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坂の上の雲、日本騎兵の父秋山好古大将の曾孫は今冬戦車中隊長に着任

2010-12-28 21:56:03 | 防衛・安全保障

◆騎兵の父、その曾孫は第72戦車連隊中隊長!

 心温まるニュースです。日本騎兵の父秋山好古大将の曾孫さんが、機甲師団である第7師団第72戦車連隊で中隊長に着任されたと報じられていました。

Img_2_969 秋山好古のひ孫は陸自指揮官:研究重ね「信頼されたい」・・・ NHKのドラマにもなった司馬遼太郎の小説「坂の上の雲」の主人公の一人、秋山好古のひ孫で、陸上自衛隊3佐の秋山純一さん(36)が北海道恵庭市で初めて指揮官としての任務に当たっている。小説を読んで好古の弟、真之に憧れたが、今は「好古のような信頼される指揮官になりたい」と、戦史や戦術の研究にも励んでいる。

Img_2744_1  純一さんは第7師団所属戦車部隊の中隊長として赴任し、部下約50人を束ねている。好古は日露戦争で騎兵を率い、世界最強といわれたロシアのコサック騎兵を破ったことで知られる。戦車部隊はその流れをくんでおり、隊旗には白馬があしらってある。 「人生は一事を成すためにある」。秋山家に伝わる好古の言葉だ。(共同通信)【 2010年12月28日 17時20分http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20101228000126

Img_2780  秋山好古といえば、日本騎兵の父、騎兵部隊による機関銃の機動運用を行い、騎兵戦術の革新を起こした指揮官で陸軍大将なのですが、そちらのほうはNHKの“坂の上の雲”をご覧になっている方のほうが詳しいでしょう。如何に機関銃の運用を行うかはこの先のお楽しみという事で、一つ言えば機関銃を日露戦争で日本が持っていなかったという逸話があったのですけれども、NHKの通りホチキス式機銃を使っていまして、海軍はベルトリンク給弾方式の機関銃を運用している写真がありました。

Img_2906  白馬を描く部隊といえば、第72戦車連隊でしょう。戦車は騎兵の装甲車と歩兵の火力支援車から生まれたものですが、騎兵の運用は偵察隊と重なるものがあり、偵察隊は機甲科職種ですので、このブログをご覧の方に旧軍歩兵出身の方がいらしたら恐縮ですが、騎兵とは今日の機甲部隊を示すものといって差し支えないでしょう、米軍では第1騎兵師団が機甲師団編成を採っている事例もありますし、騎兵は少なくとも装甲戦闘車を駆使する機械化歩兵として機甲戦力の一翼を担う部隊が基本となっています。

Img_2919  第7師団は、第71戦車連隊、第72戦車連隊、第73戦車連隊を中心に、第11普通科連隊、第7特科連隊、第7高射特科連隊など機械化された部隊により編成されています。他の師団が基盤的防衛力として有事の際は防衛線構築による防御を軸とした攻勢を基本にしているのに対して戦車連隊を中枢に置く第7師団は迅速に展開し敵勢力を戦車の圧力で押し潰す鉄槌です。騎兵の父、その曾孫が戦車部隊、それも機動運用を行う第7師団の戦車中隊長というのは本当に縁を感じるものです。

Img_2942  東郷平八郎提督の曾孫さんも防大18期として海上自衛隊に任官し、現在は退職されていますが、第1護衛隊司令、第4護衛隊群司令官、練習艦隊司令官、開発隊群司令官を歴任されていまして、なるほどといいますかやっぱりといいますか、研究者の世界と同じように軍人の世界も広いように見えて実は狭い、歴史は昨日から今日へ今日から明日へ続いているということを感じますね。

Img_2963  戦車数の冷戦時代の1200両から、実に400両にまで縮減されるのではありますが、教育体系を元として、加えて戦術研究さえ確保していればなんとかなるものだ、と過去に当方は記載したのですけれども、それも歴史と伝統に裏打ちされている日本の自衛隊という組織ならではのものなのかな、と思ったりもしました。秋山好古は陸軍大将まで務められていますが、騎兵の血筋を信頼される多くの幹部の一人として次世代に受け継いでほしいですね。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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6 コメント

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こんばんわ (J-CON)
2010-12-29 00:16:42
こんばんわ

