老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

797;ただいま〔3〕

2018-07-05 03:49:16 | 老いの光影 第2章
さくらデイサービスの外観(南向き玄関は階段があるも、足の不自由な老人にとり階段昇降訓練になる。左側の壁に手すりはある)

 ただいま〔3〕

文婆さんが
さくらデイサービスセンターを
初回利用された
翌日の朝
文婆さんの家に電話を入れ
訪問した

文婆さんの旦那は
まめでお茶をだしてくれた
名は古井秋吉
齢85歳
ストーマをつけながらも頑張り
妻の通院介助と買い物には
軽乗用車がないと困る、と話す
昨年運転免許証の更新ができ
「ホッとした。これがないと困る」

文婆さんはベッドで寝ていた
寝室は隣の部屋にあり
秋吉爺さんは起こしに行った
文婆さんは青と白模様のパジャマ姿で起きてきた
なかなか起きない婆さんが起きて籐椅子に座った
斜め横の掘り炬燵に私が座り
私の向かいには秋吉爺さん

「どうする?」
「今行っているデイサービスと昨日行ったさくらデイサービスと、どっちがいい?」
と秋吉爺さんは文婆さんに大きな声で話しかける
「自分で決めな」と畳みかけ話す。
私は「どっちがいい」とも話さずに彼女の言葉(気持ち)を待った
押しつけていけない
家で何にも喋らないと思われていた彼女
ポツリと話す
「昨日行ったデイサービスに行きたい」
秋吉爺さんは
「週何回行けばいいのか」と私に尋ねる
 「いま週3回デイサービスを利用されているから、さくらデイサービスは1回でもいいよ」
「1回では中途半端だから、どうせ新しいところに変わるのなら3回の方がいい」
夫は妻に「どうする、3回ともさくらデイサービスにするか、行くのはお前なんだから自分で決めろ」
文婆さんは「さくらデイサービスにする」と話す
妻が決めた方に決めるということで
7月から火曜、木曜、土曜の週3回、さくらデイサービスを利用することになった

7月3日火曜日から本格的な利用開始日
7月2日は文婆さんの85歳の誕生日

その日に文婆さんと家族(夫)と
介護用ベッドを貸与している事業所の福祉用具専門相談員と
いままで利用されていたデイサービスの生活相談員と
さくらデイサービスの生活相談員と
ケアマネジャーが
古井さん宅に集まりサービス提供担当者会議を開催
デイサービスの事業所が変わったことから
会議を開催しなければならない

たった1回の初回利用で
文婆さんは
新しいデイサービスを選んだ
これから文婆さんが
どう変化していくのか
私にとり楽しみがひとつ増えた