十七音のアンソロジー★。・.:・゜'☆,。.:・゜'★

虚と実のあはひに遊ぶ  Since 2008 by Midori♡ H

「阿蘇」2月号 立冬

2020-02-24 | Weblog
立冬や積木のやうに日を重ね     木村佐恵子

「積木のやうに」という比喩がとても新鮮。「立冬」という一つの節目への感慨が、「日を重ね」という連用形によって、再び「立冬」へと還る。着実に日々を重ねてきた作者の思いの深い作品である。「母よりも妻である日々木の葉髪」という作品にも心惹かれた。 (Midori)

「阿蘇」2月号  藁塚

2020-02-18 | Weblog
藁塚の影を山影捉へけり     坂本昭俊

「藁塚の影」を捉えたのは「山の影」。その一瞬を捉えて力強い。まるで小さな生きものを呑み込んだかのような臨場感は、写生の力であるが、「捉へけり」という言葉の選択の手柄も大きい。(Midori)

菠薐草

2020-02-14 | Weblog
今月最初の兼題は、『菠薐草』。身近な野菜であり、俳句に詠もうなどとは思いもしなかった季語である。特徴的なことは、栄養価が高く鉄分が多い緑の野菜だということ。そして根っこの部分が赤いということ。句会では、取合せの句に、意外性があって大変勉強になった。(Midori)

  菠薐草赤き根元にある慈愛
  菠薐草樹海のいろに茹であがる
    *中正選 in NHK

「阿蘇」2月号 冬星

2020-02-08 | Weblog
アフガンの冬星となりたまひけり     岩岡中正

中村哲氏が亡くなって2か月が過ぎた。「武器ではなく命の水を」と題した追悼番組が放送されたが、着工から7年、アフガニスタンの砂漠を広大な緑の大地に変えた水路建設に立ち向かう中村医師の姿は素晴らしかった。中村氏は、水路建設によってアフガニスタンの村人の多くの命を救っただけでなく、ムスク建設や神学校建設により、彼らの民族的な尊厳を回復させたことも、大きな功績の一つだった。掲句、省略を極めた一句に悲しみを新たにした。中村哲氏、享年73歳。(Midori)

鶴吟行

2020-02-05 | Weblog


熊本県北の横島干拓地。知る人ぞ知る鶴の飛来地でもあるが、この日は、麦畑の向うに3羽の親子鶴を発見!近づきすぎたせいか飛び去ってしまい、何とも名残惜しい鶴とのひと時でした。(Midori)

鶴はいま光の中へ飛び立てり