十七音のアンソロジー★。・.:・゜'☆,。.:・゜'★

虚と実のあはひに遊ぶ  Since 2008 by Midori♡ H

寒雷

2020-01-27 | Weblog
このところ雨もよいの天気が続くが、今日は雷と激しい雨。春を思わせるこの暖かさでは、「寒雷」というより「春雷」の感じだ。(Midori)

  寒雷や窯変したる海のいろ     *中正選(2018年1月作)

「阿蘇」1月号Ⅳ

2020-01-23 | Weblog
ラガー等のスクラムに火の山動く     つのだともこ

ラグビーと言えば、「スクラム」。ラガー等の鋼のような四肢でスクラムを組めば、きっと火の山も動くと思わせるところが、この句の力。物語性のある壮大なスケールの一句。(Midori)

「阿蘇」1月号Ⅲ

2020-01-21 | Weblog
草紅葉むかし恋せし頃の橋     内田晴美

むかしの恋とともに、記憶にインプットされている「橋」の存在。きっとそのあたりの風景も含まれていることだろう。「草紅葉」が、いかにも密やかな小さな彩を添えている郷愁の一句。(Midori)

「阿蘇」1月号Ⅱ

2020-01-19 | Weblog
晩年のさみしき胸に赤い羽根     嶋田光子

10月になると、国会議員さんが赤い羽根をつけて答弁している姿が印象的だったが、作者もまた同じ赤い羽根を胸に付けている。「晩年のさみしき胸」と、やや自嘲的だが、一方で「赤い羽根」の赤が、どこか誇らしげでもある。(Midori)

「阿蘇」1月号Ⅰ

2020-01-14 | Weblog
林檎重しカインの裔の掌に     岩岡中正

カインは、アダムとイブの長子。旧約聖書によると、カインは、神への供物を巡って、弟アベルを殺したとされる。さて、「林檎」と言えば、すぐに『創世記』が想起されるように、「林檎重し」という感覚は単なる林檎の質量だけでなく、感覚的な重さでもあるのだろう。下5の「掌に」は、余韻を持たせる効果は勿論、上5に戻るという構図になっていることは言うまでもない。(Midori)

初茜

2020-01-10 | Weblog
相聞のごとくに天地初茜      岩岡中正

歳時記によると、「初茜」とは、元日の明け方、東の空に初日の明りが洩れはじめた、その空の色を喜ぶ言葉、とある。今年は、初日の出を見に出かけたが、「初茜」は、初日の出よりもはるかに神々しく、思わず手を合わせたくなる瞬間である。掲句は、『NHK俳句』1月号の巻頭に掲載された句。壮大な浪漫に溢れた格調高い一句に、主宰の詩情の豊かさに触れた気がした。(Midori)

初句会

2020-01-06 | Weblog


明けましておめでとうございます。
1月5日は、「阿蘇」の探勝会で、水前寺公園での吟行。雲ひとつない寒晴れの中、園内の出水神社に参拝し、公園を一周するとコートも要らないほどの暖かさ。初句会は46名の参加者で、会場は新年を迎えた喜びで、どこか華やか。主宰は、講評の中で詩情と技術力の必要性を改めて言及された。(Midori)

祈る手に天地のこゑ今朝の春    *岩岡中正選