> 東郷平八郎提督の曾孫さんも防大18期として海上自衛隊に任官し、現在は退職されていますが

おそらくごっちゃになっている思われます、東郷行紀海将補はまったく血縁がないそうです(練習艦隊の寄港地で質問されまくったとか)。

現阪神基地援護室長、東郷宏重2佐が血縁の方のようです。

http://www.mod.go.jp/msdf/hanshin/umi_room/umi_backup/speek7.html

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確かに、1年ぐらい前に、週刊誌の「坂の上の雲」の... (丸猫)
2010-12-29 00:53:37
確かに、1年ぐらい前に、週刊誌の「坂の上の雲」の取材で取材で阪神基地(当時?)の東郷宏重2佐のインタビューが出てたのを記憶してます。外国に行っても、基地指令などが、東郷元帥の曾孫が来たという事で、最敬礼で迎えてくれたと、記事になってました。当時の部署は、自衛官の再就職先を支援する部署だと載ってました。退官前にもう一度、自衛艦で海外に行ってみたいとの事でしたね。日本海海戦100周年記念の時も、インタビューに応えていました。
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J-CON 様 こんにちは (はるな)
2011-01-01 12:14:20
J-CON 様 こんにちは

御指摘どうもです

訂正記事を作成させていただきました
http://harunakurama.blog10.fc2.com/blog-entry-701.html
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丸猫 様 情報どうもです (はるな)
2011-01-01 12:16:27
丸猫 様 情報どうもです

江田島ではネルソン提督と並び、祀られているようですね。
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年始ご多忙のおり、多数のコメント恐縮でございます。 (73)
2011-01-03 12:47:26
年始ご多忙のおり、多数のコメント恐縮でございます。
坂の上の雲、以前かなり読んでいて、秋山兄弟様に関心がかなりありました。
子孫の方が、戦車部隊の幹部様ということ、心暖まるお話かと思います。
最近、90式戦車に急に関心が出てまして、愚策?とも思われる新大綱では、戦車400両ということですが、本当にそうなってしまうと、当方のいつもの愚考ですが、どう考えても戦車が不足すると思いますが、演習場、道路事情などから、90式戦車の大部分が、北海道に配備されているのも、分からなくはないのですが、北海道以外の本州の防備が手薄になりそうで、心配です。
愚考ですが、少なくとも、富士教導団以外にも、玖珠、今津
あたりには90式戦車を北海道から一部転属してでも配備しておいた方が良いのではと愚考しておりますが、いかがでしょうか?
もっとも、10式戦車がもっと多数調達出来るとか、おおすみ型が、今の2倍あるとか、C-17が多数あるなら、問題ないと思いますが、現状、この全てが、当てはまらないと愚考しております。
74式も、あまり先が長くないと思います。
90式戦車は、行進間射撃も凄いと思いますし、やはり、北海道だけに配備している現状は、いつもながらの愚考ですが、少し疑問を感じます。
九州と本州にも、やはり90式戦車を配備した方が良いのではと愚考してしまいます。
10式や緊急展開輸送力の十分な整備も現状では残念ながら期待薄と思うので。
お時間ありましたら、ご教示いただけましたら、幸いでございます。
新年早々、長々と失礼いたしました。
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73 様 こんばんは (はるな)
2011-01-04 01:32:28
73 様 こんばんは

機甲部隊は集中運用してこその発揮できる能力もありますし、対機甲戦を研究するためにむしろ本土部隊の北方機動を行う転地演習を許可する方向性で調整するべきなのだろう、と。分散してしまうと逆に不都合もあるでしょう。本土有事の際は、普通科部隊の装甲化を進め遅滞戦術を強化するとともに、北海道の戦車を緊急展開させるよう展開能力を向上させることが肝要なのかな、と。

90式戦車ですが、あと8年ほどで除籍が始まりますので、次期中期防ではその後継に10式戦車を充てる必要が出てくるのだろう、と考えます。

90式戦車の難点ですが、防衛出動により自走し長距離起動できる場合を除けば、車幅が法律上狭くせざるを得ない戦車輸送車での入り組んだ本州での輸送に不安が残るのですよね。

10式は、90式を小型化して、火力面等で向上させたのですから、この点性能では信頼しています。
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