生涯いちエンジニアを目指して、ついに半老人になってしまいました。

その場考学研究所:ボーイング777のエンジンの国際開発のチーフエンジニアの眼をとおして技術のあり方の疑問を解きます

規定を満足するか、しないかだけが問題なのだろうか

2015年03月20日 08時17分43秒 | ジェットエンジンの設計技師
今朝の「ケンプラッツ」に「さすが免震と思ったのに…」当惑する日立市 2015/03/19という記事がありました。今問題の東洋ゴム工業の話です。
一体、この耐震ビルと、耐震装置を持たない新築のビル(数の上では圧倒的)との安全度の違いはどうなのでしょうか。その明確な答えがやっと現れたようです。
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/building/news/20150318/695271/?rt=nocnt

曰く、
「東日本大震災のときは『さすが免震だ』と感心したのに、本当は大臣認定不適合品と分かり大変残念に思っている。東洋ゴム工業は、速やかに安全性を検証し、万全の措置を講じてほしい。
 こう話すのは、大臣認定の性能評価基準に適合していない東洋ゴム工業製の「高減衰ゴム系積層ゴム支承」(以下、高減衰ゴム支承)を使用していることが分かった庁舎の1つ、日立市消防拠点施設(茨城県)を管理する日立市都市建設部営繕課の遠藤弘課長だ。
旧耐震時代に設計された市庁舎にひび割れなどの被害が発生したことから、市は災害対策本部を市庁舎ではなく消防拠点施設に設置。当時の市長はこの場所で陣頭指揮を取り、電気や水道などのインフラ復旧に当たった。遠藤課長自身も震災直後に消防拠点施設で寝泊まりすることがあったが、就寝中に何度か余震を経験した。そのとき、免震装置の威力を実感したという。「余震の震度は4から5程度だったが、建物の揺れが明らかに小さく、揺れの時間が少し長かった。まさに理論通りの挙動だった。余震の際には、テレビで震度速報が発表されていたが、それとは明瞭な体感上の違いがあった」と遠藤課長は振り返る。

どうも、マスコミも官庁も規定に合ったか、合わなかったかだけ(Design by constraints)を取り上げ、本来の機能の目的達成度を多面的に議論する(Design on Liberal Arts Engineering)気は無いようです。建築関係は、総て安全率をかけており、確率論は出てきませんが、実際の製品にはバラツキがあり、震度6強でまったく問題が無かったのならば、むしろ良いデータができたとして、規定のありかた(数字だけではなく、実際のデータに基づくなど)を見直しても良いのではないでしょうか。

規程通りにつくったものでも、福島第1原発の様な事態が頻発する世の中です。過去に作られた規定に合わせることだけに固執すると、いろいろとおかしなことが起こりかねません。(マニュアル第3世代問題)

その場考学半老人 妄言


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