十七音のアンソロジー★。・.:・゜'☆,。.:・゜'★

虚と実のあはひに遊ぶ  Since 2008 by Midori♡ H

初音

2021-06-21 | Weblog
一片の雲のほぐるる初音かな
木々芽吹く山の蔵せる水の音
朧より生れ朧の世にひとり
また別の風を捉へて揚雲雀

*「阿蘇」6月号、山下しげ人選   ☆2席   

【選評】 鶯の声はいかにも伸びやかです。どんな固いものでも柔らげてくれます。それまで、冬を引きずり堅さの残る雲も作者の気持も「初音」の一声で解かれたように感じられたのです。初音の特質が十分に活かされた一句です。(しげ人)

鶯の初音は、殊のほか嬉しいものだが、夏を告げる時鳥の初音もまた格別だ。ところが、今年、時鳥が鳴いたのは、例年より1か月も遅かった。生態の変化か、天変地異か?と流石に心配になって来た頃、ようやく聞かれた時鳥の初音であった。昨日はや初蝉が鳴いていた。(MIdori)

植田

2021-06-10 | Weblog
何度目かの通信句会となったが、今回の兼題は、「田植」。田植と言っても、今は田植機が整然と植えてゆくだけ。いつの間にか、代田は植田となって、早苗が風に戦いでいる様を見るのは、嬉しいものだ。しかし、こんな風景もいつかは見られなくなるのではないかと思うのは、後継者不足の問題があるからだ。日本の原風景を作っているのは、誰よりも生産者なのだと改めて実感するこの頃である。(Midori)

   遠嶺々に星の生まるる植田村

「阿蘇「6月号 Ⅰ

2021-06-03 | Weblog
亀鳴くや心許なき星に棲み
いちまいの天地翳れる涅槃絵図
木々わたる風はさみどり巣立鳥
初花のひかり弾める水面かな

*「阿蘇」6月号、岩岡中正選

いつもの散歩コースである墨擦川には、5、6匹の亀が棲んでいる。お天気の良い日には、ぷかりと浮かび、短い脚で懸命に泳いでいる様は、平和そのもの。私まで幸せな気持ちになれる。(Midori)