十七音のアンソロジー★。・.:・゜'☆,。.:・゜'★

虚と実のあはひに遊ぶ  Since 2008 by Midori♡ H

翡翠

2022-10-12 | Weblog
かはせみの水面を昏めゆく高さ
暮れ際の水の匂ひや合歓の花
稜線の消えたる夜のほととぎす
空の端につづく水脈芭蕉林

※「阿蘇」10月号、山下しげ人選

【選評】水中にダイブして餌を捉えた後の翡翠の動きを詠んだ一句なのでしょうか。水を離れて行く翡翠を目で追って行くとその爽やかさ故に水面は単なる背景となって行くのです。飛んで行く高さに翡翠の爽やかさは増し、その爽やかさは川面の昏さにより一双引き立てられてゆきます。(しげ人)

🍊 何となく俳句を詠むことに行き詰まりを感じるこの頃。自分の好きな詩の世界だけでは、当然限界があるのはわかりきったことだが、なかなかここから抜け出せないでいる。やはりあるがままの自然に向き合うことが一番だか、自然を詠むのは難しい。まさしく修行。(Midori)

水母

2022-10-05 | Weblog
月の夜の水母は死して水となる  
書を閉ぢてよりの孤独や梅雨夕焼
古地図にはハーンの故郷きらら虫
くちなはの創世の闇脱いでをり

※「阿蘇」10月号、岩岡中正選

🍏 有明海の浜辺に打ち上げられた水母の死骸を見たことがあります。海中を漂う美しい水母と違って、それは無残で、私はしばし言葉をなくしてしまいました。その時の記憶をどうしても詠みたく一句にしたものなので、決して俳句と言えるものでなく、私の中のイメージを句にしたものです。しかし、思いがけず主宰に採って頂き、私の大切な一句となりました。(Midori)