弁護士任官どどいつ集

弁護士から裁判官になった竹内浩史のどどいつ集

明日の朝刊 注目の点「実名?」「罷免?」旗幟鮮明?

2024年02月29日 00時00分29秒 | 裁判
裁判官弾劾裁判、弁護側が岡口判事の不罷免求め結審 3月27日判決(毎日新聞)
https://news.yahoo.co.jp/articles/9ea0a72a68b674daa4cb54da9d20b52ef0efbdba
ニュースだけ流して日和見というのは、天下の大新聞のすることではなかろう。何を忖度しているのか。
特に毎日と読売が社説などによる態度表明をするかどうかに注目したい。

また、起訴されて実名が公表されたあの特定少年の実名を掲載するかどうか、各紙は選択を迫られる。

読売「罷免」に 沈黙守り キャスティングボートを 握る気か?

2024年02月28日 08時19分24秒 | 裁判
今日は岡口基一裁判官弾劾裁判の弁護側最終弁論が行われ、結審する予定。
これまでの各紙の社説を以下に列挙する。

岡口判事の訴追 つぶやく自由はどこに(中日)
https://www.chunichi.co.jp/article/278120
判事のSNS 「罷免」に値するのか(中日)
https://www.chunichi.co.jp/article/430045

裁判官と弾劾 理のない制裁が招く害(朝日)
https://www.asahi.com/articles/DA3S15190527.html

裁判官罷免に潜む危うさ(日本経済新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK183IC0Y2A310C2000000/

裁判官の弾劾 危うい先例をつくるな(信濃毎日)
https://www.shinmai.co.jp/news/article/CNTS202111240012">https://www.shinmai.co.jp/news/article/CNTS2021112400121

投稿判事を訴追 品位欠く発信許されない(産経)
https://www.sankei.com/article/20210630-76MEMUZB5JPW7K44DBUPMLMKFI/

最後のものを除く全部が罷免に反対している。
2回取り上げている中日(東京)新聞を1票と数えるとしても、4対1で罷免せず。
既に良識的な新聞の社説の大勢は決している。

なお、信濃毎日は上記のとおり反対しているが、これとは無関係とされる毎日の態度は必ずしも明確ではない。
さらに態度不明で不可解なのは読売である。この問題で大新聞が態度を明確にしないのはいただけない。

百歩譲って、全国紙ではない中日と信濃毎日を除けば、2対1。
小法廷のキャスティングボートは、後出しの毎日と読売の社説が握っていることになる。

所長はどうして 一年キリか? 「地域手当」を 下げぬため?

2024年02月27日 08時25分18秒 | 三重
(写真)本日付け定年退官の足立哲横浜地裁所長の後任者の経歴

東京高裁民事部総括には候補者があまりにも多数いたので、私の予想は外れてしまったが、エリート官僚裁判官はこうして出世していくのだという典型例。

それとは別に、地方の地家裁の所長の在任期間は概して1年程度である。最近気がついたが、そうすれば、地域手当の率が低い都市であっても、1年間は前任地の率が保障されるので、減俸されずに済む。

分かりやすい例として、今回の玉突き人事で、大竹昭彦東京高裁部総括の後任に栄転した筒井健夫名古屋高裁部総括(前々津地家裁所長)の後任に栄転した中村さとみ前津地家裁所長は、千葉から来て1年で名古屋に行くので、このようになる。
(地域手当率)
千葉 3級地 15%
津  6級地  6%
名古屋3級地 15%
したがって、津の1年間も15%を保障されていた。

それに引き換え、私の場合は、地域手当の保障の率は1年目100%、2年目80%、3年目以降0%となるため、名古屋から津に来たものとして15%→12%→6%→6%となっている。
憲法が保障する裁判官の減俸禁止、あるいは法の下の平等に違反しないのか、甚だ疑問である。

こっちも「上司」の評価をしたい「良い所長」「悪い所長」「普通の所長」

2024年02月26日 00時30分08秒 | 裁判
弁護士任官して21年。
この間、勤務年数とほぼ同数の高裁長官・地家裁所長の下で裁判をしてきた。
20年前に始まった裁判官人事評価では、長官・所長が所属の裁判官を評価するのみ。その評価に先立って、部総括・裁判長と陪席裁判官は互いの評価を尋ねられるが、逆に長官・所長に対する評価は一切尋ねられない。
長官・所長だけは、ほぼ絶対にマイナス評価は受けない仕組みなのだからどんどん昇進していく。これはおかしいのではないか。
そこで、差し支えのある現所長を除き、過去の所長の中から、ベスト3とワースト3を披露しよう。

「良い所長」
第1位 田川直之(大分地家裁)
第2位 金築誠志(東京地裁)
第3位 筒井健夫(津地家裁)
いずれも、必要な裁判官の確保やハラスメント対策など条件整備に徹してくれて、間違っても裁判の審理方式等に口出ししようとはしなかった。

