日比谷同友会 こぶし会

日比谷同友会 サークル活動

第372回こぶし会例会報告(平成30年5月14日)

2018年05月22日 | 例会報告

話題1.明治21年前後の電気技術ー電気学会創設の頃ー     齋藤雄一

 電気学会の創設は1888年(明治21年)6月で、この時発行された電気学会雑誌の創刊号に・初代学会会長に推挙された榎本武揚と学会設立の中心人物で初代学会幹事を務めた志田林三郎の演説が記載されている。                                      モールス式電信方式が我が国にもたらされた1854年は、モールスの発明(1836年)から18年後で、モールス式電信は確立したシステムとして急速に建設が進み、明治21年頃にはほぼ全国的な電報サービス網が出来上がっていた。電話については、その実用化が始まったばかりで、我が国の電話交換サービスが東京と横浜で開始されたのは1890年(明治3年)である。このあたりまで電気技術は、いわゆる「弱電」技術が主体である。一方、電気の力を照明あるいは動力源として利用する強電の技術は直流定電圧による発送電が本格的に始まった頃で、交流高電圧の発送電による電力の本格的発展がようやく始まった時期に当たる。                                                このような時点で創設された電気学会における志田林三郎幹事の演説の中で紹介されている電気技術の現状はその大半が電信技術に関するもので、当時実用化され、あるいは開発中であった各種電信方式について、詳しく紹介している。電話については、ベルが発明した当時は短距離でしか通話できなかったが、エジソン発明の炭素粒送話機等により通話距離が大きくなり、実用化の可能性が強くなったことが述べられている。一方、電気とエネルギー伝送に利用するいわゆる強電の技術に関しては、これが将来エネルギー伝送手段として有望であろうといった意見が述べられている。                                         続いて、電気技術の将来についてさまざまな分野での応用の可能性について述べており、通信技術に関しては電信に限らず電話の発展、さらに映像伝送の可能性など広い分野に関して意見を述べており、その内容は将来を見通した卓見と評価されている。                一方で、無線通信に関しては、この年1888年はヘルツが電磁波の実在を証明した年であるが、志田氏の演説の中には電磁波に関する言及はなく、電磁波とは異なる方法で電線を直接利用しない通信方式の可能性について述べているあたりには、明治20年代という時代における電気技術の限界が窺われ、興味深いところである。 

話題b2. 経済を読み解くための宗教史(その1)       島田博文

 今はグローバルの時代です。グローバルの時代には、語学もさることながら、その国の歴史・文化・自然さらには宗教を知ることが大事だと言われています。我々日本人に一番なじみがないのが宗教ではないでしょうか。宗教はその経典を読んでも難しくなかなか理解できません。そんな時「経済を読み解くための宗教史」という本に出会ったのです。人間の”自然によって生かされている”という素朴な摂理への意識が宗教を生む。一方、人間は他者を犠牲にしてでも自己の生存を守るという暴力的な面も持っている。経済活動はお互いに奪うのではなく譲り合うという協調関係を作ることだ。この協調関係の構築にはお互いの信頼関係が必要だ。法律も警察官もいない古代においては、宗教がその役割を果たしていた。      宗教には人間の暴力的な欲望を抑制する”欲望抑止機能”と「神の前の平等」という”利害調整機能”がある。経済は、信頼感を醸成する”欲望抑止機能”により宗教的調和が実現し発展する。経済が発展すると格差が生まれる。その格差を是正するための”利害調整機能”により、さらなる宗教的調和がもtらされる。この宗教と経済のスパイラスによって社会全体が発展していく。                                               ここでこの本から刺激を受け、私の独断と偏見で各宗教の生い立ちを大胆に比較してみた。ユダヤ教は、迫害者から集団で脱走した。キリスト教は、迫害者から逃げずに、仲間を増やした。イスラム教は、迫害者と戦って勝利した。儒教は、共同体の不文のルールを明文化したもので、神からの教えではない。仏教は、身分制度に反発し神を否定し、ひたすら人間の生き方を説いた現代版の「自己啓発」のようなもの。ヒンドウー教は、征服者から押し付けた身分制度。                                                  このような生い立ちから、それぞれの宗教と世俗権力者との関わり方を見ていくと、何故同じ神を頂く一神教がこんなにに違うのか。何故西ヨーロッパは近代化が出来たのか。何故中東や中国は近代化が遅れたのか等の謎がおぼろげながら理解でき、これからグローバル社会がどのような方向に向かうのかに思いを馳せることができた。そこで「政治と宗教の話は仲間とするな」という掟を破ってこの本を紹介させていただいた次第す。             なお、参考文献は次のとおりです。[経済を読み解くための宗教史」宇山卓栄著 (株)KADOKAWA出版                       

 

 

 

 

 

       


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