNASAの宇宙飛行士2人を乗せた「クルードラゴン」を国際宇宙ステーション(ISS)に向けて打ち上げることに成功した。民間企業による有人宇宙飛行は史上初であり、また米国内からの有人宇宙船打ち上げは9年ぶりである。

21年4月にはISSに向けた2回目の有人宇宙船「クルードラゴン2」を打ち上げた。この宇宙船にはNASAから2名、ESA(欧州宇宙機関)からの1名とともにJAXAの宇宙飛行士1名(星出氏)の4名が搭乗した。星出氏は半年間のISS滞在任務を終え、再び「クルードラゴン2」により11月8日、フロリダ沖に無事、着水した。

スペースXは今回の打ち上げを皮切りに、今後数年間に複数回の民間宇宙飛行を計画している。さらにスペースXは多数の小型衛星を低軌道に打ち上げ、地上通信網に依存しない衛星通信網を構築するプロジェクト、「スターリンク」を進めている。将来的には1万基以上の衛星を打ち上げる計画である。

同様な計画は中国も進めている。また11月8日の報道によれば、わが国でもNICT、通信事業者、メーカーが共同して、小型衛星による次世代通信網の実証拠点を来年度中に整備する計画だという。衛星通信ネットワークの競争が始まりそうだ。

(2)デジタル通貨について

 ビットコインの価格が10月20日に日本円で760万円(6万6000ドル)となり最高値を更新した。本文を記述している11月中でも、それに近い価格で取引されているようだ。当面の高値は7万ドルが見込まれるとの評論もみかける。昨年末の価格と比較すると、今日の価格は約10倍に高騰しているから、株価が値上がりする程度とは桁が違う。

今から10年前の2011年、米TIME誌が初めてビットコインの特集を行った時期に、筆者もビットコインなるものに関心を持った。その頃は1BTCが約10ドルであったので、試しに買ってみようかと思ったが、BTC取引所がハッキング被害を受けるなどの事件があって手を出すのを止めたことがある。

今から5年前の2016年、1BTCが450ドルとなり、11年からの5年間に100倍になった。その頃、某紙にビットコインの論評を載せた。今年は16年から5年たつ。そして6万5000ドルとなり、100倍に上昇している。半導体の集積度に関するムーアの法則は3年で4倍、10年間で100倍である。これよりも上昇率が一桁大きい。

最近は世界のいろいろな国で自国通貨と連動するデジタル通貨を発行する動きがある。日本も大手銀行やNTTなど約70社の企業連合が22年後半に実用化すると発表した。さらに明確な形で進めているのが中国のデジタル通貨、デジタル人民元である。中国人民銀行は2014年にデジタル通貨の調査を開始し、17年にはデジタル通貨研究所を設立した。20年に国内4都市で実証実験を行うと発表、深圳市では同年10月、5万人に1000万元(約1.6憶円)を配布、実証実験を行った。4都市合計では400万回の個別取引において20億元(約3億ドル)のデジタル通貨が使用されたという。

中国は軍事面、科学技術面に加え、経済面でもますますその存在感を高めている。安い人件費を武器に輸出を伸ばす一方、段階的な関税引き下げで輸入も増やした。国連貿易開発会議によると、20年の貿易総額は2001年の9倍に膨らみ、2.8倍だった世界貿易の拡大ペースをはるかに上回った。当然ながら世界貿易に占める中国の比率も増大、13年には米国を追い抜き、20年には13%に達した。

今や中国は人民元の流通に必死である。一帯一路に関わる国々に財政的な支援を行い、道路、港湾設備などのインフラ整備を援助しているが、こうした動きはすべて人民元の流通を増やすためである。将来的にはドルに匹敵する、あるいはドルに代わって世界の基軸通貨として存在させたいという野望があるのに違いない。その手段として利用されるのがデジタル人民元である。その先に恐ろしいことが起きないことを願っている。

以上2件の説明の後で、説明に対する質疑のほか、電電現役時代の思い出などについて会員から活発な発言があった。その中から杉浦右蔵氏と内山鈴夫氏の入会時の思い出話を紹介させて頂く。

杉浦:初代会長の宮川岸雄さんは、昭和35年1月に郵政省電波監理局長から電電公社保全局長に戻られました。私は関東電気通信局から2月保全局電信機械課回線係に参りました。電子計算機と端末機を結ぶ伝送速度50ボーの市内専用線が不足し、申込に応じられなかったことが忘れられない思い出です。新聞協会から宮川局長に直接苦情がきました。宮川さんは「新聞協会と仲良くやれ」と言われるので、大変苦労をしました。

「こぶし会」には創立当初から入りたかったのですが、私の履歴では入れて貰えませんでした。80歳になって加藤幹事から勧められて入会できました。

内山:こぶし会設立の重要メンバーだった松橋達郎様から、会の発足経緯、目的などを伺いました。当時松橋様は公社の理事、保全局長をされており、日本の海外協力にも先駆者として活躍されていました、こぶし会の意義につきましては、全国に咲く「こぶしの花」のように、公社やNTTの意義や発展動向を全国津々浦に伝える役割を果たしたと考えます。1OBとして、お世話になった公社そしてNTTに感謝し、機会があればこの種の活動にご協力させていただければ幸いです。

解散会の終了時点で、こぶし会の収支に約6万円の残金があった。これの使途について出席者一同で協議した結果、山根元会長や桑原が役員を務めたことがあり、こぶし会の会員の多くがメンバーとして参加しているボランティア団体「NPO法人・BHNテレコム支援協議会」に寄付することで全員の賛同がえられた。

以上、こぶし会の解散についての報告である。


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