北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

陸上自衛隊行事撮影 陣地転換撮影!

2006-12-28 23:39:47 | 陸上自衛隊 駐屯地祭

■観閲行進と訓練展示撮影における一考察

 “朝駆け”により観閲行進後はモータープールに戻ってしまう車輌群を式典に先んじて撮影する、という掲載を行ったのが十二月十七日であるが、今回は、その続編として、撮影陣地転換について特集したい。“こんな写真を撮りたい”という写真を撮影できるよう心がけてきたが、その一端を備忘録の形で掲載する。

Img_2037_1  迫力ある戦車の観閲行進、38㌧もの鉄の巨体が地響きを立てながら眼前を疾走する観閲行進の迫力は、一見の価値があるというか、実際に目にしなければ分からないものがある。また、戦車が3輌、そしてそれに引き続く車輌群が奏でる轟音は、大気を震わせ音楽隊の演奏による行進曲と相まってその迫力を倍増させる。全てを表現できる記録は実体験に遠く及ばないが、それを如何に写真に収めるかがカメラを扱う者にとっての課題である。

Img_2292  しかし、写真のように観閲行進を観閲台正面から撮影すると、写真のフレームにはアップにるればせいぜい横隊一列を構成する車輌を撮影するのが限度であり、全てを撮影しようと広角にすれば、車列は横に大きく伸びてしまい、個々の車輌はゴマ粒のように小さくフレームに散在し、結果的に空ばかりが大きく写った非常に見栄えのない写真となってしまう。こうした観点から、車輌そのものの紹介写真には最適なものとなるが、観閲行進を撮影するには適していない場所であることが分かる。

Img_0325  やはり、観閲行進は写真のように正面殻撮影するに限るという結論に至る。上の82式指揮通信車は05年の、また写真の府県旗を掲げての行進も06年の、それぞれ伊丹駐屯地祭において撮影したものであるが、撮影位置はこちらの方は観閲台の左方向である。この位置からは一枚のフレームに多数の車両が写り、数台しか写し得ない先ほどの撮影位置よりも動きのある写真を撮影することが出来る。しかし、この位置からは訓練展示の状況を撮影することは逆に困難となる。そこで、撮影位置の転換、という今回の本題にはいる。

Img_0545  写真は四月九日の信太山駐屯地祭、大阪府唯一の普通科部隊駐屯地で、今年度に軽装甲機動車の配備を受け、半装甲化編成を採っている。駐屯地式典が行われるグラウンドは広く、観閲台左右と奥の外周道路の一部が一般見学者に解放されるが、外周道路交差点付近に高台があり、見学者に解放されていたため、小生は迷わず撮影位置に選んだ、この他幾つかの候補撮影位置があったが、ここであれば後方から進入する車輌群が撮影できるからである。

Img_0664  観閲行進後の訓練展示まで、部隊の準備にあわせ野外音楽演奏が行われるが、小生は上写真の左上、急斜面の歩道があり、一般公開区域の境界付近に移動した、撮影には最適とは言い難いが、そこくらいしか空いている場所が無い為であるが、それが幸いした、視野は限られるものの、観閲行進とは逆方向に状況が進む為、普通化中隊、重迫撃砲中隊、対戦車中隊の展示と支援の戦車が同時に写りこむ位置であった為である。

Img_2021_1  五月十四日、兵庫県伊丹市の千僧駐屯地祭における写真。観閲行進において偵察隊の斥候オートバイや73式小型トラック、87式偵察警戒車が進んでくる。ここでは観閲行進はグラウンドを一周するため、カーブ付近に陣取ると観閲台の見学者が式典であることを演出し、また勾配を廻る様子が写りこみ、動きのある写真に仕立てることが出来る。しかし、訓練展示ではこの撮影位置の直前が特科陣地となり、視界が非常に悪くなってしまう。

Img_2148  訓練展示を何処で撮影するか、信太山のように観閲台左方向に撮影位置を変更しようかと考えたが、その近辺は既に見学者で埋まっていたので、グラウンドの反対側に器材一式を持って走った、すると偶然にして完全な順光環境での撮影ができた。端の方であり、ここも人は疎らであったので、航空支援、特科射撃、戦車突入、普通科前進という状況の変化に際して思う存分にカメラを振り回し、シャッターを押すことが出来た。

