弁護士任官どどいつ集

弁護士から裁判官になった竹内浩史のどどいつ集

参勤交代 応じぬ判事 お咎めするのか? 最高裁

2024年01月31日 20時22分27秒 | 裁判
来月は全国の民事裁判担当裁判官の会議が最高裁の下で2日間にわたり賑々しく開催される予定。
驚いたのは、ウェブ会議全盛の下において、今回は全国50庁の地裁から2人ずつの参加を求められ、うち1人は参集せよと言われたこと。
どうも当局は「デジタル化」の意味を分かっていないのではないかとさえ疑われる。
都会の大規模庁ならばいざ知らず、津地裁本庁民事部は1か部しかなく裁判官も5人しかいないのに、そのうち2人が2日間にわたり会議で拘束されることになる。それも、うち1人は必ず上京せよと言うのだ。
おそらく、今年度の予算(交通費)を消化したいという程度の理由なのではないかとも疑われる。
当日は著名な長期未済事件の判決言渡期日をとっくに指定しており、おそらく法廷撮影も入る。裁判長が判決を陪席裁判官に代読させて最高裁に馳せ参じたりしたら天下の笑い者になるだろう。
https://www.courts.go.jp/app/botyokoufu_jp/detail?id=17732&list_id=229,231,230,232,233,234,235,236,237,238,239
そう考えて、私はウェブ参加にし、判決の合議体に入っていない陪席に上京をお願いした。
すると天の声が降りて来たそうだ。
「なぜ津は部総括が来ないのか?」
参加者名簿を確認すると、地裁で部総括が参集しないのは、他に静岡・長野・大阪・佐賀・大分・福島・山形・秋田・徳島。
50地裁中40地裁は、当然のように部総括が東京への「参集」に応じていることになる。
合議の開廷日は普通は週2日でなるべく曜日の間隔を置いているので、連続2日となると、そのほとんどの部では開廷日の返上を余儀なくされていることになる。
他方で現場に発破をかけている審理迅速化との関係はどうなるのか。全くもって度し難い。
今度は福田康夫首相の退任記者会見の迷言を思い出してしまった。
「あなたとは違うんです!」

「連勝単式」玉突き人事 横浜地裁の 所長には?

2024年01月30日 08時42分34秒 | 裁判
横浜地裁の足立哲所長が、来月27日に満65歳の誕生日を迎え、その前日をもって定年退官予定。
こうなると、裁判所内で白熱するのは、後任の予想である。
先例からすると、東京高裁部総括の誰かが後任となる。
その後任にはおそらく、他の高裁部総括のコンバートで、仮に名古屋高裁部総括としよう。
そうすると、仮に民事に限定すれば、東京高裁部総括20人×名古屋高裁部総括4人の80通りの馬券ならぬ「人券」が成立する。
なかなか予想は難しいが、①−④が本命か。一着の対抗は21、穴は23あたり。二着の対抗は1だろうか。
この馬券ないしトトカルチョが成立しないのは、裁判官によって得ている情報量が異なるからだ。おそらく東京・名古屋の高裁裁判官、とりわけ当該部の裁判官は、インサイダーとして既に当たり馬券を知っているだろう。
(写真)東京高裁民事20か部の部総括の面々。
名古屋高裁民事4か部の部総括は、次のとおり。
①松村徹
②長谷川恭弘
③片田信宏
④筒井健夫
当たり馬券は、当日の新聞紙上で発表される。

「事件は会議室で 起きてるんじゃない!」と 叱りたくなる 民事局

2024年01月29日 20時25分50秒 | 裁判
4月以降も午後5時以降のウェブによる全国会議を続けるとのこと。
昼にやろうと夜にやろうと、現場の裁判官の開廷・起案時間を奪うことに変わりは無い。
さすがに私も唖然・呆然とし、ついに堪忍袋の緒が切れた。
最高裁が他方で声高に提唱している「ワーク・ライフ・バランス」と矛盾・逆行していることが、どうして分からないのだろうか。
仮に百歩譲って審理運営の充実に資するとしても、迅速審理の妨げになることは明らかである。
最近辞職に追い込まれたばかりの某議員の「頭悪いね」という放言が思い浮かんだ。

長官自ら 首相の下へ「何かあったのか?劇場」

2024年01月29日 00時01分20秒 | 裁判
西川伸一明大教授の最新投稿から。
政治学者らしく、新聞の首相の動静という地味な記事を押さえているのは、流石だ。
訪問理由についての西川説は、来週の「週刊金曜日」の連載で明かされるとのこと。

黙秘の弁護士「ガキ」「僕ちゃん」と サンドバッグに する検事

2024年01月28日 10時31分58秒 | 裁判
「黙秘権」を行使したら罵倒され続ける… 元弁護士の国賠訴訟で検事による「取り調べ映像」が異例の公開
(弁護士JPニュース)

https://www.ben54.jp/news/832

広島弁護士会の市民集会のもう一つの題材は、江口弁護士侮辱事件。
こっちはもっと驚いた。
上には上があるものだ。警察官が一般人の黙秘権を侵害して自白を迫った三重県鳥羽警察署事件が霞んで見えてしまう。
これが検察官が弁護士に浴びせる言葉なのか。公開された録画をご覧いただきたい。検察官は取調べを録画している事を失念したのではないかと疑ってしまう。それだけ取調べの録音録画が当たり前になったという事だろうが、本来は取調べの適正確保のための録音録画である。

「こんなの出たわよ!」逮捕状振って 小芝居打つ「山口智子」

2024年01月27日 18時09分12秒 | 裁判
今日は昼から広島弁護士会の市民集会をオンライン視聴。

https://www.at-s.com/news/article/national/1273978.html

国賠訴訟を担当した三重県鳥羽警察署事件が題材として取り上げられると知ったからだが、最近のプレサンス事件の社長の話は、初耳が多く面白かった。
有名女優と同姓同名の美人検事は、任意取調中はあたかも社長の味方のように振る舞った挙句、逮捕状執行の直前には「こんなの出てたわよ」と驚いた風に振りかざしながら、主任検事室から取調室に飛び込んで来たという。素人の白々しい演技が目に浮かぶように描写された。

何をやらかしたか知らんけど 「桐島、今日つかまったってよ」

2024年01月26日 18時34分43秒 | 世相
https://www.chunichi.co.jp/article/843832

50年前には小学6年生だったが、私の記憶が確かならば、夏休み中の三菱重工爆破に始まる連続テロで、鮮明に覚えている。
しかし、私より下の年代は知らないだろう。
(写真)桐島と言えば、むしろこれを思い浮かべるのは、私だけではあるまい。
読んでないから、知らんけど。

「長期未済」が 一掃されて 津も「平成くん、さようなら」

2024年01月25日 08時33分24秒 | 裁判
私が着任した当時、津地裁民事部の最大の課題は、数々の「長期未済」の難事件の早期終局であった。

これは、私が10年前に大分地裁民事第1部の部総括に着任した当時とほぼ同様の状況であった。
大分では、在任3年間でほぼ一掃できたものの、どうしても最後に残ったのが、数十人の元トンネル工事労働者が原告となり、十数社の建設工事会社を被告としてマトリックス状に損害賠償を請求した「トンネルじん肺」訴訟であった。原告と被告との一対一の対応関係では、確か数百通り近くに及んでいたと思う。それらを全部、和解又は判決で解決しなければならないという超々難事件であった。私の転出後、留任した左陪席が大奮闘して和解をまとめてくれたと聞いた。さすがだ。感謝感激。

さて、津地裁でも今週、平成時代に受理した最後の合議事件が結審した。
2月から3月にかけて、平成26年ないし29年の事件番号の3判決(事件番号では7件)を判決すれば、
「平成くん、さようなら」
「平成も遠くなりにけり」
となる。
最近は「長期未済スイーパー」を自称している。
その嚆矢となるのが、他地裁・高裁には遅ればせながら、2月22日の生活保護多地裁係属訴訟の判決だ。
最初の提訴から実に約9年半を要したが、さらにこれを上回る長期未済事件の判決が翌週以降にあるのだから大変だ。お待たせしたのをご理解賜りたい。
久しぶりに傍聴券抽選が予定されていて、間もなく当日の抽選参加締切時刻等がホームページに掲載される運び。

https://www.courts.go.jp/app/botyokoufu_jp/list?id=229,231,230,232,233,234,235,236,237,238,239

長期未済一掃は、裁判所がお好きな統計には歴然と現れるはずなので、少しは評価してくれるかしら。

「同性婚にも 保護命令」と 付帯決議の お墨付き

2024年01月24日 20時25分23秒 | 裁判
同性間暴力DV法初適用、事実上の婚姻認定、地裁が保護命令。( レズビアン!NEWS)
http://blog.livedoor.jp/tomo_1515/archives/51779379.html

今日は昼から改正DV防止法の研修に参加。
不明にして、この裁判例の存在は知らなかった。
今年4月1日から施行される改正法は、初めての内閣提出法案だという。立法時から前回の改正までは、ずっと議員立法だった。
注目されるのは、衆参両院の附帯決議(写真)。
これによると、同性カップルにも同法を適用すべきとする地裁の裁判例に対し、国会が支持表明をしてくれたことになる。
それならば、法改正で明文化すればいいのに。
おそらく、内閣提出法案で条文にすると、改正箇所があまりにも目立ちすぎて、反対派に潰されるのを心配したのだろう。
知っておいて損はない裁判例・附帯決議だ。
そうだとすると、同様の文言が用いられている年金関係や犯罪被害者給付金等に関する他の法律を同様に解釈しても、必ずしも立法者意思には反しないことになろう。

無期限延期を お願いしてる 津地裁「涙の 送別会」

2024年01月23日 20時27分11秒 | 裁判
新型コロナ渦が明け、津地裁着任後3年目末期にして初めて、三重県の法曹三者の新年会が賑々しく開催された。
今頃かい!
逆に、中には私に送別会の日程打診をして下さる弁護士もいて、涙が出るほど感激した。
気が早い!
申し訳ないので、簡単に事情をお話しして、延期していただいた。

保守派で固めた 最高裁は「政権交代」どうするの?

2024年01月22日 22時15分11秒 | 裁判
日米共通して、最高裁裁判官の任命は極めて政治的である。
アメリカは、トランプ政権最末期に、リベラル派のギンズバーグ裁判官が逝去するやいなや、無理矢理6人目の保守派を任命したので、6対3とバランスが崩れている。それでも、ロバーツ長官が保守派にしては見識が高いので、妊娠中絶と大学入試問題を除けば、まだ予想されたほどひどい判例にはなっていない。

日本では、トランプが15人全員を指名したようなものだから、リベラル派がせいぜい1〜3名程度にとどまるのも仕方がないかも知れない。最高裁裁判官の指名権を内閣に与えても、国民審査でバランスが取れると考えたのは、日本国憲法の唯一の設計ミスか。
それにしても、もし政権が変わったらどう対処するつもりなのだろうか。

全国の高裁部総括を私が数えたところ、高裁ごとに多い順に並べて下記合計91人(支部・知財高裁の部総括を含み、特別部総括は除く。)。
東京34
大阪20
福岡11
名古屋8
広島 7
仙台 5
札幌 3
高松 3
そのうち明確なリベラル派は高々数人程度のようにも見えてしまうのだが、本当にそうだとすると、最高裁以上に保守派に偏っていることになる。
(写真)静岡地裁で袴田事件の再審開始・釈放決定をした村山浩昭裁判長は、名古屋・大阪の高裁部総括を経て、退官後は再審法改正の先頭に立っている。刑事では珍しいリベラル派の高裁部総括だった。

戦犯政治に 加担をすれば 裁判官も 裁かれる

2024年01月22日 00時00分03秒 | 裁判
中日新聞の今朝の社説から。
ニュールンベルグ裁判では、裁判官も戦犯として裁かれた。
https://www.chunichi.co.jp/article/840909

東京裁判では、裁判官は起訴されなかった。例えば翼賛選挙の無効判決をした立派な大審院判事たちもいたお陰で、命拾いしたのだろう。
戦後の最高裁長官の一部をはじめとする超保守派裁判官の生き残りからすると、裁判官の責任を問わないことが良かったかどうか疑問もある。

しかし、いい加減な裁判をすれば裁判官にとって命取りになることは、領地争いを専断して幽閉・暗殺された鎌倉幕府2代将軍の源頼家や、盟神探湯(くがたち)を復活するなどして暗殺された室町幕府6代将軍の足利義教の例を挙げることができる。

地元の震災 東京にいて 現地へ「馳せない」男村

2024年01月21日 11時22分26秒 | 世相
松尾貴史のちょっと違和感(毎日新聞)より。
https://mainichi.jp/articles/20240121/ddv/010/070/008000c
テレビ石川放送のドキュメンタリー番組から映画になって、民法連賞を受賞し、昨秋NHK「ザ・ベストテレビ」で全国放送された「日本国男村」の続編を見たような思い。

「ヒラメ」判事と 似て非なるもの 「カレイ」判事は いかがでしょ

2024年01月20日 23時27分03秒 | 裁判
今日は愛知県弁護士会館で開催される弁護士任官推進中部ブロック大会にパネラー参加。
ヒラメとカレイは二つの目で見ている向きが逆。

有罪判決 受けそうになって 命拾いの「五人衆」

2024年01月19日 20時20分35秒 | 世相
世界史的には、かつての中国で文化大革命を扇動した罪で死刑判決を受けた毛沢東夫人をはじめとする「四人組」がいた。
日本史的には、江戸時代の「五人組」と言えば庶民の隣保制度で、「大坂城五人衆」と言えば大坂の陣で大坂城に立て籠った豊臣方の真田幸村をはじめとする5人の名将。
いずれにしても紛らわしい。
検察が不起訴にしても、検察審査会に係るのはおそらく必至。今後の展開によっては、歴史の教科書が変わるかも知れない。