◆水増請求定義に妥当か?公平化を図れるのか?
防衛省の防衛装備品について1月末に発覚した三菱電機地対空誘導弾と特科情報装置の水増し請求疑惑に続いて新たに四社が加えられ入札停止となりました。
三菱プレシジョン、三菱スペースソフトウェア、三菱電機特機システム、太平洋無線、以上の四社が装備品の水増し請求の疑惑があり、防衛省により事実関係の判明と再発防止策が徹底されるまでの期間に入札停止処分となりました。特に事実解明へ向けて防衛省はこの四社に対しての特別調査を実施するとのこと。防衛省発表では三菱電機に関しても再発防止措置が採られるまでの間入札を停止する、としているのですが、防衛省発表を確認しているところ再開された、という話は出ていません。
どういった水増し請求がどの程度の金額で行われていたか、装備品水増し請求の内容を列挙しますと、三菱プレシジョンはF-15戦闘機用シミュレーション装置維持費の2009年度契約分2000万円の一部、三菱スペースソフトウェアはペトリオットミサイル品質確認試験の契約額2000万円の一部、三菱電機特機システムはレーダー部品修理に関する2009年度契約5億3000万円の一部、太平洋無線では航空機自動方向探知装置修理としての2010年度契約160万円の一部とのことです。
今回の水増し請求は、まず、防衛省が金額の上限を示して契約を行い、仕事量が契約の上限金額を下回っていた場合には残金を返金するという方式なのですが、契約金額上限となるよう三菱プレシジョン、三菱スペースソフトウェア、三菱電機特機システム、太平洋無線の各社において、契約作業と無関係である作業員をシフトして作業を行っているようつじつまを合わせ、返還すべき金額を圧縮していた、というもの。上限を超えていないのであれば、特に生産ライン維持費など人件費以外にも費用を要するのですし、問題なのでしょうか。
もちろん、不正という契約になっているならば致し方ないのですが、防衛省の生産基盤維持費の計算方法が、適切であるのかという疑問があるのです。防衛省の管轄ではなく私企業に整備を委託しているのですが、作業手数料に関する人件費と材料費以外に、国有地で工廠を開いているのではないのですから、生産基盤の維持費や工場の運営費というものがかかります。ここが請求する手順について、どうもよくわからないのですが、ここを補うためにこうした手順を採っている、という話、ではないのかな、と。
そして何よりも疑問なのは、公平性を担保できるのか、ということです。特に現在はF-35戦闘機の問題がりますので、防衛省の内弁慶は避けねばなりません。今回は、防衛省が監査、特別監査を行うことが出来る工場でしたから、勤務に関する情報開示の要求や、作業手順に関する特別調査の実施を行うことが出来ましたが、同じことをロッキード社のパームデール工場に対して行えるのでしょうか。即ち、日本の防衛省が支出した金額のうち無関係の費用、日本の戦闘機と無関係の仕様に関する開発に支出されていないのか監査できるのか。
この点が重要で、日本国内の企業にのみ非常に苛酷な採算性を求め、海外の企業に対しては国民の血税を流出させ続ける、というのでは全く無意味の事となります。まず第一に、上限金額以上の整備費や調達費用を防衛省に要求した、とすれば悪質な水増として市場から排除するべきですが、金額内で要求項目のない必要経費を求める、という構図があったならばこれは水増とは言えません。また、厳しくすることは一考の余地があるとして、同じ厳しさの監査を海外の防衛産業に対して行えるのか、公正を保てるのか、ということ。
北大路機関:はるな
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恐らく、従来は、「この金額内でやって下さい(少ない手数でやってもらえれば、後は利益で)」と言われていたものでしょう。
それを今更こんな言い方をするなんて、企業としたら寝耳に水ではないでしょうか。
公平性と言うことに関しても、重大ですね。
国内企業にこんな姿勢なら、値段が変っても文句を言えないなど、契約としては無茶苦茶とも言えるFMSなんて禁止してもいいくらいでしょうね。
今回の件は、三菱電機を始め自己チェックの結果、自分自身で不正と言っているようですから、少なくとも彼らの会社のコンプライアンスレベルでは、不正だったのではないでしょうか?
価値のある仕事には、きちんと正当な対価を支払うべきですし、価値のない仕事にはお金を払っては行けません。私たちの払っている税金ですから。でも、この話と不正とは関係ありません。
ただ、その背景として、作業の単価が正しいか(低すぎたり高すぎたりしないか)?あるいは契約書に書かれていない便宜を実際には要求されていて、その分の経費が必要になっているだけではないか?など、契約が正しかったかどうかを質す必要はあると思います。単に、小さな利益を求めて小さな水増しをしたのかもしれません。
不正を正当化するために、隠された利点/便宜の存在を考えるより、不正なく正しい対価を払えているのか、言い換えると、きちんと価格を決めているか。その辺の評価を常に真剣に進めて行く必要があるのだと思います。
相手先企業が海外であっても同じです。その意味では、FMSは危険な香りがしますね。。。(詳しくはないのですが)
では。。
太平洋無線->太洋無線ではないですか?
実費のみでその他の必要経費を認めない、一種の国による徴発ですよね。
まあ、家あるのは自由です、不採算化すれば企業は撤退しますので徴発できなくなりますからね。
するとどうするのでしょうかね、海外の防衛産業を徴発できないか変な理屈を考えて嘲笑されるのでしょうね。
公平性、これ重要なんですよ。F-35に関しては完全なドンブリ勘定じゃないですか。しかもロッキードに対して監査する要請をアメリカ政府に出した様子もない。
国内企業を保護する政策というのは理解できるのですが、一国が国内産業を破たんさせて外国企業を優遇する、見方を替えれば何か貰っているのではないかと勘繰りたくなります。大臣の義父さんみたくピーナッツ貰っているんだろう、そういわれますよ。
三菱電機の社内方針で、そうなっているならば、不正といえるのやもしれませんが、ううむ、しかし構造的には、契約そのものがどうなのかな、とも
特にF-35の関係もあり、三菱電機に求めているものと同程度のものをロッキードに求められるのか、というところが最も気になるところでして
ご指摘の通りFMSの関係ですよ、まあ、監査のしやすさ、これをもとにすべて装備品は国産であるべき、という発想には必ずしもいたるわけではないのですが
イランですが、ホルムズ海峡危機というよりはイスラエル単独攻撃の可能性の方が高まっている三月中旬の今日この頃・・・