Img_2319_1_1  五月二十一日の大津駐屯地祭、ここは新隊員の前期教育を行う第二教育団が駐屯しており、二個大隊が参加する徒歩による観閲行進が目玉である。しかし、この写真は少し失敗である、逆光なのだ。実は、撮影位置と観閲行進の通路を挟んで反対側であれば長大な徒歩行進を順光にて撮影できたのだが、部隊整列の写真に邁進し、陣地転換の機会を逸してしまった。しかし、徒歩行進は写りこんでいるので、逆光を除けばこんなものであろうか、もそくは後方から望遠で圧縮効果を期するべきであったか。

Img_2471_1  光の調整もあり、訓練展示は上写真にある観閲台左方向、背後に琵琶湖を望む位置に展開した。写真は重迫撃砲の設置を行う第四陸曹教育隊の隊員を支援する74式戦車であるが、状況を上手から撮影することが出来、また順光の位置に移動したことで撮影は容易であった。もう少し進めば仮設敵陣地に障害除去用のM4破壊筒を挿入する様子や普通科の銃剣突撃の撮影に最適の位置であったのだが、立ち入り制限区域に入ってしまう為断念した。更に研究が必要な撮影位置ではある。

Img_9015_1  十月八日、名古屋の師団司令部、守山駐屯地祭における観閲行進の様子、昨年はこの撮影位置の道路を挟んで向こう側での撮影であり、観閲台と行進が写りこんで最適位置であったのだが、今年度は立ち入り制限区域であった為、この位置を選択、実は昨年は雨天から曇りになったため気付かなかったが、昨年の位置で撮影していれば逆光になっていただろう。向こう側にも席がある為、賑やかな写真にはなり、車輌も多く写っていることから場所は最適であったといえる。

Img_9214_1  訓練展示の撮影に為、観閲台とは別方向の“向こう”にある一般観覧立体席のはずれにて撮影したのだが、このアングルでは問題ないものの、写真の車体の陰の位置から分かるように、仮設敵陣地に突入する瞬間は一番の見せ場が逆光で写りが悪くなってしまっていた。考えようだが、撮影位置としては観閲台左の位置にて撮影した方が良かったかもしれないが、その位置では戦車の発砲が見えにくく、なんともいえない。観閲台方向から撮影された写真など、出来れば参考にみてみたいものではある。

Img_1115  十月二十八日の豊川駐屯地祭、特科連隊、高射特科大隊に加え、施設群や即応予備自衛官基幹の普通科連隊が駐屯しており、観閲行進は迫力であったが、最初の撮影位置の目の前で3輌の82式指揮通信車が観閲行進最初に停車したため、急遽15㍍ほど移動したが、これが逆に斜めから行進の車列を写しこむ絶好の位置であることが判明した、逆光であるが、これは式典会場の立地上致し方ないところである。ちなみに観閲台方向からは完全な逆光となっていたのではなかろうか。

Img_1591_1  訓練展示の撮影は、上写真の一番奥あたりの開放地区より撮影したが、300㍉望遠であったから撮影できたものの、特科部隊の駐屯する駐屯地の訓練展示であるから、もっと火砲が写りやすいよう、観閲台右手の辺りから撮影した方が、横一列に展開した3門のFH-70榴弾砲を撮影できたかもしれない。一方、この位置からは障害除去などの展示も見えたので、位置選択は二つある最良の選択の一つを採ったといえる。

Img_2365  以上のように、観閲行進と訓練展示の撮影における最適撮影位置は異なる。そこで、観閲行進はどの方向から進行するか、訓練展示が実施されるならば仮設敵陣地はどこか、この二つに留意して写真を撮影することが重要である。一方、立ち入り禁止区域には絶対立ち入らないこと、微妙な点は自分で判断せず警備や案内の隊員に質問することは忘れてはならない。他方で、撮影せず楽しまれる方は、是非、立体席に行かれることをお勧めする。そこが一番状況を把握でき、見えやすいように設置されているからである。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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