弁護士任官どどいつ集

弁護士から裁判官になった竹内浩史のどどいつ集

「判決予想屋」面目保つ?「当たらずといえど 遠からず」

2024年07月03日 21時17分42秒 | 講演
今日の最高裁大法廷判決から。
昨日の予想では読み切れなかった今崎裁判官を含む最高裁裁判官15名全員に、法律家として最低限の「良心」がある事が示されたのは、誠に喜ばしい。
それにしても、あっさりと判例変更をするとは思わなかった。
当事者の主張を要し、権利濫用の適用もあり得る「除斥期間」というのは、実質的に「消滅時効」というのとほとんど異ならない。
今回変更された平成元年判例以降「除斥期間」を適用されて問答無用に退けられてきた全ての裁判との整合性についても、説明を要することになりかねない。
その意味で、宇賀裁判官の意見に「あっぱれ!」だ。最近の改正後の民法と同様に、改正前民法の規定も「除斥期間」ではなく「消滅時効」であったというべきであろう。
これは、今回破棄された原告敗訴の仙台高裁判決とは別の部で、最近急逝した小林久起裁判長が言い渡した原告勝訴の仙台高裁判決と同じ意見でもある。
原判決の中で、多数意見が最も近いのも、実は、この小林判決である。
草葉の陰で喜んで下さっていると思う。
(参照記事)
国の主張「権利乱用」
強制不妊手術訴訟、仙台高裁も国に賠償命じる
https://www.asahi.com/articles/ASRBT76QRRBTOXIE00D.html

「今崎反対 意見」のほかは「全員一致」で 勝つでしょう

2024年07月02日 21時08分23秒 | 講演
大学生時代から数十年の「最高裁ウォッチャー」を自認する私の明日の大法廷判決大胆予想。
さすがにこの事案では、原告ら全員を勝たせる。
ただし、既に最高裁判例となっている不法行為の20年の「除斥期間」を適用しない理由は、区々に分かれそうだ。おそらく数通りか。
私は、新憲法下の国自身の違憲立法に起因する不法行為に、国自身が定めた民法の除斥期間を適用することは「適用違憲」と判断するのが最も筋が良いと思うが、採用されるかどうかは分からない。
結論は全員一致か、反対意見を付するとしたら今崎裁判官(裁判官(最高裁事務総長)出身)くらいしか考えにくい。これは、次の判例等から各裁判官の傾向を推し量ったもの。

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=92849

信じるか信じないかは、あなた次第です。

(参照条文)日本国憲法
第十七条「何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることができる。」

方針変えない 強気の指し手 更なる強手で 攻め返す

2024年07月01日 19時56分29秒 | 講演
今日は、名古屋・大須の万松寺で将棋の棋聖戦第3局。
私は、観戦できなかったが、その代わりに、津地裁を訪問された長官と、迎えた所長とを交えて、和やかに談笑できた。
「敵は本能寺」
果たして首を取られる覚悟はあるのか。
もしも、あるならば「敵ながらアッパレ」を贈りたい。
私には、悪手か、少なくとも疑問手としか思えないが、明日は本当の決戦が始まる。
姿が見えなかった対局相手の新名人が、はっきりと見えた。
次は対局場で会いましょう。

超難解の詰将棋。
詰むか詰まないか、まだ分かりません。
分からない人は、近くの事情通の弁護士に尋ねてみて下さい。
的確な答が返ってくれば、極めて優秀な弁護士である事、請け合いです。

「長期未済」が 一掃されて「平成くん、さようなら」

2024年06月30日 14時19分08秒 | 裁判
先週木曜日に「十年裁判」の判決を言い渡した。
平成26年7月提訴事件を初めとする住民訴訟3件の併合事件。
今年2月に判決を言い渡した生活保護引下げ集団訴訟よりも前から係属していた裁判である。
一審としては何とか10年以内に終局することができたが、この事件になぜこれほどの審理期間を要したのかは、私の前の数代にわたる裁判長たち共々、大いに反省を要するだろう。

これで当部の最も古い年号の事件は、一挙に6年も若返り、令和2年新受の3件(係属期間4年以内)となった。

(写真)私の著書からの抜粋
裁判長としての「長期未済処理」の手腕についても、適正に評価していただけるのかどうか。
ちなみに、明日は毎年定例の昇給日である。

転出した両陪席につき3か月間の職務代行発令を得てまで完成した大判決なのに、全く報道されなかったので、傍聴してくれた方のブログを引用。
判決言渡しの際に右眼に眼帯をしていたため、心配して下さった。

http://blog.livedoor.jp/mieken1876418/archives/52029922.html

ご心配ありがとうございます。
決して「右目やってしもた」わけではなくて、20年前に白内障で入れた眼内レンズが外れたので、新しいレンズに入れ替える手術をしただけです。
まだ白眼が少し血走っているので眼帯をしていましたが、よく考えてみると、遠くの傍聴席から分かるほどではないので、しない方が良かったかも知れません。
今後とも傍聴人によく分かる法廷を心掛けたいと思います。

7月初めに いきなり2手も 進めば形勢 どうなるか?

