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北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

アメリカ海軍 キングストン型高速哨戒艇(KINGSTON CLASS)

2008-09-16 22:57:47 | 在日米軍

■基地警備用の小型哨戒艇

 アメリカ海軍横須賀施設を対岸に、ヴェルニー公園を散策していると、イージス巡洋艦やイージス駆逐艦、潜水艦の威容に目を取られがちであるが、しばらくすると、加速性に優れた小型艇に目が移ることとなろう。

Img_3403  キングストン級高速哨戒艇は、アメリカ海軍が2001年から基地警備用に就役を開始させた小型哨戒艇である。米海軍では、キングストン型が就役する以前まで、基地警備にヴェトナム戦争期に大量建造されたPBR系統の河川用哨戒艇や内水用PB哨戒艇などを充ててきたが、自爆ボートなどによる停泊艦船への不意急襲に対応するには、加速力や速力、機動性などで満足とは言い難い部分があった。

Img_3401  キングストン型高速哨戒艇は、満載排水量5㌧、船体と上部構造物は軽合金製である。全長9.8㍍で全幅2.7㍍。喫水は0.6㍍。乗員五名で、主機はディーゼルエンジン二基、ウォータージェット二基で、出力710馬力。これにより速力は30ノット以上に達する。武装は、取り外し可能な7.62㍉機銃を最大3丁搭載でき、操舵室の前に一箇所、操舵室後ろの左右に各一箇所、銃架を設置可能だ。

Img_2507 もともとは、ウイラードマリーン社製の市販ボートに武装を施したもので、操舵室前の形状をみると、横須賀基地に配備されているものは、初期型のものであることがわかる。本型は、高い加速性を有し、自爆ボートを機銃により無力化するとともに、発動機を取り付けるトランサム部分にダイビングプラットホームを取り付け、水中破壊工作に対処する特殊部隊員の運搬も可能だ。

Img_6837  横須賀基地に入港するタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦チャンセラーズヴィル。搭載するイージスシステムは、洋上において鉄壁の防空能力を発揮するが、港湾におけるテロ攻撃やコマンドー部隊の襲撃に対しては、搭載する機関銃と小銃で防御するのが限界である。いわば艦艇基地は艦船の脆弱性が最も高まる場所ともいえる。

Img_2922  さて、この種の哨戒艇は、現在海上自衛隊にも最も必要な艦船の一つではないかと考える。いちおう、地方隊には警備隊が置かれており、ゲリラコマンドー対処により基地機能を維持する任務を負っているが、基地警備用に導入されていた19号型哨戒艇も現在、全て除籍されている。舞鶴、佐世保、大湊基地にはミサイル艇が配備されているが、基地の限られた海域では、まさか76㍉砲を使うわけにも行かず、大型過ぎるといえる。

Img_1045  また、交通船などを哨戒艇に使うには、速力や加速力などの面で能力が不足している。従って、基地警備用には、キングストン級のような小型哨戒艇が必要になるわけだ。特に、この種の装備が配置されており、定期的に巡回しているというだけでも、ゲリラコマンドー対策としては、大きな抑止力となるだろう。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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