はんどろやノート

ラクガキでもしますか。

世界の中心で卒業を叫ぶ

2007年12月22日 | はなし
 「カイロの日本人娘」とは現衆議院議員小池百合子さんでした!

 カイロ大学を卒業した日本人は小池さんが二人目、日本女性では初、ということです。ううむ、「小池さん」というとどうも「おばQ」のラーメン好きのあの人を思い出してしまう。ここでは「百合子さん」と呼ぼう。

 20代娘の百合子さんは5年目、ついにカイロ大学を卒業しました。さあ、仕上げはあの大切な儀式、高いところでヤッターと叫ぶ儀式です。目指すはピラミッド頂上!
 目をつけたのはクフ王のピラミッド。友人二人をカメラマンと荷物運びとして雇い、早朝5時に出発。いでたちはジーンズにテニスシューズ。
 20メートルほど登ったとき、下から警官の声が。「おーい、ピラミッドは登っちゃいかんのだ」
 百合子「知ってますよーだ」 ここでやめるわけにはいかない。
 警官「こら、聞こえんのか」
 百合子「1ポンドでどう?」
 警官「だめだ、5ポンド払え」
 百合子「じゃあ、3ポンド。とにかく登ってから払うわ」
 警官「よし。3ポンドだぞ。じゃ、気をつけてな」
 そうしてついに頂上征服! やった! 百合子さんはここで荷物係からかばんを受けとり着物に着替えた。振袖だ。風呂敷をひろげ、茶器を取り出し、お茶を入れた。格別の味だ。「振り袖日本人娘早朝のピラミッド頂上でラアの神(太陽)にお茶を差し出す」の図。パシャ、記念写真。
 そしていつもの儀式。「やったー! ワアーッ!」と大声を朝日にぶつける。
 そんな最高の気分に浸っていると、下から声が。「おーい、まだかー?」警官の声だ。急いでジーンズに着替え、登った面とは反対側から10分でピラミッドを下った百合子さん、3ポンドは払わず逃げ帰ったのでありました。

 これは小池百合子著『振り袖、ピラミッドを登る』に書かれているエピソードですが、この本にはおもしろいエピソードが他にもあるので、いくつか紹介しましょう。

 カイロ大学の入学手続きのために学生課に出向いた百合子さんは、担当のおばさんにこう言われた。
 「名前が一つ足りないわよ
 百合子「ちゃんと、ユリコ・コイケと書きましたけど」
 おばさん「二つしかないじゃない。足りないと困るんだけどね」
 百合子「困ると言われても、親がつけた名前なんです、これ」
 つたないアラビア語で説明するがガンとして納得しないおばさん。「ようく考えて思い出しなさい
 思い出しなさいと言われてもねえ(笑)。
 アラブの名前は真ん中に父親の名前がつけられている。それで百合子さんは、考えた末、「ユリコ・ユージロー・コイケ」と書いて再提出。すると…
 「そうそう、これでいいの。自分の名前ぐらいは、しっかりと覚えておきなさいな

 それから、試験。まずおもしろいのは試験の最中に紅茶やコーヒーが注文できること。
 そして全校で一斉に行われる進級試験…今日の問題はむつかしそうだと百合子さんが思っていると… 「キャー」と叫び声が聞こえたり、筋肉マンの男子学生が突然、試験用紙を持ってうしろにひっくり返ったり。百合子さんは、初めエジプト人は大げさで芝居好き…と思っていたが、どうやら芝居ではないらしい。あるとき男子学生が泡を吹いて気絶するのを見て、これは本物だとわかった。続いて前方の席でも別の女学生が気絶。二人とも担架に運ばれていった。難しい試験問題を見て気絶するエジプト学生たち…。

 百合子さんの在学中に、エジプト・シリアとイスラエルとが戦争になった。戦場はスエズ運河。カイロからも近い。戦争のために大学も休校状態。
 テレビやラジオではエジプトが優勢のようだ。しかし、大家のおじさんはニュースはいい加減だから信用できないという。百合子さんは、日本語の新聞も読んでみた。するとエジプトのニュースとはまったく逆の内容だ。大本営という言葉を、彼女は連想した。しかし、日本の記事が正しいかというと、これも問題だと百合子さんは知る。エジプト人の友人がこう言うのだ。「世の中に中立な記事なんかないよ。きみの読んでいる日本の新聞はきっとユダヤ人の影響下にあるんだ。」 結果から考えると、たしかに日本の新聞は、「イスラエル寄り」の内容だった。
 私達が日本で得ている情報は、じつは中東に関してはほとんどがアメリカやイスラエルの色眼鏡が入っているらしい。(APやUPI通信はユダヤ人の創設である。) あれを公平な記事と思ってはいけないのだ。曇りない目でものを見るというのはむずかしいですねえ…。

 小池百合子さんの、政治家としての行動には、僕には理解できないところも多いです。それはまあ、僕が無知だからでもあるでしょう。ただ、彼女の堂々としたところはかっこいい。その自信はきっと、カイロ大学でアラビア語を学んだというところにあるのだなあ、と思うのです。僕ももし人生を高校時代からやり直せるなら、カイロ大学へ行ってみたいですねえ。アラビア語って、右から書くんですよね。あの文字を右から左へスラスラ書くところをナマで見てみたいです。

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2 コメント

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小池さんのルーツは? (鉋屑)
2007-12-24 01:29:33
あの人格が仮に[本来のもの+エジプトで育まれたもの〕としたら、違う国に行ってたら違ったんでしょうか?
小池さんの醸し出す雰囲気はどこか日本人離れしていると思ったら、そういう経緯があったのか…妙に納得してます。
ええ (han)
2007-12-24 18:22:46
アイデンティティってやつですね。アラビア語にあったわけです。
もし違う国に行ってたら…どうでしょうね。ああいうのは「理屈を超えた恋」のようなもので。
小池さん、目立ちたがり屋ってことは間違いないですね。ま、政治家ってみんなそうかな。

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