2024年06月29日 22時46分07秒 | 将棋
失冠した岡口前名人のリベンジ戦。
6月末までの自戦解説と7月以降の展開予想。
▲先手 挑戦者
△後手 新名人

(これまでの棋譜)
4月15〜16日
▲催告通知・提訴予告記者会見
5月27日まで
△小林仙台高裁部総括らの後任指名
5月29日
▲『裁判官の良心』とはなにか出版
6月13日
△空席の名古屋高裁部総括を指名
6月25日まで
▲弁護士JP・共同通信・毎日記事

これまでのところ、後手は先手の厳しい攻めを全く相手にせず「ノーコメント」を繰り返している。

(今後の手番の予定)
7月1日
△定例昇給日
7月2日
▲訴状提出
7月〜8月頃
△答弁書提出
7月27日
▲日本裁判官ネットワーク記念講演

8月頃
人事院勧告(地域手当見直し?)
8月〜9月頃
第1回口頭弁論期日
8月下旬
裁判官人事評価書開示

鈴鹿簡裁>四日市支部>津・桑名>伊賀で あとは0

2024年06月28日 21時38分57秒 | 講演
来週の提訴を目前に控え、この機会に、三重県内の国家公務員地域手当の格差を、裁判所名別に整理しておこう。

高い順に、
鈴鹿簡裁 12%
四日市支部10%
津地裁本庁 6%
桑名簡裁  6%
伊賀支部  3%
松阪支部  0%
伊勢支部  0%
熊野支部  0%
他に、
亀山市   6%
名張市   3%
であるが、裁判所は存在しない。

したがって「津地裁あるある」を。
書記官をはじめとする裁判所職員は、津地裁本庁から鈴鹿簡裁への転勤を希望しがち。

また、四日市支部長が私と同じ判事3号であるとすれば、私よりも月給が4%高い計算になる。

角川さんにも 真似されたかも? 出版・提訴の 記者会見

2024年06月27日 19時04分44秒 | 講演
「残りの人生を賭けて闘う」
KADOKAWA・角川歴彦元会長が
「人質司法」で6月27日に国を提訴へ
「週刊文春」に明かした
"前代未聞の公共訴訟”を起こす理由とは
(文春オンライン)
https://news.yahoo.co.jp/articles/70c0bf4d4ab62dd3fec78de0622d1b8afeca8b9b
(写真)提訴と同時に著書も出版された。
どこかで聞いたような話だ。
それにしても、タイトル「人間の証明」は上手い。

ちなみに、私の提訴は出版の延長上にある。
著書の中で地域手当の問題を指摘した以上は、それによる差別という被害を受けている本人として、裁判を提起して世に問う事により、言行一致させたいという思いからだ。
決して本を売るために裁判を起こす訳ではない。
誰も提起しない訴えは、原告適格がある限り自ら提起しようというのが、弁護士時代からの「市民オンブズマン魂」である。

「泥棒」改め「準強姦魔 捕えてみれば 検事正」

2024年06月26日 00時17分47秒 | 新ことわざ
(写真)このような人物が指揮した捜査(不起訴処分)は、言わば検察捜査の「再審」を開始して「再捜査」をするべきではないのだろうか。 https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20240625/2000085441.html

推薦市民への「報告書」兼 後輩たちへの「遺言書」

2024年06月25日 21時10分55秒 | 弁護士任官

今夜は、著書「『裁判官の良心』とはなにか」の出版をきっかけに、百名近くに及ぶ弁護士・司法修習生・記者らにzoomで講演させてもらった。

便利な世の中になったものだ。


私の本は、弁護士任官適格者として推薦して下さった中部弁護士会連合会の関係委員会の皆さんを初めとする市民への「報告書」のつもりで書いた。
同時に、遠からず退官する私からの後輩裁判官(まだ裁判官になっていない人や生まれていない人も含む)に対する「遺言書」のつもりでもある。
名著とされる三宅正太郎「裁判の書」に続く類書と位置付けていただけるようになれば、私も生まれて来た甲斐があったと思う。


(写真)名著は復刻版も出ている。
私も買い求めたが、とても難解で、正直なところ中途までで積ん読になっている。


「公社法」には「借地借家法を 適用しない」と 書いてない

2024年06月24日 18時25分08秒 | 「喝!」判決

今日の最高裁判決から。

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=93108

破棄された原審の東京高裁判決に「喝!」だ。
公は間違った事はしないはずだから勝たさなければならないなどというバイアスが働くと、こういう誤りを犯す。
特に多くの東京高裁部総括に顕著に見られる傾向のように思われる。