「悪い所長」
第1位 A(大分地家裁)
第2位 B(津地家裁)
第3位 C(横浜地裁)
それぞれの理由は、「良い所長」の逆となるが、具体的には近著で明らかにしたい。 

「普通の所長」
それ以外の全員。可も無く不可も無し。

「カレイ判事補」名も無い雑魚の「雑音に耳を 傾けるな」

2024年02月25日 00時24分23秒 | 裁判
大分地裁部総括時代に2代目の左陪席を務めてくれた任官9年目の特例判事補の違憲審判。

「臼井さん 性別変更認められる
適合手術なし、家裁津山支部決定」山陽新聞デジタル|さんデジ
https://www.sanyonews.jp/article/1512760

SNSでは匿名のLGBT差別者から、先の最高裁判例に従っただけの「ヒラメ裁判官」などという的外れな非難も浴びているようだが、私は疑いも無く立派な審判だと思う。
そもそも、最高裁が判断を留保して高裁に差し戻した論点について、先行した静岡家裁浜松支部審判に続いて果敢に違憲判断した審判だから、むしろ「ヒラメ」の逆の「カレイ」な裁判官だと思う。
正にこういう場合にこそ、あの問題の元最高裁長官の迷言「雑音に耳を傾けるな」が妥当する。

彼は、私が前任裁判長から引き継いだうち唯一解決できなかった長期未済事件のトンネルじん肺集団訴訟を粘り強い説得により和解に持ち込んでくれたと聞いている。
大したことは教えられなかったが、「カレイ判事」の先輩として、立派な裁判官に育ってくれて嬉しい。

法廷映さず ニュースにすれば「プレハブですか?」と驚かれ

2024年02月24日 00時24分39秒 | 三重
https://www3.nhk.or.jp/lnews/tsu/20240222/3070012326.html

私は司法記者クラブから法廷撮影の申出があれば断ったことは無いのだが、申出自体が無かったケースもある。
あいにく津地裁は新築工事中で、正面出入口は仮設建物になっている。
これが津地裁の庁舎かと全国の人々に思われると、とても恥ずかしい。
できれば法廷を撮影してほしかったが、多くの裁判官は動画なのに微動だにせず、静止画と変わりない映像になってしまう。名物の「旗出し」という見せ場がある外に比べて面白くないのかも知れない。仮設庁舎を出ると、すぐに敷地外だし。

統計局には 叱られる!けど「統計不正」は お手のもの?

2024年02月23日 14時55分11秒 | 世相
いわゆる「統計不正」については、少なくとも厚労省・国交省には、比較的最近広く報道されて批判を浴びた「前科」がある。

https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1902/07/news010.html

正確に言えば「後科」あるいは「余罪」か。
チコちゃんじゃなく総務省統計局から叱られる!
もちろん、統計局自身に不正が無ければの話だが。

「専門家軽視」「統計不正」「忖度」行政の 三拍子

2024年02月23日 10時47分08秒 | 裁判
https://www.tokyo-np.co.jp/article/310440
最近のこのニュースに接した時は、3年前のニュースを間違って開いたのかと思った。
私が当該学者6人の1人であれば、直ちに地位確認と国家賠償請求の訴訟を提起していただろうと思う。
当時の行政の姿勢・特徴を示す典型的な事例であると主張して。
ただ、よくよく考えてみると、これは自分の地位や実益にこだわらず、真実を究明することに重きを置く学者らしい闘い方なのかも知れない。

裁判官に 求めるものは「王様は裸」と 言う勇気

2024年02月22日 17時30分35秒 | 裁判
今夕のテレビ各局は、国府宮はだか祭の生中継で盛り上がっている。
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1013533

はだかにちなんで、先月開催された中部弁護士会連合会の弁護士任官ブロック大会パネルディスカッションの話題から。
尊敬する先輩任官者の水野邦夫弁護士らと一緒にパネラーを務めた。
「事実認定は大人の仕事」と教えられたという水野弁護士に、僭越ながら異論を挟ませていただいた。
「私は、今の世の中、事実認定は、大人よりも純粋な子どもの方が適任だと思っています。忖度なく『王様は裸』と言えるから。」
日本の裁判官は押し並べて優秀なことは疑いないが、最も足りないのは「勇気」ではなかろうか。
そのために裁判官の「独立」と「身分保障」があると思うのだが。

「遅れた正義は 正義ではない」「2年以内」が 10年も

2024年02月21日 08時41分52秒 | 三重
韓国「東亜日報」社説より
https://www.donga.com/jp/article/all/20230901/4396693/1
裁判遅延の原因を「ワーク・ライフ・バランス」や「高官廃止」をはじめとする「司法民主化」に求めるのは疑問。
しかし、日本でも平成15年の「裁判迅速法」で一審2年以内が努力目標にされているにも関わらず、これを超える事件も少なくなく、平均審理期間はやや伸びがちになっている。

津地裁でも、明日、平成26年8月1日の提訴以来9年半超を経た著名行政訴訟の判決を言い渡す。
驚くべきは、これよりも提訴が3日だけ早かった住民訴訟の判決が来週以降に予定されていたこと。したがって、近年の最長係属期間記録は、むしろこちらの事件ということになる。
いずれの裁判についても私は4代目の裁判長なので、一人で責任を負うわけではないが、当事者のためにもっと早く結審・判決をできなかったのか、歴代裁判官も弁護団も反省をすべきだろう。

転勤までの 半年間で「仮処分出せ」と 言うけれど

2024年02月20日 08時01分47秒 | 大分
私の名前で検索すると、どうしてもこの記事が上位に出て来てしまう。
「裁判官は弁明せず」の法諺もあって品が無いようにも思えたので沈黙してきたが、私の名誉の問題もあるので、この際、反論しておきたい。
https://facta.co.jp/article/201706039.html

大分地裁部総括3年の期間も残すところ半年余りとなった時期、段ボール何箱もになる大量の申立書類が届いた。
その瞬間、在任中の決定はほぼ絶望的と思わされるほどの分量だった。裁判官は常に百件以上の事件を担当していることを忘れないでほしい。いくら重要な事件といっても、市井の通常の事件に対して特急列車並みの優先通行権があるわけではない。
ましてや、合議事件としない訳にはいかないから、裁判長の意見だけで進められるものではない。
そもそも、本案訴訟の最高裁判決と同じ効力を直ちにもたらすような極めて重大な仮処分を、無担保でそう簡単に出せるものではない。

申立書では、多数の争点を総花的に展開するだけで、いわゆる勝負所の設定すらしていなかった。その後の法廷で、弁護団の重鎮は「どの争点でもいいから裁判所が選んで直ちに勝利決定を出してほしい」などと宣うた。

裁判官もスーパーマンではないし、ましてや、大量の情報処理を瞬時に行える量子コンピュータでもない。
この件には限らないが、勝機をみすみす逃してしまうような「戦略」なき弁護団が目立つことは、弁護士任官者として甚だ残念に思っている。

やる気があったら また蘇る 民の祭の「蘇民祭」

2024年02月19日 08時28分48秒 | テレビ
あの祭が最終回を終えた。
あのポスターの男性の今朝の「羽鳥慎一モーニングショー」の名言から。
(毎日新聞より)
蘇民祭ポスター、
過去にJRが掲示拒否
モデル男性はどう語っていたか
https://mainichi.jp/articles/20240218/k00/00m/040/190000c
素晴らしいアングルと被写体。
一度見た誰もの印象に残る。
写真史・ポスター史に残る名作。
しかし、たった一人の「不快感」でJR駅から掲示を拒否された。
たった一人の「不快感」でブログ閉鎖や処分に追い込まれる裁判官もいる。
これが現在の日本の「表現の自由」と裁判官を含む国民の「民度」の水準かと、私はショックを受けた。

嫌われてるのは「転勤」だけか? 胸に手を当てて 考えな!

2024年02月18日 15時18分16秒 | 裁判
「転勤が…」若手裁判官が足りない
定員減らしても常に2割前後欠員
https://www.asahi.com/articles/ASS2G566MS28ULFA02R.html
弁護士任官でも新任判事補でも、任官の障壁は「転勤」だと言われることが多い。
本当にそうだろうか?
断る理由の説明が簡単だから、そう答える人が多いのではないかという疑問を私は持っている。
いずれにしても、人事局をはじめとする最高裁事務総局に責任があることに変わりはないが。

カンテレ弁護士 熱意の取材「逆転裁判官の真意」

2024年02月17日 11時41分44秒 | テレビ
昨年の関西テレビのドキュメンタリーが評判で、現在もYouTubeで視聴することができる。

https://youtu.be/lKXhE9P2_ig?si=BOkV55A6xO66UCzy

たまたま先日、番組制作までの取材の苦労話を伺う機会があった。
担当記者は弁護士資格があるテレビ局社員。
司法の専門家がマスコミで役割を果たすことは、とても良いことだ。
私も退官したら何か参加方法を考えてみたい。

「松本裁判」その前日は「岡口裁判」判決日

2024年02月16日 21時12分33秒 | 裁判
またしても、世紀の裁判官弾劾裁判の報道が吹き飛んでしまいそうで心配だ。 弁護団はマスコミ対策を怠りなく。 (写真)次回は弁護側最終弁論。 判決は3月27日と既に決まっているそうだ。 https://news.yahoo.co.jp/articles/c18e252b3fea9fa7ac471089c3619bd7d0c